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04
新しい生活01
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リリエラ様に薬草を届け終えて、チト村に戻って来た翌日。
稽古を終えて、いつものように美味しい昼食を食べたあと、ユリカちゃんを誘って頼んでおいたみんなの家の状況を見に行く。
ユリカちゃんと手をつなぎ、
「ジルお姉ちゃんのお友達ってどんな人?」
というユリカちゃんの質問に、
「アイカは明るくて食いしん坊さんかな?ユナはちょっとおっとりした感じだけどしっかり者なのよ。あと、ベルは真面目ね。ちょっと人見知りさんだけど、本当はとっても優しいの」
と楽しく答えながら長閑なあぜ道を進んだ。
まずは村長宅に向かい、挨拶をする。
「村長、こんにちは」
「こんにちはー」
と玄関先でおとないを告げると、村長はすぐに出て来てくれて、
「ああ、待ってましたよ。家の手直しはほとんど完成してますから、見てみてください」
と言ってさっそく私たちを例の家に案内してくれた。
一通り中を見終わって、
「どうです?」
と、にこやかに聞いてくる村長に、
「いいですね。3人なら十分そうだし、庭も広いからバーベキューだってできそう」
と笑顔で答える。
すると村長が、
「ほう。バーベキューはいいですな。たしか、祭りで使った焼き台の古いのがありましたから後で持ってこさせましょう」
と言ってくれた。
「え?いいんですか?」
と驚く私に、村長は、
「ずいぶん年季も入ってますし、大きさも足りなくなってきたんで、何年か前に新品と交換したんですよ。念のためにとっておきましたが、不要なものなんで是非使ってください」
と笑顔で言ってくれた。
私はその申し出をありがたく受け取り村長の軽く礼を言う。
ユリカちゃんはバーベキューをしたことが無いらしくピンときていなかったようだが、
「みんなでこのお庭に出てお祭りの時みたいに外でお肉や野菜を焼いてたべるのよ」
と教えてあげると、
「すっごーい!それ、やりたい!」
と無邪気にはしゃいでいた。
またあぜ道を通ってうちに戻る。
ユリカちゃんは終始ご機嫌で、即席の「バーベキューの歌」を元気に歌っていた。
「楽しみだね」
と何回も言っては飛び跳ねるようにして私の先を歩くユリカちゃんを微笑ましく見つめる。
そんなユリカちゃんの様子に私も、
(うふふ。みんな早く来ないかな)
とこちらも楽しい気持ちになって笑顔でアンナさんの家へと向かった。
家に戻り、晩ご飯までの間、ユリカちゃんの勉強を見てあげる。
ユリカちゃんはずいぶんと字が上手に読み書きできるようになり、少しいじわるな算数の問題もなんなく解けるようになっていた。
(子供の成長って早いなぁ…)
と思いながら、楽しそうに問題を解くユリカちゃんを眺める。
そして、
(そろそろ、もう少し難しい物語の本も買ってこなくちゃね)
と思いつつ、
(頑張って働かなきゃね)
と思い気を引き締めた。
翌日。
友達と遊びに行くというユリカちゃんを見送ってさっそくみんなに手紙を書く。
ついでに、と言ってはなんだが、教会長さんへの報告の手紙も書いた。
まずは魔物の状況、浄化の魔導石の調整状況について、ありのままを書く。
そして、最後に、
『どうやら、聖魔法が魔物を弱体化させるというのは事実らしい。しかし、運用には聖女自身の練度の向上が必要になるだろう。聖魔法の技術はもちろん、冒険者としての腕も必要になる。そう簡単にはいかないかもしれないが、少なくとも冒険者になりたいと言う変わり者の聖女候補がいたら止めるべきではない』
と進言して、その手紙を締めくくった。
「ふぅ…」
とため息を吐いて、ぼんやり窓の外を眺める。
(私自身の練度の向上も必要よね)
と、思って今朝の稽古を振り返りながらほんの少しの苦笑いを浮かべた。
例の気を練って一気に放出するという感覚はずいぶんとつかめてきている。
あとは、それをどう実践の場、または、浄化の時に活かすかというところだろう。
(単純な魔力を練るっていうのはなんとなくわかるようになった…。それを聖魔法に置きかえられたら…)
そう思って、最近は薪割の時にも試行錯誤しているが、なかなか上手くいかない。
しかし、あと少し、という手ごたえも得られるようになってきていた。
(ん?練習用の薙刀だから上手くいかないのかな?あの薙刀で練習すればもっと上手くいくかも。ああ、でもさすがに裏庭の薪割にあの薙刀は使えないし…。うーん。どうしようかしら…)
そんなことを思って、手紙に封をする。
そして、なんとなく台所の方から良い匂いが漂ってきたのに気がついて、さっそくリビングへと向かった。
翌日。
いつものように薪を割り、稽古を終えてから手紙を出しに行く。
「お願いね」
と言って手紙の取次をしている雑貨屋に手紙を預け、ついでに飴をいくつか買って家に戻った。
家に戻って、
「あ、飴だ!」
と嬉しそうな顔をするユリカちゃんの頭を、
「お食事が終わってからね」
と言って軽く撫でてやりながら宥める。
そして、今日も平和な昼食が始まり、ゆったりとした午後の時を迎えた。
そんな日々が10日も続いただろうか。
さっそくみんなから手紙が届く。
教会長さんからも手紙がきた。
まず教会長さんからきたいつもより薄い手紙の方を読むと、
『チト村に拠点を構えたりして忙しいだろうから、落ち着いたら手紙を出してね。申し訳ないけど、すぐに次の依頼を出すことになるわ』
と書いてある。
私は、
(あー…待たせちゃって申し訳ないな)
という気持ちと、
(とりあえずみんなが来るまでは落ち着いて過ごせそうね)
というほっとした気持ちの両方を感じてその手紙を閉じた。
次にみんなからの手紙を開く。
すると、
『ベルとはもうこっちで合流しているのよ。これからすぐに出発するわね。到着するのはこの手紙が届いた数日後になるかしら?』
と言うことがユナらしい柔らかい文字で書かれていた。
私は喜んで小躍りする。
そして、
「あ。鍵をもらいに行かなくちゃ!あと、ジミーにも連絡しておかないといけないわね」
と独り言を言って、さっそく家を飛び出していった。
2日後の昼過ぎ。
(そろそろみんな着くころかしら?それとも明日になるかしら?)
と思ってソワソワしながら、ひとり部屋で過ごす。
少しは落ち着いて本でも読もうかと思い、手近にあった本を開いてみたが、さっきからいっこうに読み進められていない。
そんな状況を自分でもおかしく思いながら私はその時を待った。
そんな時、玄関の扉が叩かれる。
私は急いで部屋を飛び出した。
「バンッ」と音がするんじゃないかというくらい勢いよく扉を開ける。
すると、そこににはジミーとみんながいて、
「ひさしぶり」
「今日からお邪魔するわね」
「ええ、よろしくね」
とそれぞれに声を掛けてくれた。
私も満面の笑顔で、
「うん。よろしくね!」
と声を掛けて握手を交わす。
そして、何事だろうと思って出てきたユリカちゃんとアンナさんをみんなに紹介した。
「はじめまして、ユリカです!」
と元気に挨拶する姿にみんなが相好を崩し、
「あらあら。うふふ。よかったわね、また素敵なお姉さんができて」
と言いながらアンナさんがはにかむユリカちゃんの頭を撫でる。
私たちそんな4人の様子を微笑ましく見つめて、
「そうそう。もう、カギは預かってきたんでしょう?さっそくご案内してきたらどうかしら。私もすぐにお茶とお菓子を持っていきますからね」
と言ってくれるアンナさんの言葉に甘えてみんなを新しい家に案内した。
「なんだかのんびりしてて良さそうな村だね」
と言うアイカに、
「ええ。本当にのんびりしてていい村よ」
と少し誇らしげに答える。
すると、ユナが微笑みながら、
「うふふ。そうみたいね。ユリカちゃんって子も想像以上に可愛らしかったし」
というので、
「でしょ?」
と、こちらはもっと誇らしげに答えておいた。
「ふふっ。ジルが離れたくないって思った理由もわかるわ」
と言うベルに、
「うん。…でもなんかごめんね。わがままいったみたいで」
と軽く謝る。
しかし、ベルは、
「ううん。私もいい場所に出会えたみたいで嬉しいわ」
と言って微笑んでくれた。
みんなの優しさを嬉しく思う。
そして、私たちは楽しくおしゃべりしながらあぜ道を歩き、みんなの新しい家へと向かった。
稽古を終えて、いつものように美味しい昼食を食べたあと、ユリカちゃんを誘って頼んでおいたみんなの家の状況を見に行く。
ユリカちゃんと手をつなぎ、
「ジルお姉ちゃんのお友達ってどんな人?」
というユリカちゃんの質問に、
「アイカは明るくて食いしん坊さんかな?ユナはちょっとおっとりした感じだけどしっかり者なのよ。あと、ベルは真面目ね。ちょっと人見知りさんだけど、本当はとっても優しいの」
と楽しく答えながら長閑なあぜ道を進んだ。
まずは村長宅に向かい、挨拶をする。
「村長、こんにちは」
「こんにちはー」
と玄関先でおとないを告げると、村長はすぐに出て来てくれて、
「ああ、待ってましたよ。家の手直しはほとんど完成してますから、見てみてください」
と言ってさっそく私たちを例の家に案内してくれた。
一通り中を見終わって、
「どうです?」
と、にこやかに聞いてくる村長に、
「いいですね。3人なら十分そうだし、庭も広いからバーベキューだってできそう」
と笑顔で答える。
すると村長が、
「ほう。バーベキューはいいですな。たしか、祭りで使った焼き台の古いのがありましたから後で持ってこさせましょう」
と言ってくれた。
「え?いいんですか?」
と驚く私に、村長は、
「ずいぶん年季も入ってますし、大きさも足りなくなってきたんで、何年か前に新品と交換したんですよ。念のためにとっておきましたが、不要なものなんで是非使ってください」
と笑顔で言ってくれた。
私はその申し出をありがたく受け取り村長の軽く礼を言う。
ユリカちゃんはバーベキューをしたことが無いらしくピンときていなかったようだが、
「みんなでこのお庭に出てお祭りの時みたいに外でお肉や野菜を焼いてたべるのよ」
と教えてあげると、
「すっごーい!それ、やりたい!」
と無邪気にはしゃいでいた。
またあぜ道を通ってうちに戻る。
ユリカちゃんは終始ご機嫌で、即席の「バーベキューの歌」を元気に歌っていた。
「楽しみだね」
と何回も言っては飛び跳ねるようにして私の先を歩くユリカちゃんを微笑ましく見つめる。
そんなユリカちゃんの様子に私も、
(うふふ。みんな早く来ないかな)
とこちらも楽しい気持ちになって笑顔でアンナさんの家へと向かった。
家に戻り、晩ご飯までの間、ユリカちゃんの勉強を見てあげる。
ユリカちゃんはずいぶんと字が上手に読み書きできるようになり、少しいじわるな算数の問題もなんなく解けるようになっていた。
(子供の成長って早いなぁ…)
と思いながら、楽しそうに問題を解くユリカちゃんを眺める。
そして、
(そろそろ、もう少し難しい物語の本も買ってこなくちゃね)
と思いつつ、
(頑張って働かなきゃね)
と思い気を引き締めた。
翌日。
友達と遊びに行くというユリカちゃんを見送ってさっそくみんなに手紙を書く。
ついでに、と言ってはなんだが、教会長さんへの報告の手紙も書いた。
まずは魔物の状況、浄化の魔導石の調整状況について、ありのままを書く。
そして、最後に、
『どうやら、聖魔法が魔物を弱体化させるというのは事実らしい。しかし、運用には聖女自身の練度の向上が必要になるだろう。聖魔法の技術はもちろん、冒険者としての腕も必要になる。そう簡単にはいかないかもしれないが、少なくとも冒険者になりたいと言う変わり者の聖女候補がいたら止めるべきではない』
と進言して、その手紙を締めくくった。
「ふぅ…」
とため息を吐いて、ぼんやり窓の外を眺める。
(私自身の練度の向上も必要よね)
と、思って今朝の稽古を振り返りながらほんの少しの苦笑いを浮かべた。
例の気を練って一気に放出するという感覚はずいぶんとつかめてきている。
あとは、それをどう実践の場、または、浄化の時に活かすかというところだろう。
(単純な魔力を練るっていうのはなんとなくわかるようになった…。それを聖魔法に置きかえられたら…)
そう思って、最近は薪割の時にも試行錯誤しているが、なかなか上手くいかない。
しかし、あと少し、という手ごたえも得られるようになってきていた。
(ん?練習用の薙刀だから上手くいかないのかな?あの薙刀で練習すればもっと上手くいくかも。ああ、でもさすがに裏庭の薪割にあの薙刀は使えないし…。うーん。どうしようかしら…)
そんなことを思って、手紙に封をする。
そして、なんとなく台所の方から良い匂いが漂ってきたのに気がついて、さっそくリビングへと向かった。
翌日。
いつものように薪を割り、稽古を終えてから手紙を出しに行く。
「お願いね」
と言って手紙の取次をしている雑貨屋に手紙を預け、ついでに飴をいくつか買って家に戻った。
家に戻って、
「あ、飴だ!」
と嬉しそうな顔をするユリカちゃんの頭を、
「お食事が終わってからね」
と言って軽く撫でてやりながら宥める。
そして、今日も平和な昼食が始まり、ゆったりとした午後の時を迎えた。
そんな日々が10日も続いただろうか。
さっそくみんなから手紙が届く。
教会長さんからも手紙がきた。
まず教会長さんからきたいつもより薄い手紙の方を読むと、
『チト村に拠点を構えたりして忙しいだろうから、落ち着いたら手紙を出してね。申し訳ないけど、すぐに次の依頼を出すことになるわ』
と書いてある。
私は、
(あー…待たせちゃって申し訳ないな)
という気持ちと、
(とりあえずみんなが来るまでは落ち着いて過ごせそうね)
というほっとした気持ちの両方を感じてその手紙を閉じた。
次にみんなからの手紙を開く。
すると、
『ベルとはもうこっちで合流しているのよ。これからすぐに出発するわね。到着するのはこの手紙が届いた数日後になるかしら?』
と言うことがユナらしい柔らかい文字で書かれていた。
私は喜んで小躍りする。
そして、
「あ。鍵をもらいに行かなくちゃ!あと、ジミーにも連絡しておかないといけないわね」
と独り言を言って、さっそく家を飛び出していった。
2日後の昼過ぎ。
(そろそろみんな着くころかしら?それとも明日になるかしら?)
と思ってソワソワしながら、ひとり部屋で過ごす。
少しは落ち着いて本でも読もうかと思い、手近にあった本を開いてみたが、さっきからいっこうに読み進められていない。
そんな状況を自分でもおかしく思いながら私はその時を待った。
そんな時、玄関の扉が叩かれる。
私は急いで部屋を飛び出した。
「バンッ」と音がするんじゃないかというくらい勢いよく扉を開ける。
すると、そこににはジミーとみんながいて、
「ひさしぶり」
「今日からお邪魔するわね」
「ええ、よろしくね」
とそれぞれに声を掛けてくれた。
私も満面の笑顔で、
「うん。よろしくね!」
と声を掛けて握手を交わす。
そして、何事だろうと思って出てきたユリカちゃんとアンナさんをみんなに紹介した。
「はじめまして、ユリカです!」
と元気に挨拶する姿にみんなが相好を崩し、
「あらあら。うふふ。よかったわね、また素敵なお姉さんができて」
と言いながらアンナさんがはにかむユリカちゃんの頭を撫でる。
私たちそんな4人の様子を微笑ましく見つめて、
「そうそう。もう、カギは預かってきたんでしょう?さっそくご案内してきたらどうかしら。私もすぐにお茶とお菓子を持っていきますからね」
と言ってくれるアンナさんの言葉に甘えてみんなを新しい家に案内した。
「なんだかのんびりしてて良さそうな村だね」
と言うアイカに、
「ええ。本当にのんびりしてていい村よ」
と少し誇らしげに答える。
すると、ユナが微笑みながら、
「うふふ。そうみたいね。ユリカちゃんって子も想像以上に可愛らしかったし」
というので、
「でしょ?」
と、こちらはもっと誇らしげに答えておいた。
「ふふっ。ジルが離れたくないって思った理由もわかるわ」
と言うベルに、
「うん。…でもなんかごめんね。わがままいったみたいで」
と軽く謝る。
しかし、ベルは、
「ううん。私もいい場所に出会えたみたいで嬉しいわ」
と言って微笑んでくれた。
みんなの優しさを嬉しく思う。
そして、私たちは楽しくおしゃべりしながらあぜ道を歩き、みんなの新しい家へと向かった。
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