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森の異変01
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世界樹の精霊との会談を終え、神殿に戻る。
神殿に入るとさっそく会談の場が設けられた。
「人払いを」
というマユカ殿の言葉でサユリとシノ以外の人間が下がる。
シノも下がろうとしたが、マユカ殿が、
「ああ、シノ。お主は聞いておれ」
と言って引き留めた。
「はい」
と言ってシノがその場にかしこまる。
私は、
「もう一度その猫のこと、シノにも説明してやってくれ」
というマユカ殿の言葉にうなずいて、先ほどマユカ殿とサユリに話したことをもう一度シノに話した。
こちらも驚愕の表情でチェルシーを見つめるシノに、マユカ殿が、
「当り前じゃが他言は無用じゃ。それに、このことは精霊様のお考えもあってしばらくの間このジークに任せることになっておる。なに、こやつのことだ、なんとかしてしまうのであろう」
と嘆息しながら、そう付け加える。
私はその言葉を苦笑いで聞くと、
「そういうことだから、あまり心配しないでくれ」
と言って、シノに宥めるような言葉を掛けた。
「…かしこまりました…」
と、どこか釈然としないような感じながらもシノが現実を受け入れてくれる。
私はそのシノに一度深くうなずき、
「安心してくれ」
ともう一度同じような言葉を掛けた。
「さて。その話は一応いいとして、次は作戦じゃったな」
と言うマユカ殿の言葉にうなずき、
「まずは状況を教えてくれないか?」
と言ってマユカ殿に視線を送る。
すると、マユカ殿はサユリに視線を向けたので、私もそちらに目を向けた。
「では、ご説明いたします」
と言ってサユリが話を始める。
その話によると、どうやらこの世界樹の森周辺でも西側を中心に魔物の数が増えているらしい。
その数は徐々に増えてきており、ポチの言っていた大きな気配というが何なのかはわからないということだった。
その話を聞いて、まずは私の考えを述べる。
「今回は少数精鋭が良いだろう。私との連携はあまり考えなくてもいい。そちらはマユカ殿を守るのに十分かつある程度の機動力を確保できる人数を用意してくれ」
と言うと、マユカ殿はうなずいて、少し考えつつも、
「ではサユリと…、そうじゃな、ツバキ、アヤメあたりを同行させようと思うが、サユリ、どうじゃ?」
と言って、護衛は3人にしようと提案した。
その言葉にサユリは、
「かしこまりました」
と言ってうなずく。
マユカ殿はそのサユリにうなずいて、私を見るが、私も、
「そちらがいいならそれでいいだろう」
と軽く答えて、行程などの詳細な打ち合わせに入った。
出発は明後日。
森の端までは3日ほどになるだろうとのこと。
そこからがいよいよ勝負になる。
打ち合わせを終え部屋に戻ると、私は、
(10日くらいで済めばいいが…)
と、やや希望的な観測を持ちながらも気を引き締めて装備の点検を始めた。
打ち合わせの翌日。
(あ。そう言えば食料の準備は任せていたが、一応どんなものがあるか聞いておくか)
と思って、控えてくれていたシノにサユリを呼んできてくれるよう伝える。
その後しばらくするとサユリが私の部屋にやって来て、今回の冒険に同行するツバキとアヤメの2人を紹介してくれた。
ツバキは、にこやかに、
「よろしくお願いします。賢者様。ツバキです」
と明るい調子でにこやかに挨拶をしてくれ、たが、アヤメの方は、
「アヤメと申します。何卒よろしくお願いいたします。賢者様」
と、かしこまった感じで挨拶してくる。
どうやらやや緊張しているようだ。
そんな2人に対して私は、
「ああ。今回はよろしくな。私のことはジークでいい」
と言って、できるだけ気さくな感じで挨拶を返し、続けて、
「あと、マユカ殿が護衛に付けるくらいだから実力は相当なものがあるんだろうが、一応、これまでの経験なんかを聞いてもいいか?」
と、2人にこれまでの実績を軽く聞いてみた。
まずはツバキの方が、
「私は盾です。ミノタウロスなら受け止めたことがありますよ」
と元気に答える。
私が、
(ほう。そいつはなかなかだ…)
と思って感心しながら軽くうなずくと、今度はアヤメが、
「私は弓と魔法です。…賢者様の前で披露できるほどの物ではありませんが…」
と遠慮気味にそう言った。
私が、
(緊張しているというよりも自己評価が低いという感じだな)
と思って苦笑いを浮かべる。
すると、その横からツバキが、
「アヤメの弓はすごいですよ。この自治区じゃ一番です。200メートルくらい先のゴブリンも射抜けちゃうんですよ」
と友達を自慢するような感じでそう言った。
(それはすごいな)
と感心しつつ、
「わかった。頼りになりそうだな。よろしく頼む」
と言って右手を差し出す。
そして、ツバキ、アヤメの順に握手を交わすと、次にサユリに本題の食料のことを聞いた。
「一般的な冒険のお供は入れて行きますが、何かお好みはありますか?」
とサユリは私に視線を向けてくるが、私はチェルシーに視線を向ける。
「にゃぁ」(肉はたっぷりじゃ。あとカレーがあるとよい)
というチェルシーが鷹揚にそう言うので、私は苦笑いで、
「ああ、肉を少し多めにしてもらいたいのと、カレーがあればいいんだが」
とサユリに苦笑いで注文を出した。
「かしこまりました。カレーは入っていなかったと思いますので、すぐに用意させます」
と答えてくれるサユリに軽く、
「すまんな」
とチェルシーを撫でてやりつつ礼を言う。
そんな私たちを見て、サユリは、
「いえ…」
と言いながら、なんとも微妙な苦笑いを浮かべた。
翌日。
いよいよ出発する。
私はいつも通りだが、マユカ殿たちは鎧姿にそれぞれの武器を持っている。
薙刀を背負い勇ましい鎧姿のマユカ殿にシノが声をかける。
「巫女様、ご無事をお祈りしております」
と言って真剣な眼差しで頭を下げるシノに、
「あとは任せたぞ」
とマユカ殿はどこか柔らかい表情でそう言ってシノの頭を軽く撫でた。
照れるシノと少しいたずらっぽいマユカ殿の笑顔をみて、
(なんとも微笑ましい光景だな)
と思いつつサクラに跨る。
マユカ殿たちもそれぞれの馬に跨り、マユカ殿が、
「では、行ってまいる」
と言うと、一斉に頭を下げるみんなに見送られて私たちは森へと向かって進み始めた。
平穏な森の中を着実に進んでいく。
「にゃぁ」(なんとも気持ちのよい森じゃのう)
と、あくび交じりにいうチェルシーを、撫でてやりながら、
「ああ、なにせ世界樹の中だからな」
と言うと、チェルシーが、
「にゃ?」(ん?)
と疑問の表情を私に向けてきた。
「ああ、そうか。普通は勘違いするよな」
と言って、チェルシーに、
「世界樹ってのはあの精霊がいたあの木のことを指してるんじゃないんだ。精霊曰くこの森に生えているすべての木は世界樹の枝みたいなものらしい。だから、言ってみればこの森全体が世界樹ってことになるな」
と世界樹の何たるかを教えてやる。
すると、チェルシーが、
「んにゃ!」(なんと!?)
と器用に目を大きく見開いてやや大袈裟なくらいに驚いた。
私はちょっとだけしてやったりというような顔で、
「ははは。初めて聞いた時は私も驚いたものだ」
と言い、チェルシーを撫でてやる。
「にゃぁ…」(それはなんとも規模の大きな話よのう…)
と言って感心するチェルシーを、また撫でてやると、私は、
「だから、どんなに『お痛』しても無駄だぞ」
と言って「はっはっは」とやや大袈裟に笑った。
「にゃぁ」(そんなことせんわい)
とやや不満げな顔のチェルシーに、
「ああ。魔王様が良識派で助かるよ」
と冗談を返す。
そんな私たちの会話に、
「おいおい。一応機密事項なんじゃがな…」
と、マユカ殿が苦笑いでそう言ってきた。
「ん?そうだったのか?いや、すまん。…チェルシー、そういう訳だからこれは秘密だぞ?」
という私にチェルシーが、
「にゃぁ」(話しとうても、我はお主以外と話せんわ)
と冷静なツッコミを入れてくる。
「ははは。そうだったな。…という訳でマユカ殿安心してくれ。チェルシーが私としか話が出来ない以上、この秘密はこれ以上広がらん」
と言うとマユカ殿が、
「まったく…」
と言って軽くため息を吐いた。
その後もハイキングとまではいかないが、旅は和やかに進む。
最初は緊張気味だったアヤメも一緒にカレーを食ったり、その正体を知らないチェルシーを愛でたりしているうちにずいぶんと打ち解けてきてくれた。
どうやらアヤメはマジメでやや人見知りらしい。
その性格のおかげで勘違いをされることもあるようだが、ツバキ曰く、本当は可愛い物が好きなごく普通の女の子なのだそうだ。
そう言うツバキにアヤメが、
「もう…。賢者様にそんなこと言わないでよね」
と照れながら言うが、ツバキは、
「あはは。ごめん、ごめん」
と言ってあまり気にしていない様子だ。
そんな2人を見て私は、
(なるほど、いいコンビらしいな…)
と、なんとも微笑ましい気持ちになる。
「ははは。相変わらず仲がいいな」
とマユカ殿も言っているから普段からこんな感じなのだろう。
その言葉にアヤメはますます照れて、ツバキはニカッと笑い、
「はい。仲良しです!」
と元気に答えた。
そうやってお互いの間にあったほんの少しの緊張感をほぐしながら進むこと3日。
予定通りの日数で森の端に到着する。
私が、
「さて、いよいよだな」
とつぶやくと、みんなの表情が引き締まった。
神殿に入るとさっそく会談の場が設けられた。
「人払いを」
というマユカ殿の言葉でサユリとシノ以外の人間が下がる。
シノも下がろうとしたが、マユカ殿が、
「ああ、シノ。お主は聞いておれ」
と言って引き留めた。
「はい」
と言ってシノがその場にかしこまる。
私は、
「もう一度その猫のこと、シノにも説明してやってくれ」
というマユカ殿の言葉にうなずいて、先ほどマユカ殿とサユリに話したことをもう一度シノに話した。
こちらも驚愕の表情でチェルシーを見つめるシノに、マユカ殿が、
「当り前じゃが他言は無用じゃ。それに、このことは精霊様のお考えもあってしばらくの間このジークに任せることになっておる。なに、こやつのことだ、なんとかしてしまうのであろう」
と嘆息しながら、そう付け加える。
私はその言葉を苦笑いで聞くと、
「そういうことだから、あまり心配しないでくれ」
と言って、シノに宥めるような言葉を掛けた。
「…かしこまりました…」
と、どこか釈然としないような感じながらもシノが現実を受け入れてくれる。
私はそのシノに一度深くうなずき、
「安心してくれ」
ともう一度同じような言葉を掛けた。
「さて。その話は一応いいとして、次は作戦じゃったな」
と言うマユカ殿の言葉にうなずき、
「まずは状況を教えてくれないか?」
と言ってマユカ殿に視線を送る。
すると、マユカ殿はサユリに視線を向けたので、私もそちらに目を向けた。
「では、ご説明いたします」
と言ってサユリが話を始める。
その話によると、どうやらこの世界樹の森周辺でも西側を中心に魔物の数が増えているらしい。
その数は徐々に増えてきており、ポチの言っていた大きな気配というが何なのかはわからないということだった。
その話を聞いて、まずは私の考えを述べる。
「今回は少数精鋭が良いだろう。私との連携はあまり考えなくてもいい。そちらはマユカ殿を守るのに十分かつある程度の機動力を確保できる人数を用意してくれ」
と言うと、マユカ殿はうなずいて、少し考えつつも、
「ではサユリと…、そうじゃな、ツバキ、アヤメあたりを同行させようと思うが、サユリ、どうじゃ?」
と言って、護衛は3人にしようと提案した。
その言葉にサユリは、
「かしこまりました」
と言ってうなずく。
マユカ殿はそのサユリにうなずいて、私を見るが、私も、
「そちらがいいならそれでいいだろう」
と軽く答えて、行程などの詳細な打ち合わせに入った。
出発は明後日。
森の端までは3日ほどになるだろうとのこと。
そこからがいよいよ勝負になる。
打ち合わせを終え部屋に戻ると、私は、
(10日くらいで済めばいいが…)
と、やや希望的な観測を持ちながらも気を引き締めて装備の点検を始めた。
打ち合わせの翌日。
(あ。そう言えば食料の準備は任せていたが、一応どんなものがあるか聞いておくか)
と思って、控えてくれていたシノにサユリを呼んできてくれるよう伝える。
その後しばらくするとサユリが私の部屋にやって来て、今回の冒険に同行するツバキとアヤメの2人を紹介してくれた。
ツバキは、にこやかに、
「よろしくお願いします。賢者様。ツバキです」
と明るい調子でにこやかに挨拶をしてくれ、たが、アヤメの方は、
「アヤメと申します。何卒よろしくお願いいたします。賢者様」
と、かしこまった感じで挨拶してくる。
どうやらやや緊張しているようだ。
そんな2人に対して私は、
「ああ。今回はよろしくな。私のことはジークでいい」
と言って、できるだけ気さくな感じで挨拶を返し、続けて、
「あと、マユカ殿が護衛に付けるくらいだから実力は相当なものがあるんだろうが、一応、これまでの経験なんかを聞いてもいいか?」
と、2人にこれまでの実績を軽く聞いてみた。
まずはツバキの方が、
「私は盾です。ミノタウロスなら受け止めたことがありますよ」
と元気に答える。
私が、
(ほう。そいつはなかなかだ…)
と思って感心しながら軽くうなずくと、今度はアヤメが、
「私は弓と魔法です。…賢者様の前で披露できるほどの物ではありませんが…」
と遠慮気味にそう言った。
私が、
(緊張しているというよりも自己評価が低いという感じだな)
と思って苦笑いを浮かべる。
すると、その横からツバキが、
「アヤメの弓はすごいですよ。この自治区じゃ一番です。200メートルくらい先のゴブリンも射抜けちゃうんですよ」
と友達を自慢するような感じでそう言った。
(それはすごいな)
と感心しつつ、
「わかった。頼りになりそうだな。よろしく頼む」
と言って右手を差し出す。
そして、ツバキ、アヤメの順に握手を交わすと、次にサユリに本題の食料のことを聞いた。
「一般的な冒険のお供は入れて行きますが、何かお好みはありますか?」
とサユリは私に視線を向けてくるが、私はチェルシーに視線を向ける。
「にゃぁ」(肉はたっぷりじゃ。あとカレーがあるとよい)
というチェルシーが鷹揚にそう言うので、私は苦笑いで、
「ああ、肉を少し多めにしてもらいたいのと、カレーがあればいいんだが」
とサユリに苦笑いで注文を出した。
「かしこまりました。カレーは入っていなかったと思いますので、すぐに用意させます」
と答えてくれるサユリに軽く、
「すまんな」
とチェルシーを撫でてやりつつ礼を言う。
そんな私たちを見て、サユリは、
「いえ…」
と言いながら、なんとも微妙な苦笑いを浮かべた。
翌日。
いよいよ出発する。
私はいつも通りだが、マユカ殿たちは鎧姿にそれぞれの武器を持っている。
薙刀を背負い勇ましい鎧姿のマユカ殿にシノが声をかける。
「巫女様、ご無事をお祈りしております」
と言って真剣な眼差しで頭を下げるシノに、
「あとは任せたぞ」
とマユカ殿はどこか柔らかい表情でそう言ってシノの頭を軽く撫でた。
照れるシノと少しいたずらっぽいマユカ殿の笑顔をみて、
(なんとも微笑ましい光景だな)
と思いつつサクラに跨る。
マユカ殿たちもそれぞれの馬に跨り、マユカ殿が、
「では、行ってまいる」
と言うと、一斉に頭を下げるみんなに見送られて私たちは森へと向かって進み始めた。
平穏な森の中を着実に進んでいく。
「にゃぁ」(なんとも気持ちのよい森じゃのう)
と、あくび交じりにいうチェルシーを、撫でてやりながら、
「ああ、なにせ世界樹の中だからな」
と言うと、チェルシーが、
「にゃ?」(ん?)
と疑問の表情を私に向けてきた。
「ああ、そうか。普通は勘違いするよな」
と言って、チェルシーに、
「世界樹ってのはあの精霊がいたあの木のことを指してるんじゃないんだ。精霊曰くこの森に生えているすべての木は世界樹の枝みたいなものらしい。だから、言ってみればこの森全体が世界樹ってことになるな」
と世界樹の何たるかを教えてやる。
すると、チェルシーが、
「んにゃ!」(なんと!?)
と器用に目を大きく見開いてやや大袈裟なくらいに驚いた。
私はちょっとだけしてやったりというような顔で、
「ははは。初めて聞いた時は私も驚いたものだ」
と言い、チェルシーを撫でてやる。
「にゃぁ…」(それはなんとも規模の大きな話よのう…)
と言って感心するチェルシーを、また撫でてやると、私は、
「だから、どんなに『お痛』しても無駄だぞ」
と言って「はっはっは」とやや大袈裟に笑った。
「にゃぁ」(そんなことせんわい)
とやや不満げな顔のチェルシーに、
「ああ。魔王様が良識派で助かるよ」
と冗談を返す。
そんな私たちの会話に、
「おいおい。一応機密事項なんじゃがな…」
と、マユカ殿が苦笑いでそう言ってきた。
「ん?そうだったのか?いや、すまん。…チェルシー、そういう訳だからこれは秘密だぞ?」
という私にチェルシーが、
「にゃぁ」(話しとうても、我はお主以外と話せんわ)
と冷静なツッコミを入れてくる。
「ははは。そうだったな。…という訳でマユカ殿安心してくれ。チェルシーが私としか話が出来ない以上、この秘密はこれ以上広がらん」
と言うとマユカ殿が、
「まったく…」
と言って軽くため息を吐いた。
その後もハイキングとまではいかないが、旅は和やかに進む。
最初は緊張気味だったアヤメも一緒にカレーを食ったり、その正体を知らないチェルシーを愛でたりしているうちにずいぶんと打ち解けてきてくれた。
どうやらアヤメはマジメでやや人見知りらしい。
その性格のおかげで勘違いをされることもあるようだが、ツバキ曰く、本当は可愛い物が好きなごく普通の女の子なのだそうだ。
そう言うツバキにアヤメが、
「もう…。賢者様にそんなこと言わないでよね」
と照れながら言うが、ツバキは、
「あはは。ごめん、ごめん」
と言ってあまり気にしていない様子だ。
そんな2人を見て私は、
(なるほど、いいコンビらしいな…)
と、なんとも微笑ましい気持ちになる。
「ははは。相変わらず仲がいいな」
とマユカ殿も言っているから普段からこんな感じなのだろう。
その言葉にアヤメはますます照れて、ツバキはニカッと笑い、
「はい。仲良しです!」
と元気に答えた。
そうやってお互いの間にあったほんの少しの緊張感をほぐしながら進むこと3日。
予定通りの日数で森の端に到着する。
私が、
「さて、いよいよだな」
とつぶやくと、みんなの表情が引き締まった。
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