多面性を持つ最強暗殺者はただ日常を望む

やみくも

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ChapterⅧ:FinalZone

No149.One end point

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 兄上の葬儀も終わり、全ての葬儀が終わった事になる。生命再起会との戦いから二週間が経過し、徐々に今後についても定まってきた。

 「今後の事も話がついてきましたよ。心配なさらないで下さい。兄上、華隆さん…。」

 ほぼ毎日、こうやって墓参りをしている。兄上達だけでなく、Orderなどの墓にもだ。
 二週間もすれば実感だってする。だが、忘れられるはずがない。折角兄上も姿を現したというのに、すぐに他界してしまった。
 良きライバルだった絆も戦死して、撫戯もあれ以降連絡がつかない。『俺は変わる。』と置き手紙が本部に置かれていた。
 
 「毎日通ってるよね。歪も。」

 「……葉桜さんと葵さん…。」

 すると、階段を登ってやって来た二人が声を掛けて、隣に座った。

 「Enterとプレデスタンスは……。」

 「プレデスタンスは解体したよ。Enterも名義としては解散した。ただ、私を繋げる名としては……一生失われないから……。」

 葉桜さんは何かを強く願うようにそう言って、手を合わせた。
 そして、葵さんもそれに合わせて手を合わせた。

 「私達も、ちょっと依存してる所があるんだよね。葬儀の後からずっと通ってる。このままじゃ駄目だって事は分かっているけど、……目覚めてすぐにまた別れてしまった。彼は父親の事はすごく恨んでいたけど、君の事は自慢気に話していたよ。弟想いで、仲間想いでいい人だったよ。慈穏も本当に若い世代を大切に想っていた。」

 すると、葵さんがそう言ってきた。Enterの過去については兄上から直接聞いているが、本当に仲間想いなチームだと感じている。
 Mythologyも仲はいいけど、チーム全体で任務に行く事はあまりなかった。華隆さんが亡くなってから、あまり上手く回っていない。
 葉桜さんが頑張ってまとめてはいるけど、距離間は知り合いに近い程度だった。社交的過ぎたのだ。

 今度は、葉桜さんが口を開いた。

 「黄牙は何の宛もなく開発に没頭している。月歌は復讐を果たした今でも、私達と同じように足踏みしている。今そこにいる葵も、何をしたらいいのか全然道が定まってない。…そう皆の事を言っている私だって、同じように行く末が分からない。人生に一つ区切れがついた気がしてる。」

 すると、葉桜さんはお姉さんといった感じの笑顔を見せてこう言った。

 「貴方達はどう成長してくんだろう?きっと、それぞれの道を歩んでいくと私は思っているよ。」

 「それぞれの……道………。」

 一つ、重大な任務が終わった。しかし、これが暗殺者の終着点ではない。俺達は別に生命再起会を潰す目的が作られた組織ではないからだ。
 極悪犯罪がある限り、暗殺者は必要とされる。この期間は、単なる一つ歴史の一ページに過ぎないのだ。
 ただ、何も暗殺機構はサイレンスだけではないし、サイレンスは………







 先日、サイレンス本部に加入者全員が招集された。顔馴染みの人も欠けているし、改めて全体を見ても六割は確実に欠けている。
 たった一年以内でまさかこんなにも減るとは、当時の俺は思ってもいなかっただろう。
 
 そう辺りを見渡していると、朝礼台に仮代表である旋梨が立ち、メガホンを持って話し始めた。

 「励領司令が亡くなられたため、私が代わりに話させていただきます。Order所属柊家の莉緒菜、Mythology所属の愁と話し合った結果、サイレンスを………解体する事に決めました。」

 すると、辺りは騒然とする。しかし、何となく察していた人も混じっている様子だった。

 「解体に至った経緯としては、次期司令が決まらない事や、今回の犠牲の多さが挙げられる。確かに暗殺者のほとんどは安眠出来ずに人生を終える。この業界は常に死と隣り合わせだ。しかし、生命再起会という大きな脅威との長期戦を終え、我々は心身共にボロボロ。組織復旧にも時間を用する事から、このような決断を下した。だが、安心してくれ。移籍先候補となる暗殺組織に話は通してある。暗殺者を強制的に辞職する事にはならない。手続きなどの都合上、今月一杯は組織を残しておく。それぞれの未来を心から祈っている。では、」

 こうして、緊急報告が終わった。







 墓参りの後、俺は帰宅した。久々のマイホームだ。暗黒政府生命再起会の探知から逃れる為にしばらく住居を移していたが、何事もなかったようで安心した。
 俺はベッドで横になり、呟いた。

 「それぞれの道……か…。」

 本当に決まっていないし、第一俺はまだ高校生だ。
 とは言え、養う人がいない俺は、自分で生活しなければならない。お金には全く困っていないが、時間だけはいくらあっても足りない。
 暗殺者の道しか見えていなかった俺は、他にどんな才能があり、何をするのが一番向いているのかも分からない。そんな不安がずっと存在している。
 
 そう部屋を見渡すと、ある物が目に止まった。

 「また極め直してみようかな……。」

 
   


    ~to be the continue~

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