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ChapterⅧ:FinalZone
No134.Overwhelming victory
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前方から飛んできたドローンの迎撃をそれぞれ始めたが、双方大したダメージにならなかった。
それもそのはず、奴は物量が多いドローンをコウモリのようにすばしっこく飛ばし、要所要所で射撃やスタン攻撃を仕掛けようとしてくるからだ。
俺は纏わるドローンの銃撃から逃れながら、突撃してくるドローンをナイフで受け止めるなり回避するなりしつつ、隙を見て反撃していた。
こちらはそこそこやれていたが、あの二人はまた状況が違うようだ……。
「この!……うっ!処理が追いつかない……!」
「彩良後ろ!」
「ッ!」
スナイパーである彩良は、ドローンの物量に少々押され気味であった。
彼女は狙撃の名手のため、俺と違って着実に一機ずつ墜とせている。しかし、リロードの間隔が早く、ある程度時間も必要とし、何より彼女は近距離向きではないので、数でしつこく付き纏うドローンに苦戦している様子だ。
莉緒菜の警告によって彼女は背後から奇襲を仕掛けるスタンガンのドローンから逃れた。
しかし、ドローンは上手に方向転換をして、再び彼女を狙った。
「世話の掛かる奴だな。」
俺はナイフをピンポイントで投げ、彼女を狙うドローンを撃墜させた。
「危なかった…助かったよ絆。」
「他所見してる余裕なんか俺達にはねぇ。ドローンは俺と莉緒菜の二人で食い止める。だから彩良は蝙蝠本人を直接狙いに行け。………絶対狙撃手の腕前……信じてるからな。」
「ッ!……その言葉、私からもいい?」
「勿論。“死んでも有利にしてやる”。」
「分かった!……絶対狙撃手の名は伊達じゃないんだからね!」
そう言って、彼女は手始めに目の前のドローンを一撃で粉砕し、見晴らしのよく、射線を遮れる場所に向かって移動していった。
「莉緒菜と二人きりの共闘は、意外にも珍しいか?」
「そうだね。」
「……今日は一段と月が綺麗だ。まるで食われてしまいそうだ。」
「今日は三日月だけど……。」
「何ら問題無い。……欠けた月であってもそれを補う仲間がいるから。」
「力が必要なら、そうだって言えばいいのに……。」
そう他愛ない会話をしているが、ここは戦場。生きるか死ぬかの世界だ。そうであっても、これくらいがやはり丁度いい。
ドローンはこちらに攻めてくるが、こんな会話をしながらも、回避と反撃を繰り返している。
「蝙蝠自身の攻撃が来そうだよ。絆。」
「本名呼びとは珍しいな。」
蝙蝠がこちらに銃口を向けたのを目に捉え、俺は死角となる建物の根本へと蛇行しながら走った。
『ちょこまかと…!』
スピーカー越しに蝙蝠のそんな声が聴こえてくる。
「ずっとそれらの開発にあんたが勤しんでる間、俺は日々技術向上に努めている。……やっぱり本人の実力はイマイチだな。」
『まさかぁ……あんな脳筋ダルマのHadesなんかより、我々Zeusの方が貢献しているにきまっている!』
「それはさ……一発当ててから言ってみろや。」
そう挑発すると、莉緒菜が対応していたドローンのヘイトが全て俺に向き、取り囲んできた。
「あっと……これは少々きつい……なんて言葉、口が裂けても言う気はない。」
俺はドローンの密集するところに、あえて自ら突っ込んでいった。
だが、無策に突っ込んだ訳ではない。その密集しているドローンの共通点、それは……中・遠方射撃の物ばかりで、高度が高いという事だ。
「決めに行くぞ。Order!」
スライディングをして密集しているドローンの下を潜り抜けながら、爆弾を括り付けられたナイフを刺し、ある程度距離を取ってから起爆した。
その後、壁を支点にして振り返り、三本のナイフを一気に飛ばして、スタンガンで突撃してくるドローンをピンポイントで撃墜させた。
「成功だ。」
『今の動作だけで半分以上のドローンをダメにしたですと……?!そんな馬……』
スピーカーが何か言っている最中だったが、俺は無情にもナイフ投げで仕留めた。
「あのガキぃぃ!」
遠距離で挑発を入れる手段さえも失った蝙蝠は激昂し、身体を前に乗り出して絆を直接狙い撃とうとしてきた。
「散々してくれましてぇ……私自身の腕なんかなくても、結局研究は裏切らないんですよぉ!」
残り半分となったドローンがこちらに突撃してくるが、俺はそれを軽々と避け、ナイフ投げで撃墜させた。
「ッ!そんな小学生でも思いつきそうな……。」
先程の奴は全て撃ち落としたが、存在感を消して潜伏していたドローンが一気に飛び出し、俺の手足を拘束した。
「そのまま殺す事もできただろうに、あんた自身の手で俺を殺したい欲望が滲み出てるぞ?」
すると、身体を前に乗り出して蝙蝠は言ってきた。
「私は誇り高き技術の結晶をまるで道端の枝のように扱った貴方だけは許さないですよぉ。………さっさと死んで下さい。生きてるだけで不愉快ですから。」
そして奴は引き金を引こうとした。
「あのさ……あんたの目には、俺しか見えてないのか?」
「ッ!……いつのま……に………。」
刹那、スナイパーライフルによる狙撃で、蝙蝠の心臓は撃ち抜かれた。
莉緒菜は俺を拘束したドローンを撃ち壊し、開放された俺は残りのドローン全て破壊をした。
そして、俺は蝙蝠を見下ろして言った。
「柊司令の仇。きっちり取らせてもらったぞ。」
奴の攻撃ユニットは全滅。こちらの損傷はほとんどなし。完全勝利だ。
それもそのはず、奴は物量が多いドローンをコウモリのようにすばしっこく飛ばし、要所要所で射撃やスタン攻撃を仕掛けようとしてくるからだ。
俺は纏わるドローンの銃撃から逃れながら、突撃してくるドローンをナイフで受け止めるなり回避するなりしつつ、隙を見て反撃していた。
こちらはそこそこやれていたが、あの二人はまた状況が違うようだ……。
「この!……うっ!処理が追いつかない……!」
「彩良後ろ!」
「ッ!」
スナイパーである彩良は、ドローンの物量に少々押され気味であった。
彼女は狙撃の名手のため、俺と違って着実に一機ずつ墜とせている。しかし、リロードの間隔が早く、ある程度時間も必要とし、何より彼女は近距離向きではないので、数でしつこく付き纏うドローンに苦戦している様子だ。
莉緒菜の警告によって彼女は背後から奇襲を仕掛けるスタンガンのドローンから逃れた。
しかし、ドローンは上手に方向転換をして、再び彼女を狙った。
「世話の掛かる奴だな。」
俺はナイフをピンポイントで投げ、彼女を狙うドローンを撃墜させた。
「危なかった…助かったよ絆。」
「他所見してる余裕なんか俺達にはねぇ。ドローンは俺と莉緒菜の二人で食い止める。だから彩良は蝙蝠本人を直接狙いに行け。………絶対狙撃手の腕前……信じてるからな。」
「ッ!……その言葉、私からもいい?」
「勿論。“死んでも有利にしてやる”。」
「分かった!……絶対狙撃手の名は伊達じゃないんだからね!」
そう言って、彼女は手始めに目の前のドローンを一撃で粉砕し、見晴らしのよく、射線を遮れる場所に向かって移動していった。
「莉緒菜と二人きりの共闘は、意外にも珍しいか?」
「そうだね。」
「……今日は一段と月が綺麗だ。まるで食われてしまいそうだ。」
「今日は三日月だけど……。」
「何ら問題無い。……欠けた月であってもそれを補う仲間がいるから。」
「力が必要なら、そうだって言えばいいのに……。」
そう他愛ない会話をしているが、ここは戦場。生きるか死ぬかの世界だ。そうであっても、これくらいがやはり丁度いい。
ドローンはこちらに攻めてくるが、こんな会話をしながらも、回避と反撃を繰り返している。
「蝙蝠自身の攻撃が来そうだよ。絆。」
「本名呼びとは珍しいな。」
蝙蝠がこちらに銃口を向けたのを目に捉え、俺は死角となる建物の根本へと蛇行しながら走った。
『ちょこまかと…!』
スピーカー越しに蝙蝠のそんな声が聴こえてくる。
「ずっとそれらの開発にあんたが勤しんでる間、俺は日々技術向上に努めている。……やっぱり本人の実力はイマイチだな。」
『まさかぁ……あんな脳筋ダルマのHadesなんかより、我々Zeusの方が貢献しているにきまっている!』
「それはさ……一発当ててから言ってみろや。」
そう挑発すると、莉緒菜が対応していたドローンのヘイトが全て俺に向き、取り囲んできた。
「あっと……これは少々きつい……なんて言葉、口が裂けても言う気はない。」
俺はドローンの密集するところに、あえて自ら突っ込んでいった。
だが、無策に突っ込んだ訳ではない。その密集しているドローンの共通点、それは……中・遠方射撃の物ばかりで、高度が高いという事だ。
「決めに行くぞ。Order!」
スライディングをして密集しているドローンの下を潜り抜けながら、爆弾を括り付けられたナイフを刺し、ある程度距離を取ってから起爆した。
その後、壁を支点にして振り返り、三本のナイフを一気に飛ばして、スタンガンで突撃してくるドローンをピンポイントで撃墜させた。
「成功だ。」
『今の動作だけで半分以上のドローンをダメにしたですと……?!そんな馬……』
スピーカーが何か言っている最中だったが、俺は無情にもナイフ投げで仕留めた。
「あのガキぃぃ!」
遠距離で挑発を入れる手段さえも失った蝙蝠は激昂し、身体を前に乗り出して絆を直接狙い撃とうとしてきた。
「散々してくれましてぇ……私自身の腕なんかなくても、結局研究は裏切らないんですよぉ!」
残り半分となったドローンがこちらに突撃してくるが、俺はそれを軽々と避け、ナイフ投げで撃墜させた。
「ッ!そんな小学生でも思いつきそうな……。」
先程の奴は全て撃ち落としたが、存在感を消して潜伏していたドローンが一気に飛び出し、俺の手足を拘束した。
「そのまま殺す事もできただろうに、あんた自身の手で俺を殺したい欲望が滲み出てるぞ?」
すると、身体を前に乗り出して蝙蝠は言ってきた。
「私は誇り高き技術の結晶をまるで道端の枝のように扱った貴方だけは許さないですよぉ。………さっさと死んで下さい。生きてるだけで不愉快ですから。」
そして奴は引き金を引こうとした。
「あのさ……あんたの目には、俺しか見えてないのか?」
「ッ!……いつのま……に………。」
刹那、スナイパーライフルによる狙撃で、蝙蝠の心臓は撃ち抜かれた。
莉緒菜は俺を拘束したドローンを撃ち壊し、開放された俺は残りのドローン全て破壊をした。
そして、俺は蝙蝠を見下ろして言った。
「柊司令の仇。きっちり取らせてもらったぞ。」
奴の攻撃ユニットは全滅。こちらの損傷はほとんどなし。完全勝利だ。
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