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ChapterⅦ:Candle

No105.Brilliant talent

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 再び故郷に帰還して数日。どうやら火災が連発しているようだ。しかし、仲間からその類の情報は入っていない。
 すると、聖薇先輩から連絡がきた。

 『進展があった。今すぐ会えるか?』

 「はい。」

 『夕憧も連れて渋谷駅で。』

 そうして電話が切れた。夕憧の部屋をノックした。すると、彼女は出てきた。

 「聖薇先輩からお呼びが。行くよ。」

 「分かった。」   

 支度が済んだ自分達は、徒歩で渋谷駅へ向かった。







 渋谷駅で五分ほど待っていると、彼らが到着した。

 「お待たせしました。」

 「全然。……さて、場所を移そうか。前線基地に案内する。」

 二人を連れて、前線基地に戻った。







 「けっこう広いですね。」

 「プレデスタンスは経済的にも余裕があるらしいな。」

 サイレンスは三代目に入り、緊急で本部も移したため、資金がギリギリだ。とは言え、サイレンスの支部的な扱いでプレデスタンスの傘下となっているため、そこまでピンチでは無い。
 統合したといっても過言では無いだろう。

 「それで、要件というのは……。」

 夕憧がそう声を出したので、俺は要さんの言っていた燈花についてと、彼らの学校が狙われるかもしれない事を説明した。



 「それは少し心配ね。」

 「少しなのか?」

 「私達だけでどうこうする訳じゃないし、八人も主戦力がいればそこまで……」

 「今回、旋梨と愁は参戦出来ないぞ。」

 夕憧が言いかけた時、撫戯がそう割り込んできた。

 「え?何故?」

 思わず俺はよくわからないテンションで返す。

 「別件だとよ。東京外へ行っているから、すぐには帰れない。そして、正六角形が完成した今、タイムリミットは少ない。」

 「六人か……。」

 相手が燈花だけとは限らないし、救助も一応任務対象内だ。心許無い人数だ。
 俺達も日々強くはなっているが、実践してないので通用するかは別問題であり、尚且つ失敗が許されない任務になる事が予想される。
 
 「それで、何か対策はした方がいいんです?日時までは流石に分かりませんよね。」

 「放課後だね。」

 夜空が質問を投げかけると、丁度帰ってきた要さんがそう答えた。

 「何故分かるんですか?」

 「過去三回が、日中だった。下校寸前の時間だったよ。一番混乱させやすいんだろう。対策に関しては特に必要無い。時間帯は予想出来ても、結局はゲリラだ。手遅れなくらい火が広がる前に、誰かに連絡して。こっちはいつまで駆けつける準備をしておくから。」

 「分かりました。聖薇先輩に連絡します。」

 「了解。いつでもスタンバっとく。」

 「まぁ場所も言わば傾向だからね。外れる可能性だってある。ただ一つ教えておくよ。……俺のコードネームは透念。見透かしのプロフェッショナルだ。」

 そう言って、要さんは階段を上がっていった。

 「要は本当に何でも分かっちゃうから!あんまり心配し過ぎないで、肩を軽くね。でも、油断は禁物だよ。」

 月歌さんもそう言って、階段を上がっていった。
 不思議な人達だ。華隆さんや兄上にとって大事な仲間。彼らの本質は、素人目じゃ見抜けない。

 「自分達はこの辺で失礼します。忠告ありがとうございました。」

 「先輩方。また会いましょう。」

 そう言い残して、凍白姉弟は帰路に着いた。

 「撫戯、世の中凄い人ばかりだ。お前も含めて。」

 ふとそう思い、気づけばそう口にしていた。すると彼は答える。

 「歪も十分にその仲間だ。挫折を知らない。例え記憶が消されようが、執念で完全には消えなかった男じゃねぇか?」

 「はは……そうだったな。……撫戯。お前はたった一人で守り続けた。そして、俺に知らない世界を見せてくれた。感謝してる。」

 「遺言か?……まだ死ぬのは早ぇよ。大切な人、取り返していないし、問題も全然解決していない。希望を勝ち取った後が、最高の墓場だろ?」

 「そうだな。まだ何も果たせていない。」

 そう覚悟を決め直し、俺達もそれぞれの自室に戻った。







 最近、全然夜空君と話せていない。あからさまでは無いけど、少し冷たくなった気がする。
 私だけへの対応じゃないから、嫌われた訳では無さそうだけど、少し不安になってしまう。
 無意識に忘れようとしていたけど、私失恋しているんだった。お姉ちゃんも行方不明になっているし、私の心の拠り所はすっかり無くなっている。

 「はぁ…人生、上手く行かないよ。」

 ため息を溢し、屋上から景色を眺めていると、何やら人集りが目に入った。
 何だろうと思って目を凝らしたけど、その人達は何処に行ってしまった。
 校外を一周していたようだけど、何だったんだろう。
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