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ChapterⅥ:Signpost

No102.Strong person

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 「全員揃ったな。では、話そうか。」

 呼ばれたメンバーは俺、撫戯、絆、後はEnterの面々だ。
 この時点で何か動きがあった事を察してしまう。

 「Mythologyのお陰で、関東の様子がかなり割れた。愛沙、説明を。」

 「はい。現状として、暗黒政府の存在や行いは一般には知られている様子はありませんし、無干渉です。しかし、中区と千代田区だけは例外的でした。恐らくですが、このどちらかに本拠地を構えている可能性が高いです。」

 「俺は、ほぼ千代田区で確定だと思っているが、どうだ?」

 兄上がそう話を振ると、満場一致で頷いた。

 「それに付け加え、僅かだが情報を入手した。夜空の持ち帰った液体を解析したのだが……あれがクローンを形成する要素の一つだ。ある程度推測は出来たが、やはりな。そこで、本格的にメンバーを動員していく事を予定している。」

 確かに、旋梨と愁がHadesと交戦したため、もう認知されただろう。現状奴らは裏で何かしていそうだが、一般への被害は少ない。
 何かやり始める前に先手を打っておいて損は無いだろう。

 「それで兄上、具体的には何を……。」

 「歪、撫戯、要、月歌を動員。凍白姉弟を再動員する。凍白はこれまでみたく一般に溶け込むように伝えてあるが、この四人は暗黒政府から存在が認知されている。」

 「ならどうする気だ?俺も歪も居場所が無いぞ。」

 「ああ。しかし、いつまでも無干渉なはずがない。奴らが何かアクションを起こした時、高戦力がすぐに到着出来なければ、被害は拡大する一方になる。そこで、プレデスタンス前線基地を設ける。」

 「私と薔羨、黄牙はこの本拠地で裏方に徹する。中部側は、サイレンス本部が置かれているし、両側から鎮圧するのが大まかな流れになる。」

 「奴らが等間隔で暴れる分には、この六人プラス先に常駐し始めた二人で余裕なはずだ。万が一相当ピンチになったとしても、こちらで状況を確認している。Orderも要請できるし、Silverも呼べるように話は着けた。何なら俺が直々に行く事も出来る。」

 「それは分かったが、方針はどうなるんだい?」

 ずっと黙っていた要がそう口を開いた。すると、葉桜さんが答えた。

 「情報シャットダウンがあまりにも酷いので、現地収集部隊として貴方達を派遣するの。兼任して最高戦力も担えるし。こっちが攻めれる情報が揃うか、向こうが大規模なアクションを起こしたら、総動員で決着を着けにいくのが、今回の方針。」

  「なるほど……。そこで最強の暗殺者を投入するのか。」

 ここでいう最強暗殺者は兄上だ。俺はあくまでサイレンス内最強である。てっきり華隆さんが不動の最強だと思っていた時期もあったが、兄上はそんな彼と互角。いや、今はそれ以上かもしれない。
 ただ、忘れてはいけないのは、Asmodeus含む生命再起会の暗殺チームだ。まさに怪物の巣窟。俺も撫戯も一度は敗れ、兄上も何度か戦っているが唯一討ち取れた重要戦力は彼岸のみ。
 それに、奴らはまだ秘密兵器を隠していてもおかしくは無い。
 
 「愛沙の言った事が今回の全容だ。ここから別行動になるが、それぞれのすべきことを達成できる事を祈っている。では、解散。」

 こうして、今回の会議は終了した。終了後、俺は兄上の居座る部屋へ行った。







 「俺も撫戯も修行して、以前より格段に強くなった。だが、まだ満足出来ない。兄上はどう思ってる?」

 「お前達はポテンシャルの塊だ。まだ成長の余地は十分にある。というより、俺にはお前達が上限に達する姿が想像出来ない。それくらいには、止まる事を知らない伸び方をしているからな。」

 「当然じゃん。聖薇一族の残されし白薔薇と、讐鈴一族の全てが敵になったとしても貫き通す孤高だ。」

 「上手いこと言うじゃないか。………頼んだぞ。お前達に割と掛かっているから、この国の未来は。」

 覚悟はとっくの昔から出来ている。早死してもおかしく無い界隈で、一族が実質壊滅に陥ろうとも、ここまで生き延びた。
 まだ学生なのに、それよりも未熟だったあの頃で親なしで生きようとする事。生半可な覚悟でそんな生地獄を見るはずがない。
 
 「あぁ。……必ず、大切なものを……!」

 「それでこそ俺の弟だ。……共に取り返すぞ。幸福を。」

 やられっぱなしで完全燃焼すると思ったら大間違いだ。俺達の闘志は、そんなに脆くは無い。
 “大切”が絡むなら、尚更不完全燃焼で喰らいつくのみだ。


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