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ChapterⅥ:Signpost

No84.justice was the enemy of society

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 配置に着いた。時刻は十七時。早速葵が開始信号を要に送る。







 「月歌。行くよ。」

 「了解!」

 返事をし、月歌はレーダー装置を起動して、ポケットに入れた。
 隠し持った事を確認した要は、携帯電話を取り出し、黄牙に連絡した。

 「こちら透念。レーダーを起動した。受信できるかい?」

 『こちら逸脳。問題無く動作している。そこから東の方向に人集りがあるが、広場のため犯行現場には適さない。西、北は特に反応が無い。』

 「つまり南か今日では無いのが有力と。……通話は繋いだままにしておきたい。インカムを持ってこさせれるか。」

 『慈穏に持ちかけよう。』







 図書館。黄牙から連絡が掛かった。

 『インカムの予備はあるか?』

 「ある。持っていけば良いか?」

 『頼んだ。』

 「了解。……しばらく俺は空ける。薔羨だけで対処できるか?」

 「一応な。お前ならすぐ戻ると思うが。」

 「迅速に運ぶとするよ。」

 そう言い残すと、慈穏はアスリート並のステップで、座標の位置に向かって行った。
 明らかな彼の強みだ。この圧倒的なフィジカルは。







 「四分弱かな?ほら、インカム。」

 「ありがとう。…高所からの様子は?」

 「南が入り組んでいて、ギリ通学路の範囲内。行ってみる価値はあるだろう。というか、愛沙にはその辺りで待機してもらってる。」

 「なるほど…。月歌、反応は?」

 「ちょっとは強くなってる。南はやっぱり怪しいね。」

 『南のカメラを調べたが、特に人が集まるような場所は無い。向かってみてくれ。』

 「「了解。」」

 そう返事をして、二人は南に向かった。慈穏は颯爽と定位置に走って向かった。







 私は入り組んだ商店街裏を歩いている。すると、何やら話し声が聞こえてくるため、私は身を潜めた。

 「今日のキャンプ地はここだ。商店街を中心に人を攫うぞ。」

 「はい。」

 統率者らしき人がそう言うと、八人ほどの若者が無垢の仮面を着け、動き始めた。
 私はすぐに座標と周辺地図を黄牙に送り、後を追った。







 『…ほう。たった今、地雷から座標が送られてきた。商店街だ。透念、寵愛は先に偵察を。』

 「おーけい。月歌、後方は頼んだ。」

 「うん!」

 二人はすぐに商店街の方へ向かった。







 何やら騒がしい。そんな雰囲気を感じている。その理由もビンゴだったが。

 『商店街で目撃した。しかも、今回は銃持ちだ。テロに近い形となる。厄介な事に警察も動いているようだが。』

 直後、無垢仮面の写真が送られてきたため、Cosmosなのは間違い無いが、手法が全く異なる。
 恐らく、我々か公共を警戒し、逆算を防いだか、今回がたまたま大掛かりかの二択だ。
 どちらにせよ、警戒も動くとなると、こちらも動きにくい。今回の目的はあくまで本拠地の特定であり、一人懲らしめるのは前座だ。
 しかし、警察がいるとなると、こちらも尋問出来ない。

 「とりあえず向かう。お前も加勢しに来られるか。ここからは葵を指揮官とする。」

 『もう向かっている。慈穏には近かったからすぐに連絡した。』

 「後は俺だけか。…連絡を切る。集中しろ。」

 『了解。』

 通話を切り、有無も言わさず俺は葵を抱きかかえ、商店街に向かった。


 「悪いな。あそこはガチの戦場だが、安全地帯も少ない。俺が守りながら戦う事を保証する。彼らとの連携を任せてもいいか。」

 「分かった。」

 「よし、スピード上げるぞ。掴まれ。」

 彼女が強く腕を握った事を確認し、俺は走った。







 商店街。躊躇無く発砲するCosmosと、やむを得ない警察の乱戦が続いている。
 流れ弾で負傷する人も出るほどだ。日本の犯罪ではかなりのイカれ具合だろう。
 しかも、Cosmosの増援も来ているようだ。私は混乱する一般人を誘導しながら、情報をチームに送信していた。

 「……ちょっと眠ってろ。」

 遠くから瓶が投げ込まれ、警察部隊は一気に眠らされた。
 すると、何が起きたのか分からず混乱しているCosmosの人が、狙撃された。

 「ぐはぁっ!」

 すると、撃たれた人の近くに居た班員が、狙撃手のいるであろう方向に銃口を向けた。
 しかし、背後から首を突かれ、気絶した。

 「ナイスチームワークだ。寵愛。」

 そう言って、狙撃手である黄牙が姿を現した。

 「警察は透念が移動させたよ。地雷が誘導してくれたお陰で目撃者も居ない。監視カメラは全部布を被せておいたよ。」

 「むっちゃ有能やないか。……まだ気配がするが、警察はどう止めている。」







 商店街の入口。警察は入れていない。それもそのはず、寵愛が気絶させたCosmosを叩き起こし、透念の口説きでマインドコントロールを実現した。そして、入口付近に送り込んだのだ。
 彼の思考を読む力と異次元のトーク力があれば、忠実でない部下の洗脳くらいは容易い。

 「しぶとい奴らだ。中に一人でも送れ!」

 「私が行く!」

 一人の警察が掻い潜って抜けようとしたが、透念はそれを許さない。
 棒を投げて転ばせた。その隙に電気ショックを与える。

 「死なないだけマシだと思って。君達じゃ解決できないから。道徳心を捨てなきゃ、クズ集団には勝てないよ。」







 入口付近だけが騒がしい。彼らが上手く誘導してくれたようだ。
 
 「発見した。お前が統率者か。」

 縄で引き寄せ、俺はそう問うた。

 「この件はな。何が目的サイレンスEnter?政府の味方でも無ければ、我々の手助けをしてるわけでも無いでしょ。」

 「日本の犯罪率は右肩上がり。政府で対処出来ていない現状だ。故にサイレンスは生まれた。実態は政府の一部が加担してるが。」 

 「君も悪やなぁ。…私がCosmosの長に出会う前に君に出会っていたら、友達になれたかもな。」 
 
 そう言うと、男は縄で勢いを付けて俺を蹴り上げ、固めから抜けた。
 幸い、俺は防御姿勢を取っていたため、軽く吹っ飛ぶだけで済んだ。
 男はショットガンを取り出し、銃口を向けた。…葵の潜伏場所に。

 「不運だな。こんなクズ二人の戦場に取り残されて。」

 多分俺は、もっと早くに出会ってもこいつを友達とは認めないだろう。
 まるで“俺の友情の本質”を理解できていない。

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