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Chapter Ⅳ:Stealth
No48.Do you know it?
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署に連行された後、俺は職質を受けた。しかし、こんな強引な連中だ。事実証明では無く、罪人と認めさせるための無駄な時間。裏社会の拷問よりよっぽどねじ曲がっている。
しばらくすると、あのマネージャーも来やがった。余計話が飛躍するからマジで邪魔なだけだ。
「匿名でストーカー突き出しましたよね?それ、俺です。」
「馬鹿言え。」
流石にこのカミングアウトは通用しない。だが、ここで“決定的”な証拠がある事に気が付いた。
「なら、これを見ても嘘だと言えますか?」
俺はスマホのホーム画面を見せた。俺、恋音、種田の三人で遊びに行った時に撮った写真だ。
小学三年位のものであり、確実な証拠と言える。三人とも面影はあるため、否定のしようがない。
「今の時代、加工も偽造も朝飯前だ。そんなのに騙されるようじゃ、この業界やっていけん。大体、ただの学生と人気アイドルじゃ、“釣り合わないんだよ”。」
その言葉は、見事に俺の“地雷”を踏み抜いた。こんな老害に俺の事を貶されるのはまだ構わない。ただ、俺達の思い出を“偽造”の一言で片付けられるのは、堪忍袋が爆発せざるおえない。
「はぁ………人の大切な記憶に好き勝手言いやがって!」
冷静な心を捨て、マネージャーの胸ぐらを掴んでそう言う捨てた。
しかし、すぐに予め囲っていた警備隊に取り押さえられ、マネージャーに物理的に見下される体制になった。それでも俺は口を開く。
「お前は恋音の何を知っている!何故、お前は俺達の関係に口出しできる!何故、息を吐くように流せる!彼女が実は泣き虫で寂しがりだって知っているか?彼女の不安を解消していたのを誰だか知っているか?……これは確かに彼女が望んだ道だ。だが、プライベートに干渉する奴なんかには任せたくない。幼馴染みとして、親友として!」
心に身を委ねてそう言っている間にも、マネージャーと距離は開く。俺はこれから恐らく保護されるだろう。
ただ、最後に渾身の一言を吐き捨てる。
「消えろ。……必ずその言葉、訂正…いや、後悔させてやる。」
それからというもの、俺は少年院送りとなった。メディアでは虚偽の情報が円満、幸い種田の訴えによって退学は免れたが、その風当たりはあまり良いものでは無い。
恋音が慌てて釈放を要求したため、すぐに出られた。だが、社会的に敵認定された俺は、裏社会に戻った。
聖薇にも種田にも、恋音にも当然会っていない。もう迷惑が掛かりそうで関係を絶ちたい。
あの忌々しい出来事から三年の月日が流れた。約一年前から、度重なる異常気象とそれに対する政府の対応の悪さから、国が荒れ始めていた頃だった。
連絡先を一応持ってはいるものの、音信不通だった元家出少年「聖薇薔羨」からメールが届いた。
『明日、名古屋に来い。よい話を持ってくる。』
特にする事も無く射撃とワイヤー制御の訓練に明け暮れていた俺は、翌朝に名古屋駅へと向かった。
大都市名古屋とは言えとも、人は驚く程居なかった。関東以外は鉄道が通っていないので、ただのシンボルなのだ。
そんな中、立っていたのは薔羨では無い男性だった。
「お、君が讐鈴撫戯だよね?こっちに来な。」
その男性は俺を呼び、手招きをした。怪しさしか無いのだが、最悪カウンター出来るように銃を忍ばせてあるため、近づいた。
「誰だ。」
「Leviathanって知ってる?」
その一言で彼の正体が分かった。このフレンドリーで弟感のある人、そして青い瞳。
「底沼……。」
「当たり。黒薔薇の代理で用件を伝えに来た。…というか、僕が君に用がある。」
「はぁ……何ですか?」
「Leviathanに入らない?」
「その利点が俺にとってあると?」
入る理由なんて無い。大体、こんな得体の知れない最恐チームに入りたい奴なんていないだろう。
「初期メンバー以外初めての新規だぞ?それに、これは黒薔薇からの推薦だ。知っての通り、今社会は不安定だ。ここらで革命を起こすべきだと思い、黒薔薇はプレデスタンスを組織した。そこの上層メンバーに君を招き入れたいらしい。Leviathanは無条件で上層入り。こんないい話他にそうそう無い。」
「それでも俺は………」
「うちには凄腕ハッカーが居る。どんなサーバーでも支配できるね……。勿論、君を苦しめた連中の情報位、容易に集まる。」
今の俺の目標は、奴らへの“復讐”だった。どうせ宛もないし、確かに美味い話ではある。それに、仮に裏切られようとも、何もしないよりはマシだ。
「……乗ってやんよ。十五年ぶりの戦線復帰だ。」
「四歳から戦闘しているの?」
「囮役だけどな。」
こうして、俺のLeviathan入りが決まった。後悔は無い。
絶望一色。またあの日と同じように、今度こそ本当に刑務所送りなのだから。
殺すのは容易なのに殺せない。復讐対象は目の前にいるのに……。
俺はそっと目を閉じた。
「悔いはない。やれる事は…全て……」
『まだお前は腐ってない。』
「ッ!」
しばらくすると、あのマネージャーも来やがった。余計話が飛躍するからマジで邪魔なだけだ。
「匿名でストーカー突き出しましたよね?それ、俺です。」
「馬鹿言え。」
流石にこのカミングアウトは通用しない。だが、ここで“決定的”な証拠がある事に気が付いた。
「なら、これを見ても嘘だと言えますか?」
俺はスマホのホーム画面を見せた。俺、恋音、種田の三人で遊びに行った時に撮った写真だ。
小学三年位のものであり、確実な証拠と言える。三人とも面影はあるため、否定のしようがない。
「今の時代、加工も偽造も朝飯前だ。そんなのに騙されるようじゃ、この業界やっていけん。大体、ただの学生と人気アイドルじゃ、“釣り合わないんだよ”。」
その言葉は、見事に俺の“地雷”を踏み抜いた。こんな老害に俺の事を貶されるのはまだ構わない。ただ、俺達の思い出を“偽造”の一言で片付けられるのは、堪忍袋が爆発せざるおえない。
「はぁ………人の大切な記憶に好き勝手言いやがって!」
冷静な心を捨て、マネージャーの胸ぐらを掴んでそう言う捨てた。
しかし、すぐに予め囲っていた警備隊に取り押さえられ、マネージャーに物理的に見下される体制になった。それでも俺は口を開く。
「お前は恋音の何を知っている!何故、お前は俺達の関係に口出しできる!何故、息を吐くように流せる!彼女が実は泣き虫で寂しがりだって知っているか?彼女の不安を解消していたのを誰だか知っているか?……これは確かに彼女が望んだ道だ。だが、プライベートに干渉する奴なんかには任せたくない。幼馴染みとして、親友として!」
心に身を委ねてそう言っている間にも、マネージャーと距離は開く。俺はこれから恐らく保護されるだろう。
ただ、最後に渾身の一言を吐き捨てる。
「消えろ。……必ずその言葉、訂正…いや、後悔させてやる。」
それからというもの、俺は少年院送りとなった。メディアでは虚偽の情報が円満、幸い種田の訴えによって退学は免れたが、その風当たりはあまり良いものでは無い。
恋音が慌てて釈放を要求したため、すぐに出られた。だが、社会的に敵認定された俺は、裏社会に戻った。
聖薇にも種田にも、恋音にも当然会っていない。もう迷惑が掛かりそうで関係を絶ちたい。
あの忌々しい出来事から三年の月日が流れた。約一年前から、度重なる異常気象とそれに対する政府の対応の悪さから、国が荒れ始めていた頃だった。
連絡先を一応持ってはいるものの、音信不通だった元家出少年「聖薇薔羨」からメールが届いた。
『明日、名古屋に来い。よい話を持ってくる。』
特にする事も無く射撃とワイヤー制御の訓練に明け暮れていた俺は、翌朝に名古屋駅へと向かった。
大都市名古屋とは言えとも、人は驚く程居なかった。関東以外は鉄道が通っていないので、ただのシンボルなのだ。
そんな中、立っていたのは薔羨では無い男性だった。
「お、君が讐鈴撫戯だよね?こっちに来な。」
その男性は俺を呼び、手招きをした。怪しさしか無いのだが、最悪カウンター出来るように銃を忍ばせてあるため、近づいた。
「誰だ。」
「Leviathanって知ってる?」
その一言で彼の正体が分かった。このフレンドリーで弟感のある人、そして青い瞳。
「底沼……。」
「当たり。黒薔薇の代理で用件を伝えに来た。…というか、僕が君に用がある。」
「はぁ……何ですか?」
「Leviathanに入らない?」
「その利点が俺にとってあると?」
入る理由なんて無い。大体、こんな得体の知れない最恐チームに入りたい奴なんていないだろう。
「初期メンバー以外初めての新規だぞ?それに、これは黒薔薇からの推薦だ。知っての通り、今社会は不安定だ。ここらで革命を起こすべきだと思い、黒薔薇はプレデスタンスを組織した。そこの上層メンバーに君を招き入れたいらしい。Leviathanは無条件で上層入り。こんないい話他にそうそう無い。」
「それでも俺は………」
「うちには凄腕ハッカーが居る。どんなサーバーでも支配できるね……。勿論、君を苦しめた連中の情報位、容易に集まる。」
今の俺の目標は、奴らへの“復讐”だった。どうせ宛もないし、確かに美味い話ではある。それに、仮に裏切られようとも、何もしないよりはマシだ。
「……乗ってやんよ。十五年ぶりの戦線復帰だ。」
「四歳から戦闘しているの?」
「囮役だけどな。」
こうして、俺のLeviathan入りが決まった。後悔は無い。
絶望一色。またあの日と同じように、今度こそ本当に刑務所送りなのだから。
殺すのは容易なのに殺せない。復讐対象は目の前にいるのに……。
俺はそっと目を閉じた。
「悔いはない。やれる事は…全て……」
『まだお前は腐ってない。』
「ッ!」
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