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Chapter Ⅳ:Stealth

No39.Exclusion

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 すると、映人が声を発した。

 「撹乱が効いている様子が無い。違和感を感じて調べてみたら……溶け込む内通者がいるようだ。しかもプレデスタンス上層部の情報も度々抜かれている。構成員まではバラされてないらしいが。」

 「君がハッカーである事はバレてないんだよな?」

 「ああ。」

 甘採は銃弾を映人に対して投げた。

 「そいつの排除が先決だ。あちらに流されなければ成り済ませる。」

 「任せておけ。」

 そう言うと映人はパソコンの前に座り、サイレンスのサーバーを漁り始めた。

 「俺ちょっと席外すわ。」

 撫戯は何処かに行ってしまった。

 「で、作戦はどうなってる?」

 「正直な話、真っ向から挑んでも白薔薇と紅月に全て壊されるだけ。なら内部から狂わせれば良い。そうだな……「ステルス作戦」と言ったとこ。」

 「なるほど……。ま、気長にいくか。」

 「だな。焦る必要すら無い。」

 会話を終え、二人も解散していった。








 旋梨と波瑠のドキドキデートの翌日、俺は昨日の件でテントへと向かっていった。
 それは偶然だった。偶然助けた人が今会うべき人物の関係者だったのだ。

 「やはり貴方でしたか。歪君。」
 
 その場所に行くと、既にその人物は待っていた。

 「お久しぶりです。種田さん。」

 彼は「種田」。二個上の先輩で、暗殺者関係では無いが、撫戯の友人だった。

 「まずお礼を言わせて下さい。昨日はうちのアイドルを救ってくださりありがとうございました。」

 昨日はあの場所でイベントをやっていたらしく、そのプログラムの一つにライブがあったらしい。ちなみに、真依はあのステージで単独ギターしたらしい。

 「いえいえ。半分趣味なんで。」

 「そうでしたね。ところで、貴方が僕を呼ぶという事は、何かあったんですね。」

 言っていいものなのか。彼は暗殺者関係者では無いものの、俺達の正体を承知の上で仲良くしていた。一般人である彼が情報を持つという事は、つまり消される可能性が高まるという事。

 「躊躇ってますか?安心してください。僕も半端な覚悟で人生生きてないですから。」

 そう言われてはっとした。彼は実際、芸能界に携わっていても、平穏に生きられている。

 「……単刀直入に言う。撫戯がLeviathan堕ちした。」

 すると、種田は分かりきっていたようで哀愁のある表情を浮かべた。

 「貴方がわざわざ僕を呼ぶって事は撫戯関連だと思っていました。この混乱した社会情勢ならあの界隈に彼が戻っても不思議ではありませんでしたし。」

 「報復には気をつけろよ。後、苦しいと思うけど、撫戯に関与していた過去をあまり公表しないでほしい。これは彼のためであり、種田さんのためでもあります。」

 「……承知しました。上層部の様子は伺った方が良いかな?」

 「ああ。特に「四季 恋音」のマネージャーは監視必須。彼をこれ以上汚さないためにも。」

 「はい。あ、僕からも話したい事があるんですけど良いですか?」

 「ああ。」

 種田からの用件なんて心当たりが無い。そもそも、異常気象の年はまだ一緒に居たが、サイレンスも政府に雇われてはいなかった。

 「貴方の曖昧な記憶について…偶然耳にしましてね。ちょっと詳細な話は本当に消されてしまうかもなので話せないですけど……。」

 そう言うと、彼は俺の耳に近づいた。

 『薔羨さん……貴方の記憶を呼び起こすキーです。』

 「待て。それはどうい……」

 「あ、時間です。またお会いしましょうね。」

 そう言って逃げるように種田は行ってしまった。
 薔羨……聞き覚えのある名前だが、霧が振り払えない。だが、この曖昧な記憶の中に含まれる人物である事は間違いないのだろう。







 無法地帯で情報屋を営む男「本井」。山田にサイレンスの事を流したあの共犯者だ。彼は今日も特大スクープを求めて歩き回っていた。

 「止まれ。」

 スコープで覗かれている事を察した本井は、護身の銃も全て投げ捨て、手を挙げた。

 「いい子だ。」

 視線の方向から、映人が姿を現した。

 「何故分かった。」

 「逆探知させてもらった。すると、お前は確かに奴らにこちらの情報を流していたが、逆に山田にも奴らの情報を流したな?……何が目的だ。」

 「単なる二重スパイさ。この分裂した日常を変えたいと思っただけ。」

 「言いたい事はそれだけか?」

 「……。プレデスタンスに干渉した時点で、消されるのは覚悟していた。」

 刹那、本井は頭から血を流して倒れた。

 「排除完了。」

 映人は冷酷な視線を本井の亡き骸に落とし、その場を立ち去った。

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