多面性を持つ最強暗殺者はただ日常を望む

やみくも

文字の大きさ
上 下
37 / 150
Chapter Ⅲ:Friendship

No37.Predicted as a sign of youth

しおりを挟む
 あれから一週間後、商業地区の復興も進行しており、平和な日常が流れていた。
 撫戯の件といいまだ嵐の前の静けさ感が否めないが、狡猾なLeviathanならしばらくはおとなしいだろう。…動き始めたら凶悪だが。







 ある日の放課後。俺は日課のように羽崎さんの楽器店に向かっていた。
 だが、今日は手ぶらだ。凛に招集されたからだ。

 「歪君やっほー!」

 「今日は何用だ?他は誰もいないようだけど……。」

 「ちょっと修羅場になりそうでね…。見守りにいきたいんだ。」

 何一つ話が見えてこない。多分知ってる前提で話を進めているのだろう。

 「ごめん何の事?」

 「あれ?知らなかった?明日波瑠と紫藤さんデートするらしいよ?」 

 初知りだ。確かに最近よく出掛けてていい感じだとは思ってるし、流石に俺もそこまで察し悪くない。
 しかし、まずこれまでのはデートじゃなかったのかとツッコミたい。
 いや、俺が口出し出来る事では無いのは理解しているつもりだが。

 「あ……修羅場ってそういうこと!」

 「多分意見合致したね。その通りだよ。」

 紫藤旋梨は競争率が激しい男だ。流石はギターボーカルといった所。
 波瑠は確かに可愛くはあるものの、我々と同じ感じの消極的な人だ。誰かに遭遇すれば事情を知らない人からすると修羅場になりそうだ。
 それに俺も凛も気づいている。波瑠にとって友であり、仲間であり、最大のライバルの存在に。

 「見たくない。」

 「駄目だよ。親友の恋愛に興味無いの?」

 「いやぶっちゃけきょ……」

 「じゃあ私一人だと怖いから来て。」

 詰んだ。そう言われると行くしかなくなる。俺は押しと頼み事に極端に弱い。
認めたくないが、彩良に言われた通りだ。

 「…はい。」

 こうして、旋梨達の行く先と結末を“ストーキング”する事となった。







 前回の襲撃がLeviathanと関係している可能性があると聖薇君と励領君から報告を受け、私は内通者に情報提供をお願いしたり、現在の外の世間事情を調べていた。

 「柊よ。調子はどうだい?」

 「お前は私の母上か?今調べてる。消息不明だったイレギュラーが顔を出したようだ。」

 「そうか。気をつけろ。我々政府に絶対に服従する気がない国民が、何か企んでる気がしてな。必ず無力化するように。」

 それだけ言って、清心は帰っていった。旧友はそう言っているが、私は旧友の事も怪しんでいる。
 だが、まだ知らないフリをするべきだ。国民がこんな調子では、今の奴には敵わない。私が何とかしなければ……。







 廃倉庫。Leviathanの三人に加え、シークレットである撫戯の姿もあった。

 「サイレンスに恐らくバレたぞ。」

 「恐らくじゃなくて確実。そこの自由人が全部ほのめかした。」

 何も知らない映人と観覧していた八がそんな会話をしていると、撫戯が声を掛けた。

 「まぁ良いだろ。どうせLeviathanが直々に動く事が決まったんだからさ。にしても滲襲先輩らしく無い判断だな。」

 「痺れを切らした。Enterも順調のようだし、僕らの目的は関東を堕とす事。政府陣地が狭い程奴らは成り下がる。」

 プレデスタンスはEnter中心に回っている。甘採も自分達の目的はEnterの果たすべき事の過程で果たせると分かってるいるのだ。
 その後裏切るのかついて行くかは定かでは無いが、彼らはLeviathanの名を捨てて統合されたわけではない。
 彼らが何を考えているのかは誰も分からないのである。







 休日の朝。俺はそれなりにお洒落して集合場所に来ていた。今日は波瑠と丸々一日使って外出するのだ。
 何か薔薇のように刺々しい視線と爽やかな暑い視線を感じるが、気のせいだろう。……気のせいだと思っておこう。

 「お待たせ……しました。」

 すると波瑠が到着したようだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...