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Chapter Ⅲ:Friendship
No29.Coming Goma
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放課後、俺は本部に向かっていた。今日は練習無しの日だが、旋梨は用があってこられないようだ。大体察してはいるが……。
ドアをノックして、俺は部屋に入った。
「あれ?せんりんは?」
「野暮用だってさ。」
「ふーん。ま、いいや。」
そう言って彩良は缶ジュースを軽く投げてきたため、俺はキャッチした。
「ありがとう。てか絆は?俺あいつに呼ばれたはずだが……。」
「あ、それ私。騙すような事してごめんね。秘密情報だから…。」
そう言って彼女は普段のスマイルとは全く違う真剣な表情を見せて、口を開いた。
「実はひずみんも勘付いてる通り、うちのリーダー、今不調なんだよね。」
「彩良達に手を焼いて疲れてるだけじゃないか?」
「…ひずみん結構失礼な事言うね……。ダイレクトアタックだよ。」
「……なんかすまん。」
無自覚じゃなくて安心したと同時に、申し訳無さに襲われた。流石に空気を破壊しすぎた。
「本題に話を戻すよ。絆は飾られていたナイフを眺めて精神が不安定になっている様子だった。最近ずっとこんな感じ。異変を感じるのは私だけじゃないはずなんだよね。」
「俺もそれは同感だ。大体、励領という一族に該当する人物が、かつてのサイレンス所属をいくら探してもいない。絆の代で加入したあるいは、絆が自分の意志でこの業界に入ったとしか…。」
サイレンスも全員が元々暗殺者の家系という訳では無い。愁や愛沙だって自らこの地に足を踏み入れた人だ。彼もそのケースだろう。
そう思考していると、旋梨から連絡がきたため、そっちに目を向けた。
「せんりんから?ひずみんは大忙しだね。」
「俺のプライベートはこいつと羽崎に侵食されてるよ。」
「それは災難だね……。じゃ、私ももう行くね。来てくれてありがとう。」
「問題無い。なんかあったら気軽に言ってくれ。」
「……その発言が原因だね。」
彩良はそう不明瞭に呟き、走り去ってしまった。……俺完全に都合のいい人と解釈されてるな。
無法地帯と関東の境界線付近にある何者かのアジトとなっているゲームセンター。そこに巣くう連中は、何やら慌ただしくしていた。
「ど、どうしますか組長!山田組が壊滅したという事は、我々も危ういんじゃ!」
「落ち着きなさい。」
慌てふためく部下とは真逆で、組長は凄く落ち着いた様子で鎮座していた。
連中は「豪馬組」。山田組の弟子枠集団であり、プレデスタンスに直接統治されている。
「確かに山田は消されたが、あれは奴の身勝手な行動と悪い態度が原因。対して我々は忠実な犬だ。この戦力で連帯責任を負わせる理由も無かろう。Leviathanの戦略部から指示が下っている。つまり、我々を切る気は無いという事だ。」
静かだが覇気のあるその重低な豪馬組長の声を聞き、豪馬組の組員は安堵した。
「しかし、今回は勝って生き残るか、全滅するかだ。それだけのリスクを犯す。今なら遅くない命が惜しい者は脱退しなさい。消すような真似はしない。」
豪馬はそう言うが、誰一人として脱退の意志を見せなかった。それより、闘志に満ちていた。
「分かった。付いてきてくれて感謝する。明日から壁を取っ払い、修復不能にするために建設拠点を占拠する。これによって得られる戦果は、政府陣地の縮小に繋がる。だが、建設拠点には常駐のポリスメンが居る。そこで今回の肝となる作戦を話そう……。」
そうして豪馬が戦略を説明すると、ゲームセンター内は大喝采であった。
人々は荒れ狂い、今にも暴れたそうにしていた。
「落ち着きなさい。明日からだから、今の内にコンディションを整えておけ。解散。」
その後豪馬組員達が散り切った頃、豪馬の元に着信された。
『活躍を期待している。俺の戦略を信じて暴れろ。』
「了解しました。豪馬組。架け橋となって恩を返しましょう。」
『ああ。』
通話が切れ、豪馬は鞭を見た。
「絶対に縛る。加担者を。」
ドアをノックして、俺は部屋に入った。
「あれ?せんりんは?」
「野暮用だってさ。」
「ふーん。ま、いいや。」
そう言って彩良は缶ジュースを軽く投げてきたため、俺はキャッチした。
「ありがとう。てか絆は?俺あいつに呼ばれたはずだが……。」
「あ、それ私。騙すような事してごめんね。秘密情報だから…。」
そう言って彼女は普段のスマイルとは全く違う真剣な表情を見せて、口を開いた。
「実はひずみんも勘付いてる通り、うちのリーダー、今不調なんだよね。」
「彩良達に手を焼いて疲れてるだけじゃないか?」
「…ひずみん結構失礼な事言うね……。ダイレクトアタックだよ。」
「……なんかすまん。」
無自覚じゃなくて安心したと同時に、申し訳無さに襲われた。流石に空気を破壊しすぎた。
「本題に話を戻すよ。絆は飾られていたナイフを眺めて精神が不安定になっている様子だった。最近ずっとこんな感じ。異変を感じるのは私だけじゃないはずなんだよね。」
「俺もそれは同感だ。大体、励領という一族に該当する人物が、かつてのサイレンス所属をいくら探してもいない。絆の代で加入したあるいは、絆が自分の意志でこの業界に入ったとしか…。」
サイレンスも全員が元々暗殺者の家系という訳では無い。愁や愛沙だって自らこの地に足を踏み入れた人だ。彼もそのケースだろう。
そう思考していると、旋梨から連絡がきたため、そっちに目を向けた。
「せんりんから?ひずみんは大忙しだね。」
「俺のプライベートはこいつと羽崎に侵食されてるよ。」
「それは災難だね……。じゃ、私ももう行くね。来てくれてありがとう。」
「問題無い。なんかあったら気軽に言ってくれ。」
「……その発言が原因だね。」
彩良はそう不明瞭に呟き、走り去ってしまった。……俺完全に都合のいい人と解釈されてるな。
無法地帯と関東の境界線付近にある何者かのアジトとなっているゲームセンター。そこに巣くう連中は、何やら慌ただしくしていた。
「ど、どうしますか組長!山田組が壊滅したという事は、我々も危ういんじゃ!」
「落ち着きなさい。」
慌てふためく部下とは真逆で、組長は凄く落ち着いた様子で鎮座していた。
連中は「豪馬組」。山田組の弟子枠集団であり、プレデスタンスに直接統治されている。
「確かに山田は消されたが、あれは奴の身勝手な行動と悪い態度が原因。対して我々は忠実な犬だ。この戦力で連帯責任を負わせる理由も無かろう。Leviathanの戦略部から指示が下っている。つまり、我々を切る気は無いという事だ。」
静かだが覇気のあるその重低な豪馬組長の声を聞き、豪馬組の組員は安堵した。
「しかし、今回は勝って生き残るか、全滅するかだ。それだけのリスクを犯す。今なら遅くない命が惜しい者は脱退しなさい。消すような真似はしない。」
豪馬はそう言うが、誰一人として脱退の意志を見せなかった。それより、闘志に満ちていた。
「分かった。付いてきてくれて感謝する。明日から壁を取っ払い、修復不能にするために建設拠点を占拠する。これによって得られる戦果は、政府陣地の縮小に繋がる。だが、建設拠点には常駐のポリスメンが居る。そこで今回の肝となる作戦を話そう……。」
そうして豪馬が戦略を説明すると、ゲームセンター内は大喝采であった。
人々は荒れ狂い、今にも暴れたそうにしていた。
「落ち着きなさい。明日からだから、今の内にコンディションを整えておけ。解散。」
その後豪馬組員達が散り切った頃、豪馬の元に着信された。
『活躍を期待している。俺の戦略を信じて暴れろ。』
「了解しました。豪馬組。架け橋となって恩を返しましょう。」
『ああ。』
通話が切れ、豪馬は鞭を見た。
「絶対に縛る。加担者を。」
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