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Chapter Ⅱ:Vicious
No21.Entering the Lawless Zone
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翌朝、早朝四時にサイレンスの車が迎えに来て、現地へと向かった。
メンバー全員が無事に乗り込めると、モニターから柊司令の姿が映し出された。
「諸君。おはよう。」
俺達は軽く頭を下げて、挨拶を済ませた。
「今回の作戦は実質時間制限付きだ。君達の意識がどこまで高いかにもよるが、開店時間である二十時を過ぎると、配慮すべき事が増える都合上、難易度が上昇するし、君達の達成したい事は不可能となる。まだ時間に余裕があるとは言え、無法地帯に突っ込むのだ。何が起こるか分からない。健闘を祈る。」
すると司令との通話が切れ、俺達は覚悟を決めて警戒を強めた。
葉桜さんがどこまで延命してくれるかは未知数だが、彼女なら良い感じにメンタルケアしてくれているだろう。
「起きろ!」
日が差し込まない部屋に男がベルを鳴らして入ってきた。まさに監獄だ。
恐怖で震える彼女達は心して聞いている様子だった。
「今日が開店日だ。夜はオールだから昼の間に仮眠をしておけ。」
そう言うと、男は部屋を去って行った。彼らがいつ到着するかは分からないが、どうも嫌な予感がするため、なるべく早くして欲しい。勿論何かあったら私も延命に尽力するけど…。
「今日……なんですね。」
隣で波瑠は震えている。彼女も自分がどうなってしまうのか分かっちゃったみたいだ。
「大丈夫。私が守ってあげるから。」
「……でも、そしたら愛沙さんが!」
「大丈夫…。私なら平気よ。」
私は身体中に戦闘用具を隠してある。まさにトラップのような存在。その代わり直接戦闘には滅法弱いけど、それは可愛い後輩達を信じるしかない。
司令から入ったメールによると、店自体の制圧を行うつもりらしい。そうなると、防護性の高い自動車で無法地帯を突っ切って来る事になる。
敵に絡まれかねないため、ギリギリの戦いになると思う。私だって彼女達のためにも、一肌脱ぐ必要があるかもしれない。全身トラップの本気を味わってもらいたいところね。
もう震えすぎて皆寝てしまったようなので、私はいつ誰が来ても対応出来るようにインカムを付けて寝たフリをした。
圏外突入から一時間が経過した。分断前に見た景色とは一変して、本当のスラムになっていた。
「人が全然居ないな。」
「環境に適応出来なかった人は消されたか、関東に逃げ込んだからなぁ。」
そんな事を話していると、全員が満場一致で敵意を感じ取ったため、武器を手に取った。
「停車しますか?」
「いや、先を急ごう。まだ発砲する様子は無さそうだ。」
俺が運転手にそう言うと、旋梨はライフルを構えた。彼は敵意が無い事を証明するために、堂々と弾を抜いた。
「ッ!…交戦します。自動車は動かしてください。」
掠ってもないが確実にこちらに向かって狙撃されたため、旋梨はライフルに弾を詰めて構えた。
「フォローいる?」
普段無口の愁がそう声を掛けるが、旋梨は「温存しとけ。」と言って銃口を窓から出した。
数分の銃撃戦が行われ、銃声が鳴り止んだ。
「消耗したか?」
「いや、狭い部屋じゃ俺の出る幕はそこじゃないから。大丈夫だ。歪が全ての敵を任せてくれるよな?」
「今回で言うとそうだ。狭いから流れ弾には気をつけろよ。俺も配慮はするが。」
「ああ。」
俺達はそう言葉を交わし、愁は頷いている。運転手によると後2.5kmで目的地のようだ。
しっかりとシミュレーションの最終確認をして、俺達はその時を待った。
開店時間までまだ時間がある日中、何人かの集団が来店した。
「山田組の皆さんで間違いないな。」
来たのは山田の手先「山田組」の面々だった。
「先行体験あざっす。」
「いえいえ。山田会長のお陰で二人の夢であった開店が出来ますし、護衛までしてくれるとなれば、そのくらいはしますよ。」
誘拐犯である男達は、別人を疑うくらい丁寧な口調で、山田組の野郎共にそう言った。
するともう一人の男が事務室から出てきた。
「全員睡眠中のようだ。」
「分かった。少々お待ち下さい。今から個別の部屋に移しますので…。」
そう言うと男二人は部屋に入っていき、山田組は待機席に座って煙草を吸ったり、むさ苦しい会話をし始めた。
…外から誰かが来た音が聞こえる。私の嫌な予感は現実となった。私は今回の主軸となっている旋梨に短文を送った。
『危険信号』と。
メンバー全員が無事に乗り込めると、モニターから柊司令の姿が映し出された。
「諸君。おはよう。」
俺達は軽く頭を下げて、挨拶を済ませた。
「今回の作戦は実質時間制限付きだ。君達の意識がどこまで高いかにもよるが、開店時間である二十時を過ぎると、配慮すべき事が増える都合上、難易度が上昇するし、君達の達成したい事は不可能となる。まだ時間に余裕があるとは言え、無法地帯に突っ込むのだ。何が起こるか分からない。健闘を祈る。」
すると司令との通話が切れ、俺達は覚悟を決めて警戒を強めた。
葉桜さんがどこまで延命してくれるかは未知数だが、彼女なら良い感じにメンタルケアしてくれているだろう。
「起きろ!」
日が差し込まない部屋に男がベルを鳴らして入ってきた。まさに監獄だ。
恐怖で震える彼女達は心して聞いている様子だった。
「今日が開店日だ。夜はオールだから昼の間に仮眠をしておけ。」
そう言うと、男は部屋を去って行った。彼らがいつ到着するかは分からないが、どうも嫌な予感がするため、なるべく早くして欲しい。勿論何かあったら私も延命に尽力するけど…。
「今日……なんですね。」
隣で波瑠は震えている。彼女も自分がどうなってしまうのか分かっちゃったみたいだ。
「大丈夫。私が守ってあげるから。」
「……でも、そしたら愛沙さんが!」
「大丈夫…。私なら平気よ。」
私は身体中に戦闘用具を隠してある。まさにトラップのような存在。その代わり直接戦闘には滅法弱いけど、それは可愛い後輩達を信じるしかない。
司令から入ったメールによると、店自体の制圧を行うつもりらしい。そうなると、防護性の高い自動車で無法地帯を突っ切って来る事になる。
敵に絡まれかねないため、ギリギリの戦いになると思う。私だって彼女達のためにも、一肌脱ぐ必要があるかもしれない。全身トラップの本気を味わってもらいたいところね。
もう震えすぎて皆寝てしまったようなので、私はいつ誰が来ても対応出来るようにインカムを付けて寝たフリをした。
圏外突入から一時間が経過した。分断前に見た景色とは一変して、本当のスラムになっていた。
「人が全然居ないな。」
「環境に適応出来なかった人は消されたか、関東に逃げ込んだからなぁ。」
そんな事を話していると、全員が満場一致で敵意を感じ取ったため、武器を手に取った。
「停車しますか?」
「いや、先を急ごう。まだ発砲する様子は無さそうだ。」
俺が運転手にそう言うと、旋梨はライフルを構えた。彼は敵意が無い事を証明するために、堂々と弾を抜いた。
「ッ!…交戦します。自動車は動かしてください。」
掠ってもないが確実にこちらに向かって狙撃されたため、旋梨はライフルに弾を詰めて構えた。
「フォローいる?」
普段無口の愁がそう声を掛けるが、旋梨は「温存しとけ。」と言って銃口を窓から出した。
数分の銃撃戦が行われ、銃声が鳴り止んだ。
「消耗したか?」
「いや、狭い部屋じゃ俺の出る幕はそこじゃないから。大丈夫だ。歪が全ての敵を任せてくれるよな?」
「今回で言うとそうだ。狭いから流れ弾には気をつけろよ。俺も配慮はするが。」
「ああ。」
俺達はそう言葉を交わし、愁は頷いている。運転手によると後2.5kmで目的地のようだ。
しっかりとシミュレーションの最終確認をして、俺達はその時を待った。
開店時間までまだ時間がある日中、何人かの集団が来店した。
「山田組の皆さんで間違いないな。」
来たのは山田の手先「山田組」の面々だった。
「先行体験あざっす。」
「いえいえ。山田会長のお陰で二人の夢であった開店が出来ますし、護衛までしてくれるとなれば、そのくらいはしますよ。」
誘拐犯である男達は、別人を疑うくらい丁寧な口調で、山田組の野郎共にそう言った。
するともう一人の男が事務室から出てきた。
「全員睡眠中のようだ。」
「分かった。少々お待ち下さい。今から個別の部屋に移しますので…。」
そう言うと男二人は部屋に入っていき、山田組は待機席に座って煙草を吸ったり、むさ苦しい会話をし始めた。
…外から誰かが来た音が聞こえる。私の嫌な予感は現実となった。私は今回の主軸となっている旋梨に短文を送った。
『危険信号』と。
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