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Chapter Ⅰ:Time limit

No10.Accidental blunder

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 俺は午前三時頃、本部からのメールに叩き起こされ、リビングに向かった。 
 本部が急ぎで資料を送信して欲しいとこの真夜中に送ってきたので、リビング横の部屋にある資料を取りに、不完全な寝起きにより視力が低下した状態で向かった。

 「はぁ………何時だと思ってんだよ…。」

 そう呟きながらドアノブに手を掛け、電気を付けた。
 山積みになった資料から該当資料を見つけ出し、撮影して送信した。

 「遂行完了。」

 俺は部屋から出て、電気を切った状態で自分の寝室へと向かったが、何かに足を引っ掛けたようで倒れ込んだ。
 疲労と叩き起こされたストレスから起き上がる気力が無かった俺はそのまま寝た。
 客人招いているなんてすっかり忘れていた行動だ。俺にとって睡眠は現実を直視させない最も重要なものなのだ。







 目が覚めると、俺の目の前には凛が居た。……寝顔で。

 「………。あの状態で暗所を出歩くべきじゃないな。どんな偶然だよ。」

 俺はさっさと布団から出ようとしたが、そんな時、凛が目覚めた。

 「ふぁぁ~。………ッ!」

 寝起き可愛すぎるだろ…なんて思っている場合では無い。言葉が出ない。暗殺者として常に冷静に生きてきた俺でも、所詮はまだガキだ。
耐性なんて無い。

 「ひ、ひひ歪君?!お、おはよう…ございます。」

 彼女は真っ赤に染まっている。

 「……誤解。故意的なものではなかった。ただ悪気はある。何発ビンタしても構わないから。」

 そう言って俺は硬直した。彼女も同じく硬直している。







 私は今凄くドキドキしている。まさかあっちから仕掛けてくるなんて思って無かったから。
 でも、故意的じゃないんだろうなってのは、普段の彼を見ているとすぐに分かった。でも、折角だから私の攻撃ターンに持ち込もうと決意した。

 「ふーん。そっか。歪君はそういう人だったんだ。」

 「……否定は出来ない。」

 そこはしっかり否定してほしかったってのは心に止めておく。

 「私みたいな人がタイプ?ほら、来ちゃいなって。今なら誰にも見られないよ?」

 「いや、ほんとに故意的じゃなッ!」 

 私は歪君の腕を掴んで、自分の方へ引き寄せた。私達は今、横になって絡まりそうな体制だ。

 「自分に素直になりなよ?欲の無い人間なんていないんだから。」







 俺の理性は小指一本で崩れそうな耐久値だ。凛は赤面しながらも悪戯っぽく笑っている。正直めちゃくちゃ可愛い。……そう思ってる時点で俺は壊れているようだ。
 ただ、ほぼゼロ距離でパジャマ一枚の美少女がこちらの反応を伺っている状態。もし俺が冷静な人間じゃなかったら、既にラインを超えているだろう。

 「もうやめてくれ。付き合っても無い男にラインを超えさせようとするのは、後々後悔すると思う。自分をもっと大切にしてくれ。とりあえず、俺の目を覚まさせてくれ。」







 私はすぐに意味を理解して、素直に軽くビンタしといた。

 「……あ、ありがと。私も目が覚めたよ……。」

 「……朝食作っておく。」

 そう言って、歪君は台所の方へ行ってしまった。緊張で私も冷静さを失っていたのかもしれない。そう思うと、歪君の凄さが改めて分かった。
 でも、朝から微妙な感じになってしまった。今日は学校が休みだから、少ししたら帰ろうかな。もう目を合わせられない。







 なんとか理性を破壊されずに済んだ。しかし、未だに脳にフラッシュバックしてならない。任務に支障は無いと思うが、邪念はすぐに捨てるべきだ。
 俺の感覚は既に支配されているのだろうか。脳内の情報が混合する。……底に置いたものでさえも、何故か今回と重ねてしまった。
 
 「……忘れよう。あの過去と同じ末路を辿らないためには、あまり親密すぎるのは良くない。」

 そう小さく口に零し、朝食の準備をした。







 「すいませんボス。ショゴスの情報がサイレンスに流れたようです。」

 下っ端は殴られて壁に叩きつけられた。

 「すいませんじゃないわ。コソコソ準備出来なくなったじゃないか。まぁいいわい。次は総力戦で政府に反逆する。」

 男がそう言うと、取り巻きが忙しなく散っていった。

 「……爆弾魔共に盗聴器を着けて正解だった。彼らは何も得られないどころかショゴス特定に繋がる要因となって死んだが、お陰で謎のトップシークレットが特定できた。白薔薇……どの程度が楽しみだな。」 

 男は椅子から立ち上がり、屋外へと出ていった。
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