多面性を持つ最強暗殺者はただ日常を望む

やみくも

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Chapter Ⅰ:Time limit

No9.Gentlemanly

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 そう言って俺は自室に入っていった。一応客人用の用品は取り揃えてある。それらを出して、リビングに戻った。

 「何も持ってないだろ?」

 「あ…うん。一応多少はある。」

 バッグに洗面用具は忍ばせていたようだ。最初から泊まる気しか無さそうだ。
 ソファやらを退かし、客人用の布団を敷いた。いつ誰が来るか分からない為、いつでも使える状態にはしている。

 「先寝てる。風呂は既に入った。」

 そう言い残して俺は自室に入り、寝た。






 私は今湯船に浸かっている。歪君は思考でも読めるんだろうか。時間掛かったって言ってたけど多分こうなる事を予想して準備を済ませてくれたんだと思う。
 やっぱり陰で優しいんだよね彼は。いつからだろう。







 私は中学生の頃、彼に助けられた事がある。

 「君可愛いねぇ。俺等と一緒に来ねぇ?」

 友達と出掛けている時、ガラの悪い高校生に絡まれた事があった。

 「や、やめてください!」

 「残念君達に拒否権はありませーん!来い。」

 私と友達は高校生に腕を掴まれ、無理矢理に連れ去られようとした。
 その時、通り掛かった聖薇さんが彼らの腕を掴んだ。

 「あ?なんだ貴様。」

 「その脳に問いかけてみな。」

 「てめぇ!」

 高校生は私達から手を離し、聖薇さんに殴りかかった。聖薇さんは簡単に躱して、転ばせた。

 「貴様……。ふざけるなぁ!」

 「…?歪は手をあげてないぞ?貴方とは違ってね……。」

 そこに紫藤さんが口を挟んだ。高校生達はそそくさと逃げて行った。

 「大丈夫ですか?俺達急ぎなんでこの辺りで……。」

 そう言って彼らはどこかに行ってしまった。違う中学校だったけど、高校で同じクラスになって、初日に話し掛けてみた。







 「あ…あの宜しくお願いします。」

 「ん?ああ、宜しく。」

 その反応を見て私は確信した。きっと覚えていないんだろうなって。
 それでもここで再開できた時点で、私は彼の事が好きになっていた。ああいう人は力で分からせないといけないイメージがあったけど、彼は紳士的立ち振る舞いで解決した。
 それから何とかして思い出させたいと思って度々アプローチしていた。
 でも彼は全然変わってくれなかった。そんな時に、丁度東堂さんが歪君に思いつきの勝負を仕掛けてきたから、これを好機だと見て彼に少しでも近づけるキッカケを作りに提案した。







 彼がどういう人間なのかはあの余裕の度胸や周期的な学校の欠席率を見れば分かってしまう。だから、彼に接触できるうちに絶対に落として見せる。
 私はお風呂を上がり、布団に入って寝た。何も企まずに。



 
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