多面性を持つ最強暗殺者はただ日常を望む

やみくも

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Chapter Ⅰ:Time limit

No4.Start of battle

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 目的地に接近すると、例のテロ集団を目撃したため、付近の遮蔽物に身を潜めた。
 腰に火薬を巻いている男を先頭に、ライフルを持った集団が続いている。

 「……増援が来るまで待機…いや、設定をいじるか、妨害に来たのだろう。ただ、中心人物を撃破したところで、タコ殴りにされるだろう。」

 男の側近と思わしき人物は、ショットガンも所持しているようだ。あいつが弊害となる可能性が高い。

 「………交戦開始。」

 俺は電気性の煙幕瓶を投げ込み、スタンガンで男を撃った。

 「ッチ。先手が取られた。潜伏、技術、これまでに見た事が無い。」

 テロ集団の下っ端と思わしき人物は次々と気絶していくが、男とその側近、そして一部の下っ端はマスクを着用しているため、効果は無かった。
 煙幕が晴れると、ざっと百八十人の気絶が確認できるが、生き残り達はかなり冷静な様子だ。

 「ボス。あちらから投擲されました。」

 「交戦開始。」

 男はこちらに爆弾を投げ込んだが、俺は高く跳躍してその場を回避しながらスタンガンで相手の下っ端を一人持っていった。
 着地すると、男は声を掛けてきた。

 「こりゃ驚いた。俺は同士からサイレンスの技術や戦闘スタイルを提供してもらい、知識と理解を深めた上でこの計画を実行したが、まさかここでも新発見があるとはな。」

 「……俺の事を知らないか。」

 「初見だ。資料にも載ってねぇ。新人か?」

 本部から聞かされていなかったが、どうやら俺は機密情報として厳重に管理されていそうだ。これまでの様々な任務に関与しているが、オールラウンダーな俺は戦術を頻繁に変えるため、組織内最強の暗殺者であろうとも、特定は不可能な状態なのだろう。

 「まぁいいさ。新人だろうと容赦はしない。お前達!一斉射撃!」

 男が指示をすると、下っ端達は一斉に銃撃を開始した。俺はその精度の低い射撃をかいくぐり、麻痺針を下っ端一人一人に撃ち込んだ。
 
 「ボス。ここは自分が。」

 ショットガンを持った側近が、銃撃してくるが、こいつも精度が非常に低かった為、容易に接近できた。そして麻痺針を刺した。しかしそれが悪手だった。

 「……共に爆ぜろ。」

 側近が隠し持っていた爆弾に着火しようとしたのがすぐに分かった為、すぐに俺はその場を離れた。
 






 主犯格であろう男も回避に成功していたが、一対一の状況を作れた為、第一フェーズはクリアだ。
 爆発地点を確認したが、側近は息を引き取ったようだ。

 「新人かと思ったが、けっこうやる奴だ。ただどうもおかしい。お前と適合する人物の情報は一切無い。何者だ?」

 「それに答えるメリットが無い。」

 「そうか。それは残念だ。」

 どうもこの男から戦意が見られない。現状一名を除いて生存状態だし、遂に目的を達成できるかもしれないので、俺は提案を持ち掛けた。

 「見ての通りお前のお仲間さんは自爆した奴以外は死んでいない。この計画の目的について話せ。そしたら見逃してやるし、お前の欲しがっていた俺についての情報も話してやろう。」

 勿論見逃しはするが、記憶消去はするつもりだ。重要な情報を抜かれて再戦するのだけは勘弁だからだ。

 「ほぉ。だが、その提案には乗らない。この東京タワーにお近づきになれた時点で、後の事は他の連中に一任するさ。この安全保障地区を混乱に落とし込めれば、政府から戦力を一気に引き抜ける。さぁ誰だか知らんが、さっさとやろうぜ。」

 すると男はショットガンを側近から奪い取り、グレネードをこちらに投げてきた。

 「戦意が戻った。今回も平和的解決は無理か。」

 俺はスタンガンを収納し、お得意戦術に必需品である二丁拳銃を取り出した。

 「……これより東京タワー爆弾魔と交戦を開始する。」

 無線機で男に聞こえない声で指揮官に報告し、グレネードを回避して、銃口を男にへと向けた。
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