【完結】 I は夏風と共に、詩を綴る

やみくも

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後日談

皆の現在

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 俺は琉威。大学新卒でセキュリティ会社に入社して、夜遅くまで仕事する毎日を送っていた。
 今日は半年前に海外へ行った親友…爽真が時間を確保できたらしいので、リモートで話そうと思っている。
 
 『こんにちは…琉威。久しぶりだね。』

 「そっちは昼か?」

 『うん。』

 「そうか。こっちは深夜だ。俺とお前の二人しか予定が合わないなんて残念だよな。」

 『まぁ仕方がない気もする。皆ばらばらに忙しい日々を送っているみたいだし、大学に上がってから連絡もそんなに取れてないじゃん。』

 「それもそうだなぁ……まぁでも、この前皆と久々に会って話してきたから、共有はできるぞ。」

 『ありがとう。忙しい中ご苦労さま。じゃあ…まずは琉威から話してもらおうか。』

 「俺か?何回か言っているが、セキュリティ会社に勤めている。休日はジムに通っているな。」

 『琉威らしいね……』

 「学生の頃から仕事脳だったからなぁ…むしろ何もしない方が疲れるんだわ。あとは、たまに奏翔と機械いじりしてるくらいだなぁ。」

 俺に関しては、特にこれといって面白い話はない。社会貢献している感覚を味わえれば、それで満足だから。

 『奏翔か…。そういえば美咲と奏翔は高校卒業以降、連絡も取ってないし、会ってもなかったなぁ……彼らは今何してるの?』

 すると今度はみさかなの今について尋ねてきたので、俺は前に会った時の会話を思い出しながら話した。

 「みさかなは…結婚した。」

 『あ、それは僕も知っているよ。大事な試験の日と被ってて、行けなかったことは申し訳ない……』

 「気にすんな。気持ちと贈り物は受け取ったとさ。奏翔はIT系企業に入社して、システムエンジニアやってるよ。想像通りだよな。」

 『確かにイメージはあるよね……。美咲の方は?』

 「美咲はスポーツトレーナー。今じゃ元気で……って、爽真は知らないか。」

 キャンプに行った時に奏翔に話されたこと。高校生の時からそうだったが、病弱さを思わせないほどには活発的だ。
 奏翔も「もう心配いらない」と安心している様子だ。

 「ま、二人とも幸せな毎日を送ってるってことだ。」

 『幸せそうで何より……そうだ、早彩にノートは無事に届いた?』

 みさかなの話も一区切りついたところで、彼はそう尋ねてきた。
 早彩から聞いた話によると、出発前夜に東京から戻って来て、言葉を交わしたらしい。彼の執念は時々凄いと感じる。

 「ああ、無事に届いている。“記憶の架け橋になってね!”だとさ。」

 『そう…なら良かった。早彩は…元気にしてる?』

 「元気にしているぞ。稀香とも今じゃ週一くらいで会う仲になったらしいな。同じ大学に通っていたそうだし。二人ともアーティストとして、日々アイディアを膨らませて、人々を勇気づけるような絵を沢山描いているよ。」

 『ネットで色々と拝見させてもらってるよ。ついでに元気も…ね。』

 それからも夜通し色々募る話をしていると、気がつけば日が昇り始める時間となっていた。







 「あ、もう日が昇り始める時間かぁ…真夏の朝は早いなぁ…」

 『僕の方は沈んでるけどね。こういう話をしていると、何だか僕達は遠い世界を生きてるみたいだね。』

 「まぁ物理的にはな。だが、今もこうして話せてる。技術には感謝しかないな。」

 『本当にね。僕達の距離は何処にいても変わらないから。』

 お互い、そろそろリモートを終わる準備を始めた。そんな中、俺は最後に質問した。

 「なぁ…爽真。」

 『…どうしたの?』

 「お前は今……幸せを感じているか?」

 すると少し間が空き、彼は応えた。

 『幸せだよ。だから、その“幸せ”という心を感じてもらえるように、僕は奮闘するよ!』

 「……そうか。応援してるぞ、爽真!」

 そうして、今日のリモートは終わった。皆、それぞれの道でそれぞれの幸せを感じている。距離は随分と離れてしまっているけど、いつか皆で再会できた時、笑っていられれば最高だ。




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