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やみくも

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9章ー総力決戦編ー

203.ドロリィス作戦

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 飛行物体が何らかの信号を放つと他の飛行物体も信号を放ち、赤く点滅した。すると個別にバリアを展開して、リューハの斬撃波から身を守った。
 バリアが割られると今度は強く発光し、一斉にレーザーが放たれた。

戯「すごい物量だね。そんなの関係ないけどね!邪術:畝り邪包」

 邪力を纏った戯のヘルス鎖鎌で勢いよく薙ぎ払われ、レーザーを掻き消しながら飛行物体を撃墜させた。
 しかし、まだ奥から別の群体が向かって来るのが見える。

リューハ「飛行物体…以降ガーディアンと命名しよう。奴は恐らく自我のようなものを持っていない。ただ、この船を損壊させる事だけを目的に動いているはず。」

戯「堅苦しいことは考えない。つまりアレを全部返り討ちにすればいいんだよね!」

リューハ「単純な話…そうなります。戯はどんな時でも平常運転ですね。安心して任せられます。」

 そう話している間にもガーディアンは進軍してレーザーを放とうとしてくるが、戯が薙ぎ払った。
 すると今度はまた別の飛行物体が高速接近してきた。

リューハ「刃術:カギヅメ災風」



戯「わお…今の攻撃は間に合わなかった。助かったよリューハ!」

リューハ「お礼はいりません。分業ですから。……どうやらワンパターンではないようです。」

戯「関係ないよ!ほら見て、アレも同じように突っ込んで来てるよ!」

 そう言いながらヘルスを振り回し、特攻してくる飛行物体を撃墜した。するとそれはガーディアンと接触して自爆した。

戯「自爆兵みたいだね。」

リューハ「装甲に番号が振られている……ガーディアンのタイプを表しているのか。奴らにも人間らしさがあるんだな。サイサリンで白の死神サティリィが造っていた異形の方が余程酷かった。…生憎、機械兵に苦戦する我々じゃない。戯、一気に蹴りを着けるよ。」

戯「元よりそのつもりだよ!」
 
 すると二人はそれぞれ強い魔力・邪力を武器に纏わせた。戯はヘルスを巨大化させ、目に入らないほど遠くに投げ飛ばした。

戯「僕のまだ見せてない力を特別に味あわせてあげる!邪術:ビッグハートクラッシャー!」

 巨大化したヘルスを全身を使って振り回すと、遠方で連鎖爆発している音が聴こえた。きっと多くのガーディアンが粉砕されてることだろう。
 それに続きリューハは跳び上がりナイフに纏った魔力を活性化させた。

リューハ「刃術・幻式:サイクロン」

 広範囲の斬撃波によるダウンバーストにより戯が仕留め損なったガーディアンやその残骸は跡形も無く一掃された。

リューハ「はぁ……幻式は消耗が激しい。まだ物にはしきれないな。」

戯「ちょっと!私に跳ぶなって言っておいて自分は派手にやってるじゃん!」

リューハ「機体から落ちないでくださいとしか言ってません。それに、多少なら時間も巻き戻せますから。」

 着地しながらそう言って、リューハは機内に入っていった。

戯「また余裕そうなこと言って!待ってよ!」







リューハ「今戻りました。チャージの方は順調そうですね。」

チェイン「それより何だよあの力…まさか、あの数を一掃してしまうなんてな……」

リューハ「年の功という奴ですよ。」

チェイン「人間だろ?そんな年齢には見えないが……」

リューハ「過去に色々あったとしか言いようがありません。お教えできるのは、自分は悪魔の血を持っているということぐらいですね。」

チェイン「……何となく察したが、心の内に留めておく。」

リューハ「…そうしてもらえると助かります。それはさておき、チャージが完了しました。チェインさん達、お疲れ様でした。後は自分達に任せてください。」

 そう言われるとチェイン達チャージ班は機械から手を離し、二歩後ろに下がった。
 リューハは鍵を取り出して、機械に挿し込んだ。すると操作画面が表示され、外で主砲が動いた。

リューハ「シーケンスチェック……OKターゲット確認。」

 船の前方の結界で覆われたドロリィスが射線上に入っていることを確認して、照準を定めた。
 するとチャージされたエネルギーが主砲内部で凝縮され、機内は大きく揺れ始めた。

リューハ「皆さん何かに掴まってください!大きく揺れます!」

 リューハからの放送を聞き受け、機内の人々は壁や柱の近くに固まった。カメラで全容を把握した後、リューハは脚に魔力を纏ってからレバーを引いた。

リューハ「ドロリィス結界を貫け。幻性粒子砲!」



 刹那、機体が大きく揺れてリューハは後方に吹き飛ばされたが、スムーズに傾いた壁に着地した。

チェイン「おお……」

リューハ「とくにアクシデント無く発射できました。後は……」



       ー恒 星ー
       ドロリィス



 一方、ドロリィスでは誰一人として迫ってくる飛行船には目もくれず、地上と連絡を取っていた。

Cos/35「ディザイアと畏怖の狐面が、ルミとラビリンスの地球人アースブランカーが交戦になったようですが、他は順調に進んでいます。流石にリヴォリーターでも、あの同時発生じゃ対処が遅れるみたいです。」

Nv-213「まぁ2人抑えてるからな。リヴォリーター以外の連中にも動かれたら不味かったが、どういう訳か無数の飛行船を飛ばしてこちらに向かっているみたいだからなぁ!馬鹿で愚かな奴らがぁ!」

Cos/35「おや、突然自己紹介してどうしたのですか?」

Nv-213「イデアルこいつ……!」

LM47-j「止しなさい。どちらの言う事も分かりますから。でも、確かに愚かですね。相手は無駄に戦力を削ぎ、無駄な進行を続けています。念の為迎撃ユニットを送りましたが、意味もないでしょう。」

XR-196 「今頃あの迎撃ユニットに撃ち落とされてると思うし、もしも振り切られても向こうから私達に干渉できないだろうし!」

 そう嘲笑する彼らは、迫る来るエネルギー砲にすら気付かない。気付いた時、渾身の一撃は既にドロリィスを覆う結界へと到達し、マインダー達の根城は大きく揺れた。

XR-196 「は……?!」

Nv-213「何だ!この妙な波動は!」

Cos/35「どうやら自分も少し油断していたみたいです。……どうとでもなりますが…ね。」







 先発隊の飛行船では揺れが収まり、リューハはスコープでドロリィスの様子を確認した。

チェイン「…割れたな。」

リューハ「はい…割れました。」
 
 セントラルアンテナと後続の飛行船に連絡を繋げ、リューハは言った。

リューハ「ドロリィス結界は無事に破れました。コード様!」

コード『先発隊、そのまま突撃しろ!後発隊もそれに続け!』

サニイ『俺とラーシャルで全体のフォローをする。地上で戦ってる曖人達が来る前に道を拓くぞ!』

コード『総力決戦の開幕だ!』



 先発隊の飛行船は速度を上げてドロリィスへと向かい、追いかける後発隊もそれに習った。
 本格的に戦いの火蓋が切って落とされたのだ。
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