202 / 226
9章ー総力決戦編ー
202.技巧
しおりを挟む
ルミはいつでも斬り合えるように刀を構えた。空気は乾き、燃えたような熱さであり、立っているだけでも疲弊してしまう。
しかし、彼女は顔色一つ変えていない。これは彼女の能力によって引き起こされていることだろうから。
ルミ「空調……救世主様から授けられた私の力。あなたなら分かってくれるでしょう?人はコンディションに左右される。いつ、どこで、誰と、何をするか。3W1Dは心の現れ。それは戦闘においても同じことだと思わない?地形、気温、湿度…それらの要素は戦局を変える一手にもなり得る。それを自在に操作できるのが私…ルミの能力なの。」
曖人「そうか……」
一見すると何ができるのか分からないような能力ほど、使い手によって化けることは理解している。
そして恐らく彼女はその能力を完全にマスターしているはず。少なくとも説明ができるほど…明かせるほどには。
曖人「…だが、引き下がるつもりはない。門前払いじゃ情けないだろ。」
そう言って俺は剣を握りしめ、炎を纏わせた。自分由来のエネルギーを纏ったことで空気の感じ方が多少和らぎ、相手の動きに集中できるようになった。
すると奴もそれを察したのか、じっと様子を伺うのをやめて仕掛けてきた。
曖人「剣術:熱躪」
ルミ「想術:REDスナイパー」
曖人「何…っ!」
斬り掛かってくるルミに対して熱躪で薙ぎ防ぎながらこちらのペースに持っていこうと試みたが、彼女は刀を振らずに俺を横切り、振り返って閃光を放った。
曖人「……くっ…咄嗟のことでもろに受けてしまった…」
地煙が立ち込める中俺は立ち上がり、軽く吹っ飛んだ剣を手に取った。
状況を確認しようと見渡すと煙の外から人影が近づいて来るのが見えたため、俺は黒雷を纏って構えを取った。
曖人「剣術:……鰤億雷列!」
地面を強く蹴り、地煙を晴らしてルミに斬り掛かった。
ルミ「剣術:ロa…」
曖人「剣術:熱躪」
ルミ「…っ?!」
高速で間合いを詰めたが、用意周到な彼女はすぐにカウンターを返せるように刀を構えた。
俺の斬撃に被せてルミの斬撃が来た。ただ、その立ち回りは予想済み。俺は炎を纏い別方向からカウンターを返した。
流石に身体が追いつかなかったルミに斬撃は命中した。更に畳み掛けようとするが、REDスナイパーを地面に撃ち込まれて地煙が立ち込み、その間に距離を取られてしまった。
ルミ「……へぇ…英雄と呼ばれるだけのことはあるね。」
肩を庇いながらルミは立ち上がり、魔力を纏って傷を治癒した。
ルミ「だからと言って、私が引き下がることなんてないけどね。」
曖人「それはお互い同じことだ。立ち止まってる暇はない。」
そう言って俺は剣に黒雷を纏い、再び仕掛けた。
曖人・ルミ「曲げられない信念があるから!」
その頃、宇宙を突き進む先発隊はドロリィスの結界を破るために主砲をチャージしていた。
チェイン「はぁ……この人数で魔力を注いでいるというのに消耗が激しいな…。この後も確実に敵と対峙するというのに。」
戦士C「耐えてください……!我々もチェインさんの負担が軽くなるように頑張りますので…!」
チェイン「お前達こそ無理するんじゃねぇぞ。…リューハ!今何パーセントだ!」
リューハ「50パーセント、折り返しです!」
チャージは順調に進んでいた。だがその時、何かに衝突されたかのように機体が揺れた。
チェイン「…クッ!外で何が!」
戦士A『リューハ様!前方から巨大な飛行物体を確認しました!それも群体です!』
リューハ「分かった。今そちらに向かう。抑えておけ。」
そう指示を出して通信を切り、リューハは急ぎで外に向かった。
チェイン「おいリューハ!」
リューハ「心配はいりません。チェインさん達は引き続きチャージをお願いします。ここは我々が引き受けます。」
チェイン「…頼んだ。」
機体の上部に登ると、他の先発隊が飛行物体と応戦していた。
その中には傷を負った者、既に帰らぬ人となってしまった者もいた。
リューハ「……。(機体の周りには重力空間を展開してるとはいえ、落とされたら宇宙の果てから戻ってこられなくなる。)全員室内に戻り、遠隔魔法で迎撃しろ!」
戦士A「しかし……」
リューハ「遠隔魔法が通らないのは知っている。ただ……怯ませることはできるでしょう。安全第一。始まってすらないのに、永遠に宇宙を彷徨うなんて…そんな無様な終わりは告げさせない。」
戦士A「……!」
その言葉を聞いて、戦い続けようとしていた人々も指示に従って室内に戻って行った。
戯「もう暴れてもいいんだよね!」
すると入れ違いになる形で戯が臨戦態勢で外に出た。
リューハ「構わないですが、絶対に機体から落ちないでください。救出できないので。」
戯「大丈夫大丈夫!だって一歩も動く必要ないからね!」
リューハ「不安しかないが、まぁ戯なら平気か。……レディ。」
リューハはナイフを取り出し、風を纏った。そして、飛行物体に斬撃波を撃ち込んだ。
しかし、彼女は顔色一つ変えていない。これは彼女の能力によって引き起こされていることだろうから。
ルミ「空調……救世主様から授けられた私の力。あなたなら分かってくれるでしょう?人はコンディションに左右される。いつ、どこで、誰と、何をするか。3W1Dは心の現れ。それは戦闘においても同じことだと思わない?地形、気温、湿度…それらの要素は戦局を変える一手にもなり得る。それを自在に操作できるのが私…ルミの能力なの。」
曖人「そうか……」
一見すると何ができるのか分からないような能力ほど、使い手によって化けることは理解している。
そして恐らく彼女はその能力を完全にマスターしているはず。少なくとも説明ができるほど…明かせるほどには。
曖人「…だが、引き下がるつもりはない。門前払いじゃ情けないだろ。」
そう言って俺は剣を握りしめ、炎を纏わせた。自分由来のエネルギーを纏ったことで空気の感じ方が多少和らぎ、相手の動きに集中できるようになった。
すると奴もそれを察したのか、じっと様子を伺うのをやめて仕掛けてきた。
曖人「剣術:熱躪」
ルミ「想術:REDスナイパー」
曖人「何…っ!」
斬り掛かってくるルミに対して熱躪で薙ぎ防ぎながらこちらのペースに持っていこうと試みたが、彼女は刀を振らずに俺を横切り、振り返って閃光を放った。
曖人「……くっ…咄嗟のことでもろに受けてしまった…」
地煙が立ち込める中俺は立ち上がり、軽く吹っ飛んだ剣を手に取った。
状況を確認しようと見渡すと煙の外から人影が近づいて来るのが見えたため、俺は黒雷を纏って構えを取った。
曖人「剣術:……鰤億雷列!」
地面を強く蹴り、地煙を晴らしてルミに斬り掛かった。
ルミ「剣術:ロa…」
曖人「剣術:熱躪」
ルミ「…っ?!」
高速で間合いを詰めたが、用意周到な彼女はすぐにカウンターを返せるように刀を構えた。
俺の斬撃に被せてルミの斬撃が来た。ただ、その立ち回りは予想済み。俺は炎を纏い別方向からカウンターを返した。
流石に身体が追いつかなかったルミに斬撃は命中した。更に畳み掛けようとするが、REDスナイパーを地面に撃ち込まれて地煙が立ち込み、その間に距離を取られてしまった。
ルミ「……へぇ…英雄と呼ばれるだけのことはあるね。」
肩を庇いながらルミは立ち上がり、魔力を纏って傷を治癒した。
ルミ「だからと言って、私が引き下がることなんてないけどね。」
曖人「それはお互い同じことだ。立ち止まってる暇はない。」
そう言って俺は剣に黒雷を纏い、再び仕掛けた。
曖人・ルミ「曲げられない信念があるから!」
その頃、宇宙を突き進む先発隊はドロリィスの結界を破るために主砲をチャージしていた。
チェイン「はぁ……この人数で魔力を注いでいるというのに消耗が激しいな…。この後も確実に敵と対峙するというのに。」
戦士C「耐えてください……!我々もチェインさんの負担が軽くなるように頑張りますので…!」
チェイン「お前達こそ無理するんじゃねぇぞ。…リューハ!今何パーセントだ!」
リューハ「50パーセント、折り返しです!」
チャージは順調に進んでいた。だがその時、何かに衝突されたかのように機体が揺れた。
チェイン「…クッ!外で何が!」
戦士A『リューハ様!前方から巨大な飛行物体を確認しました!それも群体です!』
リューハ「分かった。今そちらに向かう。抑えておけ。」
そう指示を出して通信を切り、リューハは急ぎで外に向かった。
チェイン「おいリューハ!」
リューハ「心配はいりません。チェインさん達は引き続きチャージをお願いします。ここは我々が引き受けます。」
チェイン「…頼んだ。」
機体の上部に登ると、他の先発隊が飛行物体と応戦していた。
その中には傷を負った者、既に帰らぬ人となってしまった者もいた。
リューハ「……。(機体の周りには重力空間を展開してるとはいえ、落とされたら宇宙の果てから戻ってこられなくなる。)全員室内に戻り、遠隔魔法で迎撃しろ!」
戦士A「しかし……」
リューハ「遠隔魔法が通らないのは知っている。ただ……怯ませることはできるでしょう。安全第一。始まってすらないのに、永遠に宇宙を彷徨うなんて…そんな無様な終わりは告げさせない。」
戦士A「……!」
その言葉を聞いて、戦い続けようとしていた人々も指示に従って室内に戻って行った。
戯「もう暴れてもいいんだよね!」
すると入れ違いになる形で戯が臨戦態勢で外に出た。
リューハ「構わないですが、絶対に機体から落ちないでください。救出できないので。」
戯「大丈夫大丈夫!だって一歩も動く必要ないからね!」
リューハ「不安しかないが、まぁ戯なら平気か。……レディ。」
リューハはナイフを取り出し、風を纏った。そして、飛行物体に斬撃波を撃ち込んだ。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説


婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。


【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる