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8章ー静夜の駆け引き編ー
200.始動
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あれから物資の運搬も終わり、ラピスラズリのメンバーやラビリンスの戦士達も乗り込んで、民に見守られながらジェット機は飛び立った。
機内のホールにて俺は全員を集合させてお立ち台に登壇した。
曖人「まずは朝早くからご苦労さまでした。我々と共に戦ってくれる事を嬉しく思う。」
周りを見渡すと大きな戦闘の前の緊張感のある殺伐とした空気が漂っていたため、俺は少し肩の力を抜いて話した。
曖人「…もう少し肩を抜いてほしい。強張っていたら本来の力をだせなくなってしまうかもしれないからな。ここまでついて来てくれた君達なら心配は要らないはず。自分を信じろ。ただ、慢心だけはしないこと。」
そう言うと、多少空気が軽くなったように感じた。話しやすい丁度いい雰囲気だ。音頭が取れたところで俺は作戦概要について話し始めた。
曖人「この作戦の概要について話す。ミナモ大陸を本拠地として、各々の役割を全うしてもらう。目標は七代思想宗派の後ろ盾組織を壊滅させること。ただ、親玉が未知の存在であること以外は何も……」
コード達からマインダーの事はかなり教えてもらった。七つの大罪の話からも背景は見えつつあった。それでも相手の規模は未だに未知数だ。
過去に因縁あるであろう他のリヴォリーターに対して、俺は半ば成り行きの状態。理解や知識が彼らに及ばない。
曖人「……だが、一つ確かなことがある。奴らは…平穏を脅かす存在となり得る。どんな結末になるかは分からない。ハッピーエンドを望み戦うことだけが我々にできる事だ。共に頑張ろう!」
そうしてこの場は解散となった。
ミナモ大陸にジェット機が着陸して、戦士達は物資を降ろしながら持ち場に向かって行った。
フュエル「物資は全て降ろした。ぜディ達から機内点検も終わったと報告があった。」
曖人「そうか。では俺達も行くとするか。」
フュエル「ああ。また後で会おう。」
マーリン「ラピスラズリ到着確認。」
サニイ「待ってたぞ曖人、ファーマ。」
ミナモ大陸に設置されたバブル本部のセントラルアンテナに到着すると、スレイ、ユリアを除くリヴォリーターとその側近が集結していた。
コード「ここはセントラルアンテナ。言わばバブルの司令塔だ。部隊配置と先発隊の出発が終わってから、我々も現地に向かう。しばらくは待機してもらう。」
曖人「分かった。」
外で着々と準備が進められている中、ファーマが尋ねてきた。
ファーマ「いつもに増して顔色が悪そうだが…大丈夫か?」
曖人「……ああ、大丈夫だ。連日の疲労が溜まっているだけで身体に支障はない。」
レイズ「大丈夫そうには見えないけどね……」
するとそう言いながらレイズが近づいてきて俺の額に手をかざした。
レイズ「うん。身体に負担はないみたい。念の為、精神回復だけさせてもらったよ。」
曖人「ありがとう。少しは楽になった気がするよ。」
レイズ「なら良かった。」
レイズが再び椅子に座ると、ファーマが興味津々な様子で訊ねた。
ファーマ「そんな力も扱えるなんて…何者なんですか?」
レイズ「……強いていうなら…何も守ることができなかった憐れな天使だよ。もしもコードとカミリに出会ってなかったら、救われてなかったらと考えると………この話はやめておこうか。」
コード「“我々の過去は壮絶なものだった。”そんな認識で構わない。その過程で色んな奴から教わった技術の賜物が俺とレイズの力だ。」
レイズ「精神干渉系の魔法もその一つ。マインドコントロール御用達の技術も、悪用されなければ有用な治癒能力だよ。僕はエネルギーを誰かの助けになるような力として扱いたいと思ってる。」
曖人「誰かの助けになる力…か…」
彼らの生き様は彼らの言動によく表れている。それを踏まえた上で、敵と対峙した時のあの豹変ぶり。そっと心を無にして戦う姿。歴戦という言葉では足りない経験をしているように思う。良い意味でも、悪い意味でも。
レイズの言葉を受けて、改めてこれまで自分の掲げていた信念について考えていると、サニイが声を掛けてきた。
サニイ「正直、俺もあまり分かってない。過去にあった大戦争を生き抜いたコードとレイズの背負う覚悟なんて、想像もつかない。ただ…俺達にも、背負ってるものがあるだろ?それを信じ貫けばいいと思うんだ。……今する話じゃなかったかな…」
曖人「いいや、ありがとう。サニイの言う通りだ。ここまで来たんだ。信じて進むしかない。」
混濁していた感情がやっと払拭された気がした。何度も決心したつもりでいたが、内心ではまだ象れてなかったのかもしれない。
一息ついてモニターから外の状況を伺っていると、俺の仲間達が移動しているのが見えた。
サニイ「そういえば聞いてなかったが、どこで奴らと対峙するんだ?地上で迎撃するにしても、奴らがどこに上陸するか…」
外には何隻かの飛行船が停まっており、あれに乗って戦場に向かうのは分かるが、その行き先については何も聞かされていない。
すると、コードはモニターにとある惑星を映し出して言った。
コード「当然奴らの本拠地……恒星:ドロリィスだ。」
レイズを除き、周りは皆唖然としていた。
マーリン「あの…コード様?もしかして伝えてなかったんですか…!」
コード「ああ。全体的には伝えていない。戦場がどこであろうと、やることは変わらないだろ?」
サニイ「迎え討つのと直接乗り込むのとじゃ全く状況が変わってくるだろ!重要な報連相!」
コード「…冗談だ。ただ、情報が漏れるのを避けたかったから直前まで知らせなかっただけだ。」
レイズ「僕はマインダーの本拠地がドロリィスにあると元々知っていたから作戦地について教えてもらった。僕が持ちかけた提案でもあるけどね。」
理由を聞けば一応納得できる。敵地に乗り込むとなれば、ハードルは一気に跳ね上がり、外部からの協力者が集まりにくくなってしまうかもしれない。
マインダーが従える戦力の規模は未だ不透明だが、乱戦になる可能性は考慮しなければならない。
突然の通達で驚いたものの、俺含め周りも飲み込めているようだ。
サニイ「まぁ……なるようになるか。様子を見る限りだと、あちらも我々から攻めてくるとは思ってなさそうだしな。」
コード「ドロリィスを覆う結界を割る手段がこれまでは無かった。ゼノンのお陰で解析が進んだ今、奴らに一発撃ち込めるという訳だ。…本当に一発勝負になると思うがな…」
レイズ「結界を再構築されたら振り出しに戻るからね……」
曖人「…今は信じよう。結界が無事に破壊できることを!」
飛行船に乗って飛び立っていく先発隊を見届けながら、俺達は時を待っていた。
2隻の飛行船が先に飛び立ち、宇宙に突入していた。
チェイン「おい。こいつはどこに向かっている。」
戦士A「私に訊かれましても……」
リューハ「私から説明しましょう。」
離陸したものの行き先が知らされておらず少々混乱した空気の中、リューハが姿を現した。
チェイン「お前は……」
リューハ「ドルフィオン支援部隊長のリューハです。改めて、サイサリンの一件ではお世話になりました。」
チェイン「礼なら要らない。今の状況を説明してくれるか?」
リューハ「はい。現在緊急事態が発生しまして、その対応でバタついておりました。」
チェイン「緊急事態?」
するとリューハは一拍置いて言葉にした。
リューハ「……一部の七代思想宗派が各地で動きを見せました。当初の作戦では奴らの本拠地に乗り込み総力戦を行う予定でしたが、急遽変更。状況の整理に時間を要してしまいました。伝言が遅くなり申し訳ありません。」
チェイン「…それで、俺達はどう動く?」
リューハ「我々はこのまま奴らの本拠地…ドロリィスに向かいます。この船は本拠地の結界を割る主砲を搭載していますから。その件で一つ協力いただけないでしょうか?」
チェイン「ああ。何でも言え。」
リューハ「それではチェインさん、ついて来てください。他の方々は機械と外の確認、他部隊との連絡を!」
彼の指示を聞いて一斉に先発隊は動き始めた。
一方、セントラルアンテナでは各部隊からの連絡が絶えず、忙しなく動いていた。
マーリン「先発隊は順調に進路を進んでいるようです!次発隊は謎の飛行物体と交戦中との報告が!」
サニイ「世界各地で七代思想宗派による騒動が起こっているとのことだ!まるで奴らがこのタイミングを伺ってたようじゃないか!」
コード「…情報が漏れていたか。ヴェレラインに接触した時に何か零したか…?」
曖人「深雅も七つの大罪と遭遇していた。……間違いなくあちらも動いてる…」
これまで七代思想宗派とは何度も交戦してきた。相手もただ待っているだけのはずがない。
モニターに各地の様子が映し出されているが、その中に一際異彩を放つ者の姿があった。
???「滑稽だ。早かれ遅かれ総力戦になることは想像がついていた。我々はお前達が動き出すのを待っていたのだよ。戦力を一点に集中させない為にな!」
そう言うと、男のマフラーが触手のように伸びて天へと昇り、地面に叩きつけられた。すると地割れが起こり、そこに居た多くの動植物が根絶した。
レイズ「……。」
画面越しでも伝わるその圧倒的な力に、セントラルアンテナ内は騒然としていた。
サニイ「あれが…マインダーの力…?」
レイズ「違う。あれはマインダーじゃない。七つの大罪強欲…ディザイア。七代思想宗派の中で最もマインダーに近い実力の持ち主。」
サニイ「知ってるのか?」
レイズ「まだコード達とも出会っていない頃に目の当たりにしたことがある。…絶望だったよ、誰一人として太刀打ちできなかったあの様は。……ある意味、無力な僕が変われたきっかけだったのかもしれない。最悪な事だ。」
曖人「聞く限り、野放しにしていい相手じゃなさそうだ……だけど、誰かが欠けることに…」
今の状況を良いとは言えない。作戦通りに進むなんてそんな甘い話な訳がなかった。
そんな中、コードは決断を下した。
コード「……仕方がない。作戦変更だ。俺、レイズ、曖人で襲撃者の対応を行う。他のメンバー、部隊は先発隊がドロリィスの結界を破り次第、ドロリィスに出撃しろ!」
レイズ「僕達も後で合流する。それまでに劣勢になるんじゃないよ!」
サニイ「分かった。健闘を祈ってる。」
レイズ「そっちこそ。統括は君に任せたよ。」
サニイ「ああ。」
そう返事をして、サニイとラーシャルはセントラルアンテナを後にした。
コード「さて…俺達も動くぞ。レイズはディザイアを止めにいけ。俺と曖人で細々とした集団を片付ける。」
曖人「了解!」
レイズ「ドロリィスで落ち合おう。」
そうして残された俺達もそれぞれ飛び立って行った。
8章 静夜の駆け引き編 完結
次回 9章 総力決戦編 開幕
機内のホールにて俺は全員を集合させてお立ち台に登壇した。
曖人「まずは朝早くからご苦労さまでした。我々と共に戦ってくれる事を嬉しく思う。」
周りを見渡すと大きな戦闘の前の緊張感のある殺伐とした空気が漂っていたため、俺は少し肩の力を抜いて話した。
曖人「…もう少し肩を抜いてほしい。強張っていたら本来の力をだせなくなってしまうかもしれないからな。ここまでついて来てくれた君達なら心配は要らないはず。自分を信じろ。ただ、慢心だけはしないこと。」
そう言うと、多少空気が軽くなったように感じた。話しやすい丁度いい雰囲気だ。音頭が取れたところで俺は作戦概要について話し始めた。
曖人「この作戦の概要について話す。ミナモ大陸を本拠地として、各々の役割を全うしてもらう。目標は七代思想宗派の後ろ盾組織を壊滅させること。ただ、親玉が未知の存在であること以外は何も……」
コード達からマインダーの事はかなり教えてもらった。七つの大罪の話からも背景は見えつつあった。それでも相手の規模は未だに未知数だ。
過去に因縁あるであろう他のリヴォリーターに対して、俺は半ば成り行きの状態。理解や知識が彼らに及ばない。
曖人「……だが、一つ確かなことがある。奴らは…平穏を脅かす存在となり得る。どんな結末になるかは分からない。ハッピーエンドを望み戦うことだけが我々にできる事だ。共に頑張ろう!」
そうしてこの場は解散となった。
ミナモ大陸にジェット機が着陸して、戦士達は物資を降ろしながら持ち場に向かって行った。
フュエル「物資は全て降ろした。ぜディ達から機内点検も終わったと報告があった。」
曖人「そうか。では俺達も行くとするか。」
フュエル「ああ。また後で会おう。」
マーリン「ラピスラズリ到着確認。」
サニイ「待ってたぞ曖人、ファーマ。」
ミナモ大陸に設置されたバブル本部のセントラルアンテナに到着すると、スレイ、ユリアを除くリヴォリーターとその側近が集結していた。
コード「ここはセントラルアンテナ。言わばバブルの司令塔だ。部隊配置と先発隊の出発が終わってから、我々も現地に向かう。しばらくは待機してもらう。」
曖人「分かった。」
外で着々と準備が進められている中、ファーマが尋ねてきた。
ファーマ「いつもに増して顔色が悪そうだが…大丈夫か?」
曖人「……ああ、大丈夫だ。連日の疲労が溜まっているだけで身体に支障はない。」
レイズ「大丈夫そうには見えないけどね……」
するとそう言いながらレイズが近づいてきて俺の額に手をかざした。
レイズ「うん。身体に負担はないみたい。念の為、精神回復だけさせてもらったよ。」
曖人「ありがとう。少しは楽になった気がするよ。」
レイズ「なら良かった。」
レイズが再び椅子に座ると、ファーマが興味津々な様子で訊ねた。
ファーマ「そんな力も扱えるなんて…何者なんですか?」
レイズ「……強いていうなら…何も守ることができなかった憐れな天使だよ。もしもコードとカミリに出会ってなかったら、救われてなかったらと考えると………この話はやめておこうか。」
コード「“我々の過去は壮絶なものだった。”そんな認識で構わない。その過程で色んな奴から教わった技術の賜物が俺とレイズの力だ。」
レイズ「精神干渉系の魔法もその一つ。マインドコントロール御用達の技術も、悪用されなければ有用な治癒能力だよ。僕はエネルギーを誰かの助けになるような力として扱いたいと思ってる。」
曖人「誰かの助けになる力…か…」
彼らの生き様は彼らの言動によく表れている。それを踏まえた上で、敵と対峙した時のあの豹変ぶり。そっと心を無にして戦う姿。歴戦という言葉では足りない経験をしているように思う。良い意味でも、悪い意味でも。
レイズの言葉を受けて、改めてこれまで自分の掲げていた信念について考えていると、サニイが声を掛けてきた。
サニイ「正直、俺もあまり分かってない。過去にあった大戦争を生き抜いたコードとレイズの背負う覚悟なんて、想像もつかない。ただ…俺達にも、背負ってるものがあるだろ?それを信じ貫けばいいと思うんだ。……今する話じゃなかったかな…」
曖人「いいや、ありがとう。サニイの言う通りだ。ここまで来たんだ。信じて進むしかない。」
混濁していた感情がやっと払拭された気がした。何度も決心したつもりでいたが、内心ではまだ象れてなかったのかもしれない。
一息ついてモニターから外の状況を伺っていると、俺の仲間達が移動しているのが見えた。
サニイ「そういえば聞いてなかったが、どこで奴らと対峙するんだ?地上で迎撃するにしても、奴らがどこに上陸するか…」
外には何隻かの飛行船が停まっており、あれに乗って戦場に向かうのは分かるが、その行き先については何も聞かされていない。
すると、コードはモニターにとある惑星を映し出して言った。
コード「当然奴らの本拠地……恒星:ドロリィスだ。」
レイズを除き、周りは皆唖然としていた。
マーリン「あの…コード様?もしかして伝えてなかったんですか…!」
コード「ああ。全体的には伝えていない。戦場がどこであろうと、やることは変わらないだろ?」
サニイ「迎え討つのと直接乗り込むのとじゃ全く状況が変わってくるだろ!重要な報連相!」
コード「…冗談だ。ただ、情報が漏れるのを避けたかったから直前まで知らせなかっただけだ。」
レイズ「僕はマインダーの本拠地がドロリィスにあると元々知っていたから作戦地について教えてもらった。僕が持ちかけた提案でもあるけどね。」
理由を聞けば一応納得できる。敵地に乗り込むとなれば、ハードルは一気に跳ね上がり、外部からの協力者が集まりにくくなってしまうかもしれない。
マインダーが従える戦力の規模は未だ不透明だが、乱戦になる可能性は考慮しなければならない。
突然の通達で驚いたものの、俺含め周りも飲み込めているようだ。
サニイ「まぁ……なるようになるか。様子を見る限りだと、あちらも我々から攻めてくるとは思ってなさそうだしな。」
コード「ドロリィスを覆う結界を割る手段がこれまでは無かった。ゼノンのお陰で解析が進んだ今、奴らに一発撃ち込めるという訳だ。…本当に一発勝負になると思うがな…」
レイズ「結界を再構築されたら振り出しに戻るからね……」
曖人「…今は信じよう。結界が無事に破壊できることを!」
飛行船に乗って飛び立っていく先発隊を見届けながら、俺達は時を待っていた。
2隻の飛行船が先に飛び立ち、宇宙に突入していた。
チェイン「おい。こいつはどこに向かっている。」
戦士A「私に訊かれましても……」
リューハ「私から説明しましょう。」
離陸したものの行き先が知らされておらず少々混乱した空気の中、リューハが姿を現した。
チェイン「お前は……」
リューハ「ドルフィオン支援部隊長のリューハです。改めて、サイサリンの一件ではお世話になりました。」
チェイン「礼なら要らない。今の状況を説明してくれるか?」
リューハ「はい。現在緊急事態が発生しまして、その対応でバタついておりました。」
チェイン「緊急事態?」
するとリューハは一拍置いて言葉にした。
リューハ「……一部の七代思想宗派が各地で動きを見せました。当初の作戦では奴らの本拠地に乗り込み総力戦を行う予定でしたが、急遽変更。状況の整理に時間を要してしまいました。伝言が遅くなり申し訳ありません。」
チェイン「…それで、俺達はどう動く?」
リューハ「我々はこのまま奴らの本拠地…ドロリィスに向かいます。この船は本拠地の結界を割る主砲を搭載していますから。その件で一つ協力いただけないでしょうか?」
チェイン「ああ。何でも言え。」
リューハ「それではチェインさん、ついて来てください。他の方々は機械と外の確認、他部隊との連絡を!」
彼の指示を聞いて一斉に先発隊は動き始めた。
一方、セントラルアンテナでは各部隊からの連絡が絶えず、忙しなく動いていた。
マーリン「先発隊は順調に進路を進んでいるようです!次発隊は謎の飛行物体と交戦中との報告が!」
サニイ「世界各地で七代思想宗派による騒動が起こっているとのことだ!まるで奴らがこのタイミングを伺ってたようじゃないか!」
コード「…情報が漏れていたか。ヴェレラインに接触した時に何か零したか…?」
曖人「深雅も七つの大罪と遭遇していた。……間違いなくあちらも動いてる…」
これまで七代思想宗派とは何度も交戦してきた。相手もただ待っているだけのはずがない。
モニターに各地の様子が映し出されているが、その中に一際異彩を放つ者の姿があった。
???「滑稽だ。早かれ遅かれ総力戦になることは想像がついていた。我々はお前達が動き出すのを待っていたのだよ。戦力を一点に集中させない為にな!」
そう言うと、男のマフラーが触手のように伸びて天へと昇り、地面に叩きつけられた。すると地割れが起こり、そこに居た多くの動植物が根絶した。
レイズ「……。」
画面越しでも伝わるその圧倒的な力に、セントラルアンテナ内は騒然としていた。
サニイ「あれが…マインダーの力…?」
レイズ「違う。あれはマインダーじゃない。七つの大罪強欲…ディザイア。七代思想宗派の中で最もマインダーに近い実力の持ち主。」
サニイ「知ってるのか?」
レイズ「まだコード達とも出会っていない頃に目の当たりにしたことがある。…絶望だったよ、誰一人として太刀打ちできなかったあの様は。……ある意味、無力な僕が変われたきっかけだったのかもしれない。最悪な事だ。」
曖人「聞く限り、野放しにしていい相手じゃなさそうだ……だけど、誰かが欠けることに…」
今の状況を良いとは言えない。作戦通りに進むなんてそんな甘い話な訳がなかった。
そんな中、コードは決断を下した。
コード「……仕方がない。作戦変更だ。俺、レイズ、曖人で襲撃者の対応を行う。他のメンバー、部隊は先発隊がドロリィスの結界を破り次第、ドロリィスに出撃しろ!」
レイズ「僕達も後で合流する。それまでに劣勢になるんじゃないよ!」
サニイ「分かった。健闘を祈ってる。」
レイズ「そっちこそ。統括は君に任せたよ。」
サニイ「ああ。」
そう返事をして、サニイとラーシャルはセントラルアンテナを後にした。
コード「さて…俺達も動くぞ。レイズはディザイアを止めにいけ。俺と曖人で細々とした集団を片付ける。」
曖人「了解!」
レイズ「ドロリィスで落ち合おう。」
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