192 / 226
8章ー静夜の駆け引き編ー
192.成長 〜ラビリンスの英雄vs永炎の鎖〜
しおりを挟む
開けた草原へ出ると、俺とチェインはお互いに距離を取って、エネルギーを漲らせた。その霊圧からか風で草木が靡き、動物が距離を取り始める。
曖人「風が気持ちいいな。純粋な気持ちで臨める戦いはあまりしないからな。」
チェイン「常に死と隣り合わせ。そんな世界で戦ってきたからな。…緊張せずとも、本気でやるぞ。」
曖人「分かってる。実戦のように…いや、実戦の意気で!」
そう言いながら剣を構え、俺は地を蹴りチェインとの距離を一気に詰めた。
すると彼は蒼炎を纏った鎖を八の字固めで展開して、行く手を阻んできた。俺は鎖を一本断ち切って通り抜けられる隙間を作り、身体を滑らせ背後を取った。
曖人「剣術:ノンハートエネミー」
そこから滑空して剣を振り上げ、分身体を即座に作り出して、分身体と共にチェインに斬り掛かった。
チェイン「これまでの俺の欠点は、至近距離かつ複数方向からの攻撃に抵抗できなかったことだ。…だが、今は違う。」
紫炎を纏った鎖を重ね合わせ、何かをしようと彼は構えたが、退くには逃げ切れない距離だったため、俺はそのまま剣技を決めようとした。
チェイン「いい判断だ。…どんな選択をしようが、結末は変わらなかっただろうが。魔術:断昇りスパイラルループ」
重ね合わされた鎖の紫炎は火力を増幅させ、その重みの掛かった鎖で薙ぎ払うように回転させながら上に持ち上げられた。
俺は剣先を突き出していたため、その動きを動体視力で読み取り、すぐさま剣を上に向けて防御に徹した。
曖人「はぁ……全く無警戒じゃなかったとはいえ、危なかった。」
チェイン「ここを起点にさせてもらう。魔術:虚悪化す紫暁」
直接のダメージは防ぎきったものの、身体を後ろに弾かれて体勢を崩した俺を仕留めるかのように、細かく複雑に絡まった鎖が俺を取り囲んだ。
迫る鎖に切り刻まれる前に、俺は地面に刺さった剣を引き抜き、体勢を立て直した。
チェイン「早いな。だが、想定内だ。」
曖人「ッ!」
回避する隙間がないため鎖を断ち切ろうと剣を構えると、それを邪魔するように地面がガタンと揺れて鎖が現れた。
曖人「柔い地面程度なら貫くようになったのか……!」
チェイン「ああ。進化したのは手数だけじゃない。鎖そのものの強度も増しているのだよ!」
曖人「ならば、それを上回る力で斬るだけだ!剣術:熱躪」
浮き上がりながらも俺は剣を構えて、迫りくる鎖を斬り払った。
そのまま空中で姿勢を整え、着地と同時に地を強く蹴り、チェインの眼前に迫った。
チェイン「なっ…!」
曖人「もらいだ!剣術:這い上がる濁光」
チェインは急いで鎖を広げて囲もうとするが生成が追いつかず、俺の剣が首の寸前まで迫ったところで俺は手を止めた。
曖人「決して戦闘狂じゃないし、仮にも英雄だが言わせてもらうぞ。楽しかった。ありがとう。」
チェイン「ああ……」
決闘の握手を交わし、俺達は草原から本部に戻ろうとすると、目の前に雷が落ちた。
曖人「……ッ!遅刻だぞ…?」
コード「それ、レイズにも言われた。俺から命じておいてなんなんだが、思っている以上に時間が無さそうでな。」
曖人「サニイからそっちの様子はある程度聞いている。」
コード「そうか、なら話は早い。明日、リヴォリーターの緊急集会を執り行う。恐らく決戦前最後の会議になるだろう。そういうことでよろしく。」
そう言って、コードはゲートを開いた。
コード「おかえり。ラビリンスの英雄…曖人。」
曖人「ああ、ただいま。薄銀の天使…コード。」
再会の挨拶を交わし、俺達はそれぞれの基地に戻って行った。
曖人「風が気持ちいいな。純粋な気持ちで臨める戦いはあまりしないからな。」
チェイン「常に死と隣り合わせ。そんな世界で戦ってきたからな。…緊張せずとも、本気でやるぞ。」
曖人「分かってる。実戦のように…いや、実戦の意気で!」
そう言いながら剣を構え、俺は地を蹴りチェインとの距離を一気に詰めた。
すると彼は蒼炎を纏った鎖を八の字固めで展開して、行く手を阻んできた。俺は鎖を一本断ち切って通り抜けられる隙間を作り、身体を滑らせ背後を取った。
曖人「剣術:ノンハートエネミー」
そこから滑空して剣を振り上げ、分身体を即座に作り出して、分身体と共にチェインに斬り掛かった。
チェイン「これまでの俺の欠点は、至近距離かつ複数方向からの攻撃に抵抗できなかったことだ。…だが、今は違う。」
紫炎を纏った鎖を重ね合わせ、何かをしようと彼は構えたが、退くには逃げ切れない距離だったため、俺はそのまま剣技を決めようとした。
チェイン「いい判断だ。…どんな選択をしようが、結末は変わらなかっただろうが。魔術:断昇りスパイラルループ」
重ね合わされた鎖の紫炎は火力を増幅させ、その重みの掛かった鎖で薙ぎ払うように回転させながら上に持ち上げられた。
俺は剣先を突き出していたため、その動きを動体視力で読み取り、すぐさま剣を上に向けて防御に徹した。
曖人「はぁ……全く無警戒じゃなかったとはいえ、危なかった。」
チェイン「ここを起点にさせてもらう。魔術:虚悪化す紫暁」
直接のダメージは防ぎきったものの、身体を後ろに弾かれて体勢を崩した俺を仕留めるかのように、細かく複雑に絡まった鎖が俺を取り囲んだ。
迫る鎖に切り刻まれる前に、俺は地面に刺さった剣を引き抜き、体勢を立て直した。
チェイン「早いな。だが、想定内だ。」
曖人「ッ!」
回避する隙間がないため鎖を断ち切ろうと剣を構えると、それを邪魔するように地面がガタンと揺れて鎖が現れた。
曖人「柔い地面程度なら貫くようになったのか……!」
チェイン「ああ。進化したのは手数だけじゃない。鎖そのものの強度も増しているのだよ!」
曖人「ならば、それを上回る力で斬るだけだ!剣術:熱躪」
浮き上がりながらも俺は剣を構えて、迫りくる鎖を斬り払った。
そのまま空中で姿勢を整え、着地と同時に地を強く蹴り、チェインの眼前に迫った。
チェイン「なっ…!」
曖人「もらいだ!剣術:這い上がる濁光」
チェインは急いで鎖を広げて囲もうとするが生成が追いつかず、俺の剣が首の寸前まで迫ったところで俺は手を止めた。
曖人「決して戦闘狂じゃないし、仮にも英雄だが言わせてもらうぞ。楽しかった。ありがとう。」
チェイン「ああ……」
決闘の握手を交わし、俺達は草原から本部に戻ろうとすると、目の前に雷が落ちた。
曖人「……ッ!遅刻だぞ…?」
コード「それ、レイズにも言われた。俺から命じておいてなんなんだが、思っている以上に時間が無さそうでな。」
曖人「サニイからそっちの様子はある程度聞いている。」
コード「そうか、なら話は早い。明日、リヴォリーターの緊急集会を執り行う。恐らく決戦前最後の会議になるだろう。そういうことでよろしく。」
そう言って、コードはゲートを開いた。
コード「おかえり。ラビリンスの英雄…曖人。」
曖人「ああ、ただいま。薄銀の天使…コード。」
再会の挨拶を交わし、俺達はそれぞれの基地に戻って行った。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説


婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる