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やみくも

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8章ー静夜の駆け引き編ー

192.成長 〜ラビリンスの英雄vs永炎の鎖〜

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 開けた草原へ出ると、俺とチェインはお互いに距離を取って、エネルギーを漲らせた。その霊圧からか風で草木が靡き、動物が距離を取り始める。

曖人「風が気持ちいいな。純粋な気持ちで臨める戦いはあまりしないからな。」

チェイン「常に死と隣り合わせ。そんな世界で戦ってきたからな。…緊張せずとも、本気でやるぞ。」

曖人「分かってる。実戦のように…いや、実戦の意気で!」

 そう言いながら剣を構え、俺は地を蹴りチェインとの距離を一気に詰めた。
 すると彼は蒼炎を纏った鎖を八の字固めで展開して、行く手を阻んできた。俺は鎖を一本断ち切って通り抜けられる隙間を作り、身体を滑らせ背後を取った。

曖人「剣術:ノンハートエネミー」

 そこから滑空して剣を振り上げ、分身体を即座に作り出して、分身体と共にチェインに斬り掛かった。
 
チェイン「これまでの俺の欠点は、至近距離かつ複数方向からの攻撃に抵抗できなかったことだ。…だが、今は違う。」

 紫炎を纏った鎖を重ね合わせ、何かをしようと彼は構えたが、退くには逃げ切れない距離だったため、俺はそのまま剣技を決めようとした。

チェイン「いい判断だ。…どんな選択をしようが、結末は変わらなかっただろうが。魔術:断昇りスパイラルループ」

 重ね合わされた鎖の紫炎は火力を増幅させ、その重みの掛かった鎖で薙ぎ払うように回転させながら上に持ち上げられた。
 俺は剣先を突き出していたため、その動きを動体視力で読み取り、すぐさま剣を上に向けて防御に徹した。



曖人「はぁ……全く無警戒じゃなかったとはいえ、危なかった。」

チェイン「ここを起点にさせてもらう。魔術:虚悪化す紫暁」

 直接のダメージは防ぎきったものの、身体を後ろに弾かれて体勢を崩した俺を仕留めるかのように、細かく複雑に絡まった鎖が俺を取り囲んだ。
 迫る鎖に切り刻まれる前に、俺は地面に刺さった剣を引き抜き、体勢を立て直した。

チェイン「早いな。だが、想定内だ。」

曖人「ッ!」

 回避する隙間がないため鎖を断ち切ろうと剣を構えると、それを邪魔するように地面がガタンと揺れて鎖が現れた。

曖人「柔い地面程度なら貫くようになったのか……!」

チェイン「ああ。進化したのは手数だけじゃない。鎖そのものの強度も増しているのだよ!」

曖人「ならば、それを上回る力で斬るだけだ!剣術:熱躪」

 浮き上がりながらも俺は剣を構えて、迫りくる鎖を斬り払った。
 そのまま空中で姿勢を整え、着地と同時に地を強く蹴り、チェインの眼前に迫った。

チェイン「なっ…!」

曖人「もらいだ!剣術:這い上がる濁光」

 チェインは急いで鎖を広げて囲もうとするが生成が追いつかず、俺の剣が首の寸前まで迫ったところで俺は手を止めた。



曖人「決して戦闘狂じゃないし、仮にも英雄だが言わせてもらうぞ。楽しかった。ありがとう。」

チェイン「ああ……」

 決闘の握手を交わし、俺達は草原から本部に戻ろうとすると、目の前に雷が落ちた。



曖人「……ッ!遅刻だぞ…?」

コード「それ、レイズにも言われた。俺から命じておいてなんなんだが、思っている以上に時間が無さそうでな。」

曖人「サニイからそっちの様子はある程度聞いている。」

コード「そうか、なら話は早い。明日、リヴォリーターの緊急集会を執り行う。恐らく決戦前最後の会議になるだろう。そういうことでよろしく。」

 そう言って、コードはゲートを開いた。

コード「おかえり。ラビリンスの英雄…曖人。」

曖人「ああ、ただいま。薄銀の天使…コード。」

 再会の挨拶を交わし、俺達はそれぞれの基地に戻って行った。
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