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7章―B ー消墨編ー
166.邪種再来
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何回夜が明けただろうか。俺と抗は、四六時中修行をしていた。
嘶「邪術:悪露致」
蛇が目の前の巨大な岩を粉砕し、散らばった。
抗「邪術:髄砕」
そして、それを抗が更に細かく、砕いた。更に、落石を俺達は吹き飛ばした。
嘶「まるで手応えがないな。もっと強くなれるものはないのか。」
これまでに200の岩を粉砕してきたが、苦戦したのは最初の一回だけだった。余裕なのだ。
抗「嘶。」
すると、抗は武器を収納して俺に歩み寄ってきた。
嘶「なんだ。」
抗「この修行……意味あるか?」
突如、彼はそんな事を言い出した。
嘶「当たり前だろう!……俺達は一度負けたんだ。もっと強くならなければ、俺達の始祖になど勝てるはずがない。」
抗「それは俺も理解している。俺が言いたいのはいつまで停滞してる気だって事だ。」
嘶「……停滞?」
抗「そうだ。試行回数ばかりが増え、俺等は何も変わっていない。いい加減それに気付くべきだった。俺も最近ようやく気付いたぞ。」
200の岩を砕こうが、全く手応えを感じなかったのは、そういう事だったのかと思う反面、これまでの時間の価値が見出せなくなった。
嘶「……分かった。模擬戦だ。模擬戦をやろう。」
抗「そうでないとな。」
そうして、修行を再開した。
ーアストロック遺跡群ー
平穏な古代都市に、突如としてカラフルなカマキリのような邪種が複数現れ、民を襲い始めた。
民A「やめろ!近寄るな!」
そう後退りしながら民は魔法球で応戦するが、カマキリの怪物に効いている様子はなく、無慈悲に切り裂かれた。
カマキリの怪物「!¡❖∴❖¡!」
民の死体を死体の山へと投げ入れ、その頂点に立って怪物は咆哮を放った。
そして、次の逃げ惑う民へと飛び掛かる。
そんな古代都市の遥か上空に、奴は鎮座していた。
喰墨「太陽のリヴォリーターが何処を住処としているかは知らない。分かっているのはアスト大陸に居ることだけ。……待っていろ、すぐに見つけ出してやるから!」
喰墨は邪力を解き放ち、大陸の上空を一瞬で暗雲で覆った。
ーウォーム・クラス本部ー
最近になってようやく増設した屋根の上で基地全体の様子を伺っていると、何やらアストロック遺跡群の位置する方角が騒がしい事に気が付いた。
サニイ「……?建物が破壊された衝撃?」
刹那、暗雲が広がり、俺は異変に気が付いた。
サニイ「ッ!この距離でもはっきりと感じ取れる強大な邪力……。噂の奴で間違いない!」
俺はすぐに飛行形態に入り、アストロック遺跡群へと向かった。この感じ、下級邪種が今は主に暴れまわっている。
だが、仮に1体じゃないとなれば、被害は大きくなるだろう。各地前哨基地に常駐する仲間も、流石に気づいているだろうし、共有は不要なはずだ。
幸い、まだ全土に広がった訳ではないため、急げば収集が着く。
民B「うわぁぁ!」
民C「まずい!このままじゃ……!」
カマキリの怪物「!¡❖∴❖¡!」
二人の眼前に怪物の刃が迫るが、その動きはギリギリのところで停止した。
そして、怪物は倒れて消滅した。
民C「……!貴方様は!」
サニイ「セーフ。怪我はない?ウォーム・クラス前哨基地Ωに避難指示を出した。そこへ向かいなさい。」
民C「あ、ありがとうございます!」
そして、二人は俺の指した方角へ走り去った。
俺は高所へと飛行し、町全体を見渡した。
サニイ「一番近かったラナカとバーグスがかなり食い止めてくれていたな。ナセには途中で避難場の守備をお願いしたし、俺の役目は明白か。」
上を見上げると遥か上空、強大な邪力を纏った男が鎮座していた。
サニイ「あの二人を待ってる暇は……なさそうだな。」
すると、奴はこちらの存在に気付いたのか、目の前に着地してきた。それと同時に衝撃波が飛ばされるが、俺は槍を前に構え防いだ。
喰墨「単純でありがたい。君の事を潰しに来たはいいものの、何処を拠点としているか分からなかったからなぁ。そっちから来てくれて助かる。」
見た目はただの人間だが、異彩な邪力を放つ黒髪の男は、俺に対してそう言った。
サニイ「それは俺達も同じ。わざわざ自ら姿を現してくれてありがとう。……だが、お引き取り願おうか。」
喰墨「あぁ、正直に帰ってやろう。……君の首を持ってな!」
刹那、奴の身体にカラフルな邪力の膜が纏わり付き、突撃してきた。
俺はそれを槍で防ぐが、強い力に押されていると判断したため、受け流した。
喰墨「出会い頭の一撃も冷静に対処するか……。噂と事実は異なるものだな。」
サニイ「それはまた随分と舐められたものだ。」
喰墨「まさかー!俺は舐めプする程馬鹿じゃない。……さて、そろそろ名乗ろうじゃないか。7つの大罪暴食。邪種教祖。邪王:喰墨。」
サニイ「太陽のリヴォリーター。サニイ・アマテス。」
喰墨「サニイ……か。じゃあサニイ取り引きをしよう。……君のところで預かってるモルモットさぁ…渡してくれたら俺は退くが。どうする?」
奴はそう交渉を持ち掛けてきた。
嘶「邪術:悪露致」
蛇が目の前の巨大な岩を粉砕し、散らばった。
抗「邪術:髄砕」
そして、それを抗が更に細かく、砕いた。更に、落石を俺達は吹き飛ばした。
嘶「まるで手応えがないな。もっと強くなれるものはないのか。」
これまでに200の岩を粉砕してきたが、苦戦したのは最初の一回だけだった。余裕なのだ。
抗「嘶。」
すると、抗は武器を収納して俺に歩み寄ってきた。
嘶「なんだ。」
抗「この修行……意味あるか?」
突如、彼はそんな事を言い出した。
嘶「当たり前だろう!……俺達は一度負けたんだ。もっと強くならなければ、俺達の始祖になど勝てるはずがない。」
抗「それは俺も理解している。俺が言いたいのはいつまで停滞してる気だって事だ。」
嘶「……停滞?」
抗「そうだ。試行回数ばかりが増え、俺等は何も変わっていない。いい加減それに気付くべきだった。俺も最近ようやく気付いたぞ。」
200の岩を砕こうが、全く手応えを感じなかったのは、そういう事だったのかと思う反面、これまでの時間の価値が見出せなくなった。
嘶「……分かった。模擬戦だ。模擬戦をやろう。」
抗「そうでないとな。」
そうして、修行を再開した。
ーアストロック遺跡群ー
平穏な古代都市に、突如としてカラフルなカマキリのような邪種が複数現れ、民を襲い始めた。
民A「やめろ!近寄るな!」
そう後退りしながら民は魔法球で応戦するが、カマキリの怪物に効いている様子はなく、無慈悲に切り裂かれた。
カマキリの怪物「!¡❖∴❖¡!」
民の死体を死体の山へと投げ入れ、その頂点に立って怪物は咆哮を放った。
そして、次の逃げ惑う民へと飛び掛かる。
そんな古代都市の遥か上空に、奴は鎮座していた。
喰墨「太陽のリヴォリーターが何処を住処としているかは知らない。分かっているのはアスト大陸に居ることだけ。……待っていろ、すぐに見つけ出してやるから!」
喰墨は邪力を解き放ち、大陸の上空を一瞬で暗雲で覆った。
ーウォーム・クラス本部ー
最近になってようやく増設した屋根の上で基地全体の様子を伺っていると、何やらアストロック遺跡群の位置する方角が騒がしい事に気が付いた。
サニイ「……?建物が破壊された衝撃?」
刹那、暗雲が広がり、俺は異変に気が付いた。
サニイ「ッ!この距離でもはっきりと感じ取れる強大な邪力……。噂の奴で間違いない!」
俺はすぐに飛行形態に入り、アストロック遺跡群へと向かった。この感じ、下級邪種が今は主に暴れまわっている。
だが、仮に1体じゃないとなれば、被害は大きくなるだろう。各地前哨基地に常駐する仲間も、流石に気づいているだろうし、共有は不要なはずだ。
幸い、まだ全土に広がった訳ではないため、急げば収集が着く。
民B「うわぁぁ!」
民C「まずい!このままじゃ……!」
カマキリの怪物「!¡❖∴❖¡!」
二人の眼前に怪物の刃が迫るが、その動きはギリギリのところで停止した。
そして、怪物は倒れて消滅した。
民C「……!貴方様は!」
サニイ「セーフ。怪我はない?ウォーム・クラス前哨基地Ωに避難指示を出した。そこへ向かいなさい。」
民C「あ、ありがとうございます!」
そして、二人は俺の指した方角へ走り去った。
俺は高所へと飛行し、町全体を見渡した。
サニイ「一番近かったラナカとバーグスがかなり食い止めてくれていたな。ナセには途中で避難場の守備をお願いしたし、俺の役目は明白か。」
上を見上げると遥か上空、強大な邪力を纏った男が鎮座していた。
サニイ「あの二人を待ってる暇は……なさそうだな。」
すると、奴はこちらの存在に気付いたのか、目の前に着地してきた。それと同時に衝撃波が飛ばされるが、俺は槍を前に構え防いだ。
喰墨「単純でありがたい。君の事を潰しに来たはいいものの、何処を拠点としているか分からなかったからなぁ。そっちから来てくれて助かる。」
見た目はただの人間だが、異彩な邪力を放つ黒髪の男は、俺に対してそう言った。
サニイ「それは俺達も同じ。わざわざ自ら姿を現してくれてありがとう。……だが、お引き取り願おうか。」
喰墨「あぁ、正直に帰ってやろう。……君の首を持ってな!」
刹那、奴の身体にカラフルな邪力の膜が纏わり付き、突撃してきた。
俺はそれを槍で防ぐが、強い力に押されていると判断したため、受け流した。
喰墨「出会い頭の一撃も冷静に対処するか……。噂と事実は異なるものだな。」
サニイ「それはまた随分と舐められたものだ。」
喰墨「まさかー!俺は舐めプする程馬鹿じゃない。……さて、そろそろ名乗ろうじゃないか。7つの大罪暴食。邪種教祖。邪王:喰墨。」
サニイ「太陽のリヴォリーター。サニイ・アマテス。」
喰墨「サニイ……か。じゃあサニイ取り引きをしよう。……君のところで預かってるモルモットさぁ…渡してくれたら俺は退くが。どうする?」
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