161 / 226
6章―B ー夢園編ー
161.解散危機
しおりを挟む
光が晴れると、地面が抉られてクレーターのようになった夢園に、エネルギーが不足して覚醒が解けたラーシャルと、思想エネルギーが抜けきったヴェレラインの姿が現れた。
コード「……勝利でいいのか。」
ローズ「おそらく…。」
もうヴェレラインは動く様子が無い。葬る前に色々聞きたい事があったが、仕方がない。細胞さえ採取できれば記憶を調べる事は可能だ。
しかし、俺が近づくと異変が起った。
なんとヴェレラインの肉体が崩壊を始めた……というより消え始めた。
コード「……これは!」
俺は咄嗟にゲートでの保存を試みたが、それより先に消滅されてしまった。
大罪人は対応するマインダーの力の一部を独自に継承している。なぜなら、体内に保管できるエネルギーの空白に思想エネルギーを流し込む仕組みだと推察しているからだ。
確証は無いが、ゼノンから聞いた情報を照らし合わせると、そんな感じがする。
ただこいつは消滅した。ラーシャルが加減できずにそのまま亡くなった可能性もあるが、七つの大罪の魂に耐えられる者が抵抗しても遺伝子レベルで負傷するとは考えにくい。
恐らく素体が無いか、元の性質を掻き消す程強い力を注がれていて、自我が上書きされていたのであろう。
決着は着いたものの、消化不良になるレベルで謎だらけだった。だが、この仮説が立てられる時点で、思想エネルギーの正体に近づけたとはいえる。
コード「ラーシャル。立てるか。」
ラーシャル「……ナゴリムは崩壊した。まさか私がここまで苦戦する時が来るなんて思ってもいなかった。」
夢園は原形を留めていない。まだ端の方の花畑は残っているが、先程の衝突でビッグバン的な現象が起きた影響か、動植物の性質が変わってしまった。
コード「……すまない。」
ラーシャル「別にいいよ。また何とかして復興するから。ただ一つお願いがある…。」
コード「何でも言え。」
ラーシャル「この結末を繰り返さないためにも、私は世界のために戦い続ける。I LOVE Legendは、今日をもって一時解散したい。」
俺は彼女らに目を向ける。事前に聞かされていなかったのか、驚いた表情をしている。
コード「ちょっと待て。この場の雰囲気で正常な判断は出来ない。一旦明日に回してくれ。天都サファイアの大会議場を借りてしっかりと話し合いたい。仲間も困惑してるようだし。」
別にラーシャルが奴らとの戦闘を拒否するわけでは無いと思うが、組織の統率が取れていない状況は、作戦に支障をきたすかもしれない。
何より、彼女一人で決めていいほど軽い問題じゃないのだ。
ラーシャル「……分かった。明日天都で。」
そう言い残してラーシャルは飛び去ってしまった。
まだこの件の後処理が終わっていないというのに少々大変な事になった。
コード「ローズ、ベリー、ハーブ。急な対応で悪いが、明日の事を考えておいて。」
ローズ「分かりました。こちらこそ申し訳ありません。リーダーが勝手に……。」
彼女らも、どこかに去ってしまった。
生存人数の確認を終えた俺達は、メンバーを回収してドルフィオン本部に帰還していた。
カインド・ダイバーのメンバーで夢園に起きた変化や戦闘の影響を調べてくれるらしいので、ドルフィオンに重要人物の招集を任せ、俺とレイズは明日の件で少し話していた。
レイズ「突然だね……。何か様子はおかしくなかった?」
コード「おかしいな。奴に何かされたわけでは無さそうだ。とすると………トラウマ……?」
ヴェレラインは多くの謎を残して散った。謎を残して二度と会えぬ存在となる者は、物凄い影響を及ぼす。
それは確証が無くても、思い込んでしまう事だ。
レイズ「やっぱり消滅を目の当たりにした事が影響してるのかも。」
コード「結局は本人のみぞ知る。だが根拠として、彼女は消滅をトリガーにリヴォリーターになった。……明日が怖くなるな…。」
我々は強者の選択は、未来を大きく曲げる力がある。思想を抑制しなければならないが、本人にとって悪影響の場合、細々とした所で枝分かれしてしまう。
今後の未来が賭かった会議だ。失敗は許されない。
ー恒星ー
LM47-j「傲慢は終わり?」
DN-468/a「そうだ。ただ完全な終了では無い。ヴェレラインは回収済み。また忘れた頃に暴れてもらおうかね。」
LM47-j「貴方の能力本当に凄いね。貴方が生きてる限り、その魂が失われないんだもん。」
DN-468/a「私の血が混じった時点で、私の一部に過ぎないのだ。……素体の形質なんて能力位だろう。」
得体の知れない者の無駄話は、この世界の謎を理解している。そんな前提がある話しぶりだ。
コード「……勝利でいいのか。」
ローズ「おそらく…。」
もうヴェレラインは動く様子が無い。葬る前に色々聞きたい事があったが、仕方がない。細胞さえ採取できれば記憶を調べる事は可能だ。
しかし、俺が近づくと異変が起った。
なんとヴェレラインの肉体が崩壊を始めた……というより消え始めた。
コード「……これは!」
俺は咄嗟にゲートでの保存を試みたが、それより先に消滅されてしまった。
大罪人は対応するマインダーの力の一部を独自に継承している。なぜなら、体内に保管できるエネルギーの空白に思想エネルギーを流し込む仕組みだと推察しているからだ。
確証は無いが、ゼノンから聞いた情報を照らし合わせると、そんな感じがする。
ただこいつは消滅した。ラーシャルが加減できずにそのまま亡くなった可能性もあるが、七つの大罪の魂に耐えられる者が抵抗しても遺伝子レベルで負傷するとは考えにくい。
恐らく素体が無いか、元の性質を掻き消す程強い力を注がれていて、自我が上書きされていたのであろう。
決着は着いたものの、消化不良になるレベルで謎だらけだった。だが、この仮説が立てられる時点で、思想エネルギーの正体に近づけたとはいえる。
コード「ラーシャル。立てるか。」
ラーシャル「……ナゴリムは崩壊した。まさか私がここまで苦戦する時が来るなんて思ってもいなかった。」
夢園は原形を留めていない。まだ端の方の花畑は残っているが、先程の衝突でビッグバン的な現象が起きた影響か、動植物の性質が変わってしまった。
コード「……すまない。」
ラーシャル「別にいいよ。また何とかして復興するから。ただ一つお願いがある…。」
コード「何でも言え。」
ラーシャル「この結末を繰り返さないためにも、私は世界のために戦い続ける。I LOVE Legendは、今日をもって一時解散したい。」
俺は彼女らに目を向ける。事前に聞かされていなかったのか、驚いた表情をしている。
コード「ちょっと待て。この場の雰囲気で正常な判断は出来ない。一旦明日に回してくれ。天都サファイアの大会議場を借りてしっかりと話し合いたい。仲間も困惑してるようだし。」
別にラーシャルが奴らとの戦闘を拒否するわけでは無いと思うが、組織の統率が取れていない状況は、作戦に支障をきたすかもしれない。
何より、彼女一人で決めていいほど軽い問題じゃないのだ。
ラーシャル「……分かった。明日天都で。」
そう言い残してラーシャルは飛び去ってしまった。
まだこの件の後処理が終わっていないというのに少々大変な事になった。
コード「ローズ、ベリー、ハーブ。急な対応で悪いが、明日の事を考えておいて。」
ローズ「分かりました。こちらこそ申し訳ありません。リーダーが勝手に……。」
彼女らも、どこかに去ってしまった。
生存人数の確認を終えた俺達は、メンバーを回収してドルフィオン本部に帰還していた。
カインド・ダイバーのメンバーで夢園に起きた変化や戦闘の影響を調べてくれるらしいので、ドルフィオンに重要人物の招集を任せ、俺とレイズは明日の件で少し話していた。
レイズ「突然だね……。何か様子はおかしくなかった?」
コード「おかしいな。奴に何かされたわけでは無さそうだ。とすると………トラウマ……?」
ヴェレラインは多くの謎を残して散った。謎を残して二度と会えぬ存在となる者は、物凄い影響を及ぼす。
それは確証が無くても、思い込んでしまう事だ。
レイズ「やっぱり消滅を目の当たりにした事が影響してるのかも。」
コード「結局は本人のみぞ知る。だが根拠として、彼女は消滅をトリガーにリヴォリーターになった。……明日が怖くなるな…。」
我々は強者の選択は、未来を大きく曲げる力がある。思想を抑制しなければならないが、本人にとって悪影響の場合、細々とした所で枝分かれしてしまう。
今後の未来が賭かった会議だ。失敗は許されない。
ー恒星ー
LM47-j「傲慢は終わり?」
DN-468/a「そうだ。ただ完全な終了では無い。ヴェレラインは回収済み。また忘れた頃に暴れてもらおうかね。」
LM47-j「貴方の能力本当に凄いね。貴方が生きてる限り、その魂が失われないんだもん。」
DN-468/a「私の血が混じった時点で、私の一部に過ぎないのだ。……素体の形質なんて能力位だろう。」
得体の知れない者の無駄話は、この世界の謎を理解している。そんな前提がある話しぶりだ。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説


婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。


【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる