思想で溢れたメモリー

6章―B ー夢園編ー

159.進華・昇格

　覚醒したラーシャルは強い宇宙エネルギーを漲らせ、ヴェレラインの前に立ちはだかった。

ヴェレライン「ロリヴォリーター。貴様が俺を止められると本気で考えているか？馬鹿が！」

ラーシャル「私は……この夢園を守るためならどんな困難にも立ち向かうと決めている！仲間はここまで頑張ってくれた。次は私が期待に応える番なんだ！そのためなら、私は全力……！」　　

　言い終わると、ラーシャルは拳に紅い宇宙エネルギーを纏い、飛び上がった。
　エネルギーの波動はナゴリム中に拡がり、トライアングルが銀河にへと上書きされた。

ラーシャル「気合い入れの一発！拳術:スペースブレイク」

　拳に力を集中させて殴りかかったが、ヴェレラインは攻撃ユニットをタレットモードに切り替えて迎撃しようとした。
　しかし、ラーシャルは身体を捻ってほぼ音速で飛ぶエネルギー弾を回避した。

ヴェレライン「な、何だと？！」

ラーシャル「いっけぇぇ！」

　轟音が鳴り響き、彼女らの攻撃がぶつかり合っていた。どうやら、ヴェレラインは咄嗟にシールドモードにして防いだようだ。
　だが、防げたのは一瞬であり、驚異的な威力によって文字通り“ブレイク”した。

ヴェレライン「うがぁっ！ッチ……砕け散れ！」

　牙に纏われた思想エネルギーを増幅させ、植物はラーシャルに襲いかかったが、ラーシャルが空を蹴ると、風圧で植物を吹き飛ばした。

ラーシャル「まだまだ！拳術:プリズンメテオ」

ヴェレライン「ロリヴォリーターァァァ！思術:廃人の叫び」
　
　ラーシャルは追撃に飛び掛かったが、ヴェレラインは吹き飛ばされた植物を瞬時に定位置に転送させ、神経のコントロールを奪った再び優勢になろうと目論んだ。
　刹那、強烈な音波が放たれたが、ラーシャルは攻撃態勢を解かずに突っ込んだ。
　しかし最初に洗脳された時とは違い、飛行速度を上昇させ、2つの音波の交わらない領域に一気に侵入した。
　彼女は気付いたのだ。音波が放たれた位置から調整できる角度には制限があると。

ヴェレライン「ハッ！思術:絡み毒苔」

　強烈な拳が迫るヴェレラインは腕に思想エネルギーを流すと、苔が発現して力を相殺した。
　更に、牙を尖らせた浮遊植物がラーシャルの背後を取った。

ラーシャル「ッッ！何これ離れない！」

　苔は侵食範囲を広げ、ラーシャルの拳を絡めた。

コード「ラーシャル！」

ヴェレライン「どれだけ実力があろうとも最終的には計画性が物を言う。その逆も然り。……大罪人を舐めるなよ。思術:侵華・被毒」

　苔にヴェレラインの毒性血液が流れ始め、ラーシャルは痺れ始めた。

ラーシャル「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ！」

ヴェレライン「苦しいか！完全に毒が回ると発狂状態に陷るんだぜ？神経解放を使う隙すら与えない。相討ちにすら持っていけないのだ。」

　悔しい。力があるのに加勢出来ない事が。神聖魔力はある程度回復したものの、無茶な交戦は避けられない。
　リヴォリーターが2人消える事は絶対にあってはならない。しかし……。
　厳しすぎる選択だ。何に賭けるべきか、ギャンブルで許される状況じゃないのだ。
　


　しかし、そんな思考は巡らせる必要が無かった。

???「裁術:サンクチュアリー・ブラック」