思想で溢れたメモリー

やみくも

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6章―A  ー心別編ー

130.思考停止

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 すると、セギンから青く冷徹なオーラが溢れ出してきたので、俺は身構えた。

セギン「あぁ。面倒だ。何もかもが怠い。何も考えたくない。全て力で黙らせればいい。それが一番確実なんだ。そうだった。……そうだったなぁ!」

 刹那、セギンの第三の目は神秘的な青から深海の奥底のように深い青に変色し、斧や身に付けている物の色彩が暗めになり、斧の刃と3つの目、首元の蛇の刻印のみが明るい青に光りだした。

セギン「怠惰思想釈放。僕の視界からさっさと消えて?」

 次の瞬間、眼前に水を帯びた刃が迫り、身構えていた俺はすぐに剣で防いだが…。

曖人「ぐっ…!重い!」

 最初からかなり重たくはあったが、比にならない位増している。
 しかも、その重みは今も進行形で増している。
 このままではどうせ反撃出来ずに押し負けるのを待つだけなので、すぐに回避できる体制を取って受け流した。



 回避には成功したようだ。刃に纏わりついていた水は斬撃波として凄い勢いで飛んでいき、背後で轟音が鳴り響いた。
 だが、やはり反動があるのかセギンは斧を振りかざした後の状態で硬直していた。一見好機に見えるが、奴の思想エネルギーは常に向上状態。何を仕掛けてくるか分からないので迂闊に近づけない。

曖人「……剣術・遠隔:フラッシュカッター」
 
 斬りかかるように光を剣に纏って接近するフェイントを掛けて後退し斬撃波を放ったが、波が突如現れて、相殺された。
 波が静まると、攻撃態勢に切り替えようと刃にエネルギーを流し込むセギンの姿があった。
 刃の水はどんどん膨れ上がっている。

曖人「ッ!剣術:殲滅のラピス砂風」

 砂風を纏い、細かな連撃でチャージ中断を試みたが、とっくにチャージは済んでいるようで、罠だったようだ。

セギン「沈め。思術・秘技:未知域の惨禍」

 部屋全体を範囲とした巨大な斬撃波が押し寄せ、取り込まれた。
 身体中に刃が刺さったような傷みが襲う。おまけに呼吸困難な状況だ。身体がまともに動かず、水圧も徐々に増している。非常にやばい。

セギン「力だけに溺れる愚者共が。Nv-213様方の理想郷を受け入れられない子羊には消えてもらわないと。」










 突っ込んで来る大剣に地殻を纏ったデルタを完全に鎮圧しようとギルムは構えた。
 二刀にかち合わせ、エネルギーを上昇させる。しかし、ギルムは自ら攻撃する素振りを見せず、じっと待機していた。
 デルタは断絶碑の構えを取って、大剣を二刀を両断するように振り降ろした。

ギルム「安らかに眠れ。無力故に、今の俺に可能な事は成仏させる事だけなんだ……。まぁ結構楽しかったぜ。……じゃあな。剣術:還土緑・合印」

 碧と赤のオーラを纏う二刀は、突っ込んで来るデルタを捉えて、すっと斬り裂いた。この技は所謂カウンター技であり、暴走する敵に対して長い苦しみを与えずに一瞬の強烈な痛みのみでとどめを刺す
葬技だ。

 血を流し、騎士団長としていつかは迎える最期の姿となったデルタに寄り添い、ギルムは自分の騎士団長の勲章を置いて立ち去った。

ギルム「……曖人。そっちはどうなんだ。苦しい選択を下す事を躊躇ってはいけない。」 

 ギルムは王室へと足を進めた。
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