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やみくも

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6章―B ー夢園編ー

段違いの強制力

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ローズ「息を引き取りましたね。やりすぎたかしら?」

ベリー「彼らが必要とするなら蘇生させてくるはず。戦場にいる以上、命を奪い奪われる事は理解しないと。」

ローズ「…ええ。そうね。」

 私達はその場を後にして、外での戦闘に加勢しにいった。







 植物がまず手始めに音波を放つが、俺は空波で相殺し、同タイミングで突っ込んで来たラーシャルを引っ掛けるようにゲートを出現させて飛ばした。

コード「ラーシャルが完全に神経を奪われるとは考えにくい。炙り出してやるよ。根源を!聖術:ボルトチェイニング」

 電気を身に纏ってゲート内に入り、周囲を光の速度で駆ける事により、ゲート内の電圧を高くすることで、ラーシャルの力を無力化させた。

ラーシャル「……。」

 しかし、すぐに立ち直り衝撃波を放ってゲート世界を打ち破った。その際、俺は多量の神聖魔力を必要とする。

コード「ッ…。洗脳の類ならこれで解放できるはずだったが……。ラーシャルの肉体が強過ぎる故に弾かれたか?それとも傲慢の強制力がラーシャルのコントロールを制御出来るほどのものなのか?……洗脳とは別の類か?」
 
 本体の登場を促すようにラーシャルと周りに浮遊する植物に問うたが、奴は姿を現さなかった。

コード「答えないなら強行突破しか無いな。ラーシャルなら耐えれるはずだ。てか耐えてくれ。」

 俺は覚醒状態に移行し、猛スピードでラーシャルに斬り掛かったが、その頑丈な腕に防がれ振り払われた。しかし、俺は飛ばされたふりをして後ろに回り込んで空波を放ってスタンさせた。
 だが彼女は宇宙のようなオーラを身に纏って衝撃を吸収した。

コード「俺は知っている。そのオーラには抜け穴がある事を。聖術・幻式:エレクトロ」

 電気を帯びた鋭く素早い斬撃によって、オーラを無視してラーシャルにダメージを与えたが、彼女も黙っている訳が無く、俊敏だが防御が疎かになった俺の姿を目で捉え、ピンポイントでアッパーを喰らわせた。
 俺は後方に大きく吹き飛び、追い打ちをかけるように植物がエネルギーをチャージし始めた。

コード「幻式を見切るだと…。これはラーシャルが凄いのもあるが……こいつのコントロールが優れすぎている……。」

 リヴォリーターを暴走では無く、完全に抑制してコントロール出来るのは相当な実力が無いと無理だ。エンデスの時とは一味も二味も違うベクトルの強さであり、俺と相性が悪い相手だと今、確信した。

コード「……ま、そんな簡単にくたばる気は無いがな!」

 俺はゲートを出現させて間一髪の所で音波を避け、後ろから登場して斬り裂いた。
 反応が少し遅れたラーシャルの隙を突き植物を全て切り払った。するとラーシャルがオーラを拳に纏ってスペースブレイクを構えたが、空波を飛ばして態勢を崩させて一気に距離を詰めた。

コード「目覚めよラーシャル。聖術:神速雷神」

 彼女は態勢が崩れたにも関わらず半端なスペースブレイクを放とうとするが、俺のスピードには到底ついてこれるはずも無く、ガードしなかったラーシャルに命中した。

ラーシャル「ッッ………はぁ…どれだけプランティカ教は狂人なの!絶対に許さない!」

 どうやらラーシャルはコントロール下から外れたようだ。

コード「外で他の人達は交戦している。そろそろ奴も姿を現すはずだ。……噂をすればな。」

 先程俺の斬撃を受けてダウンしていた植物は次々と起き上がり、更には根も張り始めた。
 扉が突如破壊され、遂に奴が現れた。

ヴェレライン「あーあ。フィジカルも頭も良い奴が現れやがって。計画を一瞬で崩された。薄銀の天使。俺をドライ教祖と同じだと思うか?」

 奴は不機嫌な口調でそう問うた。

コード「似ても似つかんな。あいつは被害を被りまくるという意味では厄介だが、数と力で解決出来た。お前はこれまでにいくつの聖地を巡礼した?」

ヴェレライン「99だ。記念すべき100が夢園…ナゴリムだぁ。プランティカ教祖ヴェレラインに楯突いて生き残れた奴はいない。たとえ兵力が高かろうが精鋭だろうが結果は何一つ変わらなかった。」

コード「じゃあ3桁いく前に始めてお前を退けた奴になってやるよ。何ならここでお前自体を終わらせてやろうか?七つの大罪傲慢。」

ヴェレライン「挑発してくる奴はこれまで弱者の遠吠えと認識してきたが、貴様は覇気が違う。俺も本気でいかせてもらおうか。クハハッ!」

 会話が終わると、俺とラーシャルは臨戦態勢を整え、ヴェレラインは植物を分離させた。







 外では降り注ぐコントロールシャワーと触手生物のラッシュ攻撃によって、全くといっていいほど手が出せていなかった。

グラッシェ「この状況を打破するには……何が必要なんだ。」

 そう口に零して思考を巡らせると、一つの仮説に辿り着いた。
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