思想で溢れたメモリー

やみくも

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5章ー天界編ー

烙焉

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 変異した翼に灯った思想エネルギーでいくつかの球体を生成し、俺達の方へと飛ばした。

コード「ゲート出現。」

 コードがゲートを生成し、エンデスのエネルギー弾を相殺した。

エンデス「同じようにいくと思うか?否、貴様らは必ず敗北する!濁術:紅重点斬」

 ミニレーザーでこちらの足場を奪いながら、エンデスはナイフに思想エネルギーを纏い、羽ばたいて接近してきた。

曖人「対処する!剣術:地合金」

 俺は足場を隆起させ、取り巻きのレーザーを防いだ。その間にコードが迎え撃つ構えを取った。

エンデス「滅びろォォォ!」

コード「……そんな簡単にくたばらねぇよ。」

 コードは神聖魔力を全身に纏い、紅重点斬をノーダメージで受けきった。その後、背後にへと回ったエンデスを脚に電気を帯びさせて蹴り飛ばした。

エンデス「グハッ!化け物がァァァ!」

 地に足を着けたコードは、雷を下から自分に落とし、蒼薄雷を纏った。

コード「一段階を飛ばして二次覚醒解放だ。今回は受け入れたが、これまでに経験が無いベクトルでおぞましい。」

エンデス「そうかそうか。……その舐めた口を二度と開かないようにしてやるからなァァ!」

 エンデスは変異した翼から光線を放ち、全身にレーザーを纏った。

曖人「近づけさせない気か。」
 
コード「これは面倒だ。メインウェポンを制限された事になる。俺は空波による援護に回ろう。曖人は斬撃波などで攻撃を。」

曖人「了解。」

 俺は飛び上がり、光の斬撃波を連撃で放った。

エンデス「遠距離では俺のレーザーキャノンに軍配が上がる。そして俺は突撃してもノーリスクハイリターンだ。この状況は作り出した時点で貴様らに勝ち目は無いのだよ!」

 しかし、レーザーで斬撃波を打ち消され、チャージキャノンの構えを取った。

エンデス「濁術:堕天の翼」

 俺は反射的にギリギリで回避して、剣に思念波と光を纏った。

曖人「剣術・遠隔:フラッシュカッター」

 空で縦に回転して、強力な斬撃波を押し込んだ。その斬撃波は、エンデスのレーザーを全て相殺して、エンデスを斬った。

エンデス「グアァァァ!ふざけるなァァァ!」

 バランスを崩して落下しながら、エンデスはナイフで俺の腹部を刺した。

曖人「うがっ!」

 すぐに反応して光で皮膚を硬化させたが、エンデスのナイフはかなり深くダメージを与えてきた。

コード「曖人!聖術:神速雷じ……」

エンデス「濁術:紅重点斬」

コード「ッッ!…神速雷神……!」

 ガードが甘くなったエンデスにコードは斬り掛かったが、エンデスはすぐに反撃態勢を取り、相打ちとなったが、エンデスの方が痛手を負った。

コード「今だ!」

曖人「剣術:鉄盤地剛」

 俺は剣に金属エネルギーを纏い、流石に態勢がままならないエンデスを斬った。だが、エンデスは翼を分離させ、自立した翼がレーザーを纏いながら俺に突撃してきた。

曖人「ッ!」

 俺は咄嗟に翼を防いだが、翼は非常に重く、こちらのガードが崩された。

エンデス「俺の翼は自律神経を持っている。まだ手の内は明かしきってないんだよォ!」

 そう言うとエンデスは新たな翼を一瞬で形成し、思想エネルギーをチャージした。

エンデス「濁術:堕天の翼ァ!英雄取ったりィィ!」

 態勢が立て直せないまま、目の前でチャージキャノンをぶっ放されて、最早考える事する不可能だし、考えた所でだった。

カミリ「諦めるな英雄。そこからでも立て直せる。」

 横から1人の天使が声を掛け、神聖魔力を俺に注ぎ込んできた。

曖人「ありがとう。」

 俺は態勢をすぐに構えて、チャージキャノンを回避した。

エンデス「ぐぬぬぬ!また邪魔な者が現れやがった。実に不愉快。ストレスだ。何故、我が教徒はこう安々と抜けさせるのだ。」

カミリ「単刀直入に言わせてもらうと、全滅したからだ。」

 その言葉を聞き、エンデスは何かを察したような表情を浮かべた。

エンデス「まさか貴様らがここまで用意周到だったとは……。おい薄銀の天使。何か知っているな?」

 ダメージを貰って地で自己蘇生をしていたコードは、俺達の目線の位置まで飛んできた。

コード「この戦いは奴らにとって計算された計画かもしれないが、俺達バブルも奴らの行動を逆算している。」

エンデス「分かるように話しやがれ。」

コード「自分の手の内を明かすのは不利だし避けているが、この状況に及んで奴らに情報が渡る事はないから教えてやろう。俺は七代思想宗派を裏で統率する奴の下にスパイを配置している。この場所が狙われるのも、候補にはずっとあった。そして、お前の戦いはもう神に見られてはいない。」

カミリ「……ああ。」

エンデス「お…おい。何分かった口で言ってるんだ…。XR-196 様は俺に期待して大罪人に選んだ!選ばれし7人の1人なんだよ!」
 
 コードは軽く溜息をついた。

コード「…俺がなんでこの自身に不利益しかない情報を話したかわかるか?」

 その言葉の意味を理解したエンデスは、冷や汗をかいた。
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