思想で溢れたメモリー

やみくも

文字の大きさ
上 下
110 / 228
5章ー天界編ー

110.すれ違う裏切り

しおりを挟む
 私はその後、ある任務の最中に仲間が裏切り、私を狙った。何とか振り切り、何も知らない私は即刻ミュージリウムに帰還した。

カナデ「…………嘘…。」

 ミュージリウムの門は締まっており、最上層の悪魔が周囲を巡回していた。









自衛隊A「中々帰ってこないな。」

自衛隊B「気を抜くな。連絡は途絶えたが、生命反応はある。しばらくもすれば逃げ惑う彼女が来るであろう。」

 私は潜伏しながらその会話を聞き、私は実質的にこの都市から追放された事を理解した。

 しかし、ここで無駄に血を流させ、流す意味は無いので、地上に上がろうと決意したが、地上と地下のターミナルは、ミュージリウムの中にある。

 そして、裏からは精鋭部隊が迫っており、ラビルロードはミュージリウムの傘下、プログラフィは敵陣であり、最早隠密行動で地上に上がるか、このミュージリウムを滅ぼすしか選択肢は無かった。

 私は隠密行動で地上に脱出する事に決め、何とかミュージリウム内部への潜入に成功した。

 最下層にある裏口を利用して、路地裏で捨てられた衣服を入手し、作戦を立てた。









ミュージリウムの長「特殊精鋭部隊はまだ帰還しないのか。どうなっている?」

兵隊A「生存は確認済みです。一度門前には戻りましたが、標的が現れなかった為、道を引き返して捜索を始めました。」

ミュージリウムの長「待て。それは既にこの辺りに潜伏してるという事ではないか!すぐに巡回兵を派遣しろ!ミュージリウムの隅々まで捜索をするぞ。」

兵隊A「了解しました。」









 私は小さなゾンビを経由して情報を収集していたが、この情報を入手して、すぐに作戦を開始する準備をした。







巡回兵A「最下層に突入した。路地裏から建物の内部まで探し尽くせ!」

 約50名程の巡回兵は家屋を破壊しながら、私の捜索を開始した。

 最下層の住民は拷問され、この都市の要である音楽家でさえも、取り押さえられた。

 私はこの行為に怒りを覚えたが、そんな事を気にしてる余裕は無く、すぐに中層に移動した。

巡回兵B「ん?……!居たぞ!一斉射撃!」

 どうやら私の存在がバレたようで、巡回兵達は一斉に笛を吹き、魔力弾を飛ばした。

カナデ「やむを得ない。」

 私はハーモニカを取り出し、吹いてゾンビを召喚した。本当は争い無く逃亡したかったが、最上層の警備態勢は厳しく、既にバレた事から、もう強行突破しか方法は無かった。







 中層を半壊させた私は、追手が来ないようにゾンビの群れを出現させながら、地上と地下を結ぶターミナルに直通の通路に遂に出たが、そんなに甘くは無かった。

ミュージリウムの長「想定通りだ。お前がここに来る事は。」

 長は戦闘態勢に入っており、背後には特殊精鋭部隊が立ち並んでいた。

ミュージリウムの長「魔術:戦線の指揮」

 長が指揮を取ると、特殊精鋭部隊のメンバーは、操られたようにフォーメーションを取り、こちらに迫ってきた。

カナデ「魔術:金音射蝋」

 音の流れで精鋭を退け、ゾンビの群れでトドメを刺させた。

ミュージリウムの長「お前……。心が傷まないのか!なんでそんな無慈悲な事が平然とできる!この最底辺が!」

カナデ「黙れ。それを自分に言い聞かせてみろよ。クズ野郎が。魔術:ドリップ・ナチュラル」

 私は長を半殺しにして、地上へと上がった。
その後、私は魔力切れで倒れてしまった。

 






 目が覚めると、そこは地上では無く、最下層より下に隠されている牢獄に居た。

カナデ「ッッ!……折角あそこまで行けたのに……。」

 そう嘆きながら私はただ、天井を見つめていた。これ位の鉄格子なら破壊する事は容易だが、肝心な魔力を撃ち出す必需品である武器が無かった。

 しばらく経つと、下半身は完全に腐敗しており、死にかけていた長が顔を見せた。

ミュージリウムの長「残念だったな!お前の武勇伝もこれで終わりだ。折角順調に復興を果たしたミュージリウムを再び崩すとは、実に厄介だ。……この裏切り者め……。」

カナデ「は?裏切ったのは貴方達でしょ!」

 最早私の一生は終わった。家出をして自由を得られず、この牢獄で永遠に過ごさなければならない。なぜなら、悪魔は老化しないからだ。病気や歳で死ぬことは無い。この空間は自動回復の効能を持つため、唯一死ねる手段である心臓を停止させる事も不可能。永身刑と言うべきだろうか。

 しかし、私は脱獄出来た。……と言うよりは、外敵によって瀕死だったミュージリウムが墜ちた。

カナデ「……何が起こって。敵襲です…か?」

 牢獄が崩壊し、外が見えると、機械的な翼を持つ天使のような悪魔と、大勢の人間がミュージリウムの悪魔を取り押さえていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

冤罪で追放した男の末路

菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...