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やみくも

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5章ー天界編ー

109.力量社会

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 私は音楽の都ミュージリウムで生まれ育ち、戦闘員として都市を守護してきた。

 ミュージリウムは3層に別れた渓谷に栄えた都市であり、それぞれの階層にグレードが存在していた。私は最下層の悪魔として生まれ、いわゆる奴隷のような立場だった。

 しかし、強さを買われた私は、本来最下層の悪魔が到底立ち入れない都市の中枢である最上層への立ち入りを許可され、特殊防衛部隊に任命された。

教官「これより訓練を開始する。私はお前達の教官だ。お前達には素質がある。私のプランに沿ってその力を活性化させられるように精進したまえ。」

 私を含め、他の訓練生の中にも最下層出身は多く居た。私達だって強さを買われてこの講習を受ける権利を得ている……というよりは半ば強引に受けさせられてるわけだが、ここでも格差社会は存在した。

教官「今日の訓練は終了。解散!最下層出身は補習に移るぞ。」

訓練生A「教官!今日は家の手伝いがあるので受けられ……」

 訓練生の1人がそう言うと、教官が能力を使って訓練生全員を拘束した。

教官「お前達に拒否権があると思うか?連帯責任!超強化合宿を後日、実施する!」

 私達はこのような日々をずっと繰り返した。そのお陰か最下層出身の平均的な力は高水準であり、同期の最下層出身の訓練生からも続々と出世していった。

 ただ、私は最下層の中では最も弱く、他の訓練生や教官からのあたりが強かった。

教官「おいお前!」

カナデ「え…あ、はい。」

教官「もっとテキパキ動け!努力が感じられない!」

カナデ「は、はい。すみません……。」

 私は凄く努力をしていたが、彼らにそんな事情は知る由もない。

 私より弱い訓練生は謎に優遇されていた。この都市の序列は階層が高い者程優遇され、最下層では強さが全ての指標だった。

 最下層で最も輝けない私に居場所などは無かった。

 ある日、その時地上を荒らしていると話題だったレジスターのテロ集団がこのミュージリウムにやってきた。

 私も前線へと出て、防衛戦を行なった。

自衛隊A「なんだあの化け物は……次期エース筆頭が一瞬で……。」

レジスターA「甘ちゃんだらけだ。」

 私と同じポジションに居た訓練生達は次々と倒れて、私もここで死ぬんだなと思った。

 私は気づいたら意識を失っていて、気づいた頃には戦闘は終わっていた。

カナデ「何…これ……。あの敵の死に方…私の魔術に被弾している……?」

 この時に私は確信した。私の潜在能力が遂に活性化したと。

 前の教官は戦死しており、最上層の悪魔もほぼ壊滅していて、ミュージリウムは崩壊寸前だった。

 生き残りは一部の中層と最下層が大半を占めており、唯一の生還した戦闘員として、私は最上層の悪魔にへと昇格した。

 ミュージリウムの新長は私の事を高く評価して、私を特殊精鋭部隊に任命した。

 それから数年後、ミュージリウムの復興は大分進み、格差社会は消えつつあった。その頃に物資調達の為にプログラフィに侵攻を始めていった。

 ラビルロードを占拠し、こちらが優勢な状況であったが、上層部では不穏な空気が流れていた。

兵隊A「長…。やはり格差社会を復活させませんか?」

ミュージリウムの長「何を言っている?制度が改められた事で、より良い地域作りが出来ているじゃないか。」

兵隊A「これまでの戦闘編成は、上層部の悪魔が下層部の悪魔を指揮するような構図であり、身勝手な動きの無い完璧なフォーメーションでした。しかし、今の制度になってから、想定通りの戦果を得られていません。」

ミュージリウムの長「特殊精鋭部隊がどんどん戦線を押し上げている。カナデの判断力さえあれば、最早プランなど必要無い。」

兵隊A「私が恐れているのは彼女が戦線を離脱した時ですよ。いつかどんな生物にも終わりがきます。彼女だからできるあの動きが素人の参考になろうものなら、年々戦力が低下するのは明白です。手遅れになる前に彼女を追放しましょう!」

ミュージリウムの長「しかし…」

兵隊A「今の世代は彼女に代わる存在はいくらでもいます。それに、元上層部で過ごしてきた
悪魔も多く居ます。彼女は所詮元最下層。我々最上層部の教育が刷り込ませていません。なのに今や上層部にとっても憧れです。」

 長は顎に手を当て考えた。

ミュージリウムの長「分かった。こちらでその問題は対処しよう。」















カナデ「って事です。」

チェイン「………。」

 あれ程までに狂気で満ちていたチェインも、黙り込む程の壮絶な内容だった。

ファーマ「同じ種族でもこんなに顕著に違うんだな。いや、ラビルロードも一時期はこんな感じだったか。どっかの誰かのせいで。」

チェイン「……グレインを鵜呑みにし過ぎた俺の失態だ。」

イラセフュ「辛かったら話さなくてもよいが、その後でどうなった聞かせてもらえるか?」

カナデ「はい……、元よりそのつもりですよ…。」


 そしてまたカナデは語り始めた。

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