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やみくも

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4章ー前兆編ー

98.マイホーム

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 俺、「威風曖人」はコードの生い立ちを知り、地球へと戻った。

 これから始まるであろう戦いに備えて、優秀な人物に助けを求める為に。

曖人「隊長の承認は得た。いつ起こるかは分からないが、サイサリンの1件は奴らからの宣戦布告だと認識している。満場一致でな。俺はラピスラズリのトップであり、フェクのメンバーでもある。だから、向こうの件も片付けたい。最終的には、ここでの異変の解決に繋がるかもしれない。協力してほしい。お願いだ…。」

 フェクのメンバーは純粋に戦闘力が高く、知識も豊富だ。

 彼らの存在は、得体の知れない相手に対しては、必要不可欠だ。

心明「私は勿論ついて行く。」

深雅「同じく。」

萌愛「うん。」

 あの世界に干渉した経験のある3人を同意させるのは容易だったが、他のメンバーは保留となっている。

 タイムリミットに猶予があるかすら分からない現在、一刻も速く仲間に引き入れたい所だ。








 彼らからの返答が無いまま2日が経過した現在、俺はコンビニに昼飯を買いに出掛けていた。

深雅「やる気は無いのか?染猗(しあ)。」

染猗「考えて無くはないよ。仲の良い後輩だからね。ただ、俺は正直身を引いて欲しいと考えている。危険な任務は俺とパワーゴリラだけに任せてほしい。」

深雅「曖人は成長速度が半端じゃない。留守にしている間そっちで何があったかは分からないが、後ろばかり見てる暇は無いだろう?」

 浅倉染猗は最年長であり、心優しき人物で、2番目に強い。

深雅「とりあえず言いたいのは、あんまり長引かせるなよ。やるかやらないかだ。」

 そう言って深雅は染猗の元を離れた。









 俺が昼食を買って帰ってくると、心明が部屋に入って来た。

心明「中々決断出来ないみたい。多分死亡率が高い任務に無闇に手を出したくないんじゃないかな?」

曖人「お前はなんで命を賭ける覚悟があるんだ?」

 ふと気になった為、尋ねてみた。彼女が任意の任務を断った所を、俺は見たことがない。

心明「フェクはあくまでも研究部。だけど、その過程で誰かを救う事になるとは、お父さんから聞いている。最初から覚悟は決めてるんだよ。」

曖人「……そうか。誰かしら説得は出来た?」

心明「昨日、これまでの曖人の活躍を話したら、李樹朱(りきあ)は乗ってくれたよ。」

 浅倉李樹朱は染猗の弟であり、メンバー最強の人物だ。そのせいで、パワーゴリラと呼ばれている戦闘狂だ。

曖人「彼が居るなら心強いな。もうこれで良くないか?多分いざとなったら来るでしょ。」

心明「正直それで良いと思う…。」

 他のメンバーは少し気難しい人が多く、全員が協力してくれるとは思っていない。

 決して仲が悪い訳では無いが、戦闘経験がそれまで少なかった俺には、関わりが薄かった。

 一応、本咲綾華という生物学に詳しい人にはかなり世話になっていたが、友人という感覚よりは、先輩感が否めない。

 しかし、彼女から教わった知識を基に、俺は何度も窮地から脱出してきた。

曖人「本咲さんに話だけして、区切りにするか……。」

 そして俺は本咲さんの居る倉庫に向かった。










曖人「本咲さん。」

綾華「曖人君。こうやって話をするのは久しぶりですね。」

 彼女は読んでいた本を机に置き、こちらに顔を向けた。俺は向こうでの出来事をおおまかに話した。

綾華「そうですか…。お役に立てたなら幸いです。」

曖人「本咲さんは再び戦場に立つ気はありませんか?」

 1歳上の彼女は、戦闘は可能だが、比較的に前線に出ない。

綾華「私は無理かな…。ごめんなさいね。」

曖人「いえ、謝る事ではありません。命の方が大事ですから…。」

綾華「でも、曖人君達が助けを呼んだ時には、仲間と一緒に駆けつけるから。皆さ…冷たいようで優しいんだよ…。」

 俺もそれは思っている。深雅も学生時代は冷たい人のイメージが強かったらしいが、時折見せる優しさは、人々を魅了していたようだ。

 他のメンバーのそういうエピソードも知っている。李樹朱だけはブレずに溌剌としてるが…。

 後日、俺は同意を得た4人を連れて、一旦ラピスラズリ本部へと行った。



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