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やみくも

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3章ー邪種編ー

76.不毛な損傷

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 嘶の放った蛇は、蛇行しながら加速し、牙に邪力を纏った。

曖人「剣術:乱れ斬ドレーク海風」

サニイ「槍術:炎傘」

 俺とサニイは斬撃波を飛ばし、蛇の大群を蹴散らしたが、生き残りが数体こちらに来た。

嘶「邪術:スネークナイト包囲陣」

 その蛇達は、やられた蛇の死体を吸収し、巨大な大蛇となって、俺達を囲むようにとぐろを巻いた。

曖人「このまま爆発させる気か!」

サニイ「退路は無い。この距離だと、斬っても自爆されるぞ。」

 すると、チェインが鎖に蒼炎を纏い、拡散させた。

チェイン「受けるぞ。」

 鎖は何重にも連なって、バリケードのように配置された。

嘶「消えろ。英雄共。」

 そして、蛇は爆発した。


曖人「……っと。」

 俺達は多少被弾しつつも、戦闘は継続できるダメージで済んだ。

 着地後、態勢を立て直していると、抗が背後から斧を振り降ろしてきた。

ファーマ「魔術:流樹液」

抗「計画通りだ。邪術:災いの下剋上」

 斧が地面に叩きつけられると溶岩を纏って隆起し、態勢を崩した。

 浮いたファーマを粉砕しようと、抗は跳び上がった。

抗「邪術:髄損」

チェイン「魔術:鎖の狂乱舞」

 チェインの咄嗟のカバーにより抗の斧を止めたと思いきや、鎖を簡単に切断し、多少勢いは落ちたが、高威力な斧攻撃をファーマは貰った。

ファーマ「ぐはっ!」

チェイン「ファーマ!」

嘶「よそ見しない方が良いぞ。」

チェイン「ッッ!」

 嘶の大蛇がチェインのすぐ後ろまで迫っており、チェインは噛まれて、空中に打ち上げられ、爆発に巻き込まれた。

曖人「チェイン!」

サニイ「…彼らの連携力が凄まじい。単体の時以上に厄介だな。」

曖人「この戦況だと負けるぞ。どうする?!」

サニイ「まぁ焦んな。考えはある。抗を見張っていてくれ。」

 そう言って、サニイは飛び上がり、槍に太陽のエネルギーをチャージした。 

 そして、嘶目掛けて突っ込んだ。

嘶「何だ?次はそっちから来るか。返り討ちにしてくれる。」

 嘶は大量の蛇を出現させ、魚雷のように飛ばした。

嘶「邪術:悪露致」

 しかし、サニイは反撃する様子は無く、迫りくる蛇の大群を華麗に躱しながら本体に接近し、槍にエネルギーを凝縮させた。

嘶「……。(先程のように抵抗しても、泥沼化するだけと判断したか…。)すまない。蛇爆散!」

 地上から爆発音が鳴り響く中、サニイは槍に纏ったエネルギーを撃ち込んだ。

サニイ「槍術:日粛清」

嘶「くっ……。邪術:スネークナイト包囲陣」

 嘶は蛇をすぐに生成し、囲んで爆発させようとしたが、それより先にサニイの日粛清がヒットした。

 だが、爆発に直撃したサニイは、落下してきた。

 その隙を逃さず、抗はサニイへの追撃を入れに、跳び上がった。

サニイ「……曖人。」

曖人「言われなくても分かってる。」

 事前にエネルギーを貯めていた俺は、飛び掛かって剣を構えた。

 この作戦は、嘶を怯ませてからサニイが囮となり、奇襲を狙う抗に俺がトドメを刺すという作戦だ。

抗「ッッ!いつの間に!」

曖人「終わりだ。剣術:魔光・ラビリンス!」

 ラビリンスでトドメを刺しに斬り掛かったが、その刃は抗に届かず、ピタッと止まった。 

 前方では、チェインを咥えた大蛇が、こちらを睨みつけている。

 その硬直後、抗は俺に対して髄損を放った。

曖人「がはっ!」

 俺は地面に身体を強打し、肋骨がもってかれた。

 その後すぐ、サニイも同じく地面に叩きつけられた。

嘶「いつ、俺がやられたと錯覚した?」

 嘶はまだ倒れてはいなかった。

 しかし、腹部に大きな刺し傷が出来ており、声もかなり息切れ気味だ。

 だが、こちらはすぐに動けそうにないが、向こうは抗がほぼ無傷、嘶は致命傷なものの、先程の動きを見る限り、蛇の遠隔操作は可能な様子だ。

曖人「ここまでか……。」

抗「俺達の完全勝利だ。さらば、英雄。」

 抗は斧に強大な邪力を流し込み、こちらに直接振り降ろしてきたその瞬間、ファーマに横やりされ、斧は俺の頭部のすぐ真横の地面を砕いた。

抗「あ?またか。」

 地煙の中から右足を損傷したファーマが姿を現し、弓を構えた。

ファーマ「どんな窮地に立たされようと……覆す…。それが、お前達……希望の使命じゃないのか……。」

曖人「ッッ!」

 仲間も敵も損傷が激しい、そんな不毛な戦いを続ける訳にはいかない。

曖人「悪いな…。この状況…ラビリンスの英雄として、責任を持って引っくり返す!…弱音は吐かない。」

ファーマ「…ああ。ついて行くぜ。この命が…尽きるまでな!」

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