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やみくも

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3章ー邪種編ー

72.変異者

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 斬られた疑は、肉体の崩壊が始まった。

 俺は剣を収納し、語り掛けた。

曖人「和解の道も、やろうと思えば出来るのか?また、俺は力で解決してしまって良かったのか?分からない……分からなすぎる。」

 すると、疑は口を開いた。

疑「君は不思議だ…。自分で殺めた事を悔やむ戦士など、僕は存在しないと思っていた。身内でも無い敵に…。」

曖人「サニイは英雄と勇者は別だって言ってたさ。具体的な定義は分からないが、あいつの仲間想いの所は、英雄…いや、希望を連想する。力強く、情に厚い。俺はあいつのように出来るか分からない。」

疑「その人は凄い人なんだな…。僕は邪種になる前、信頼していた仲間から裏切られた。最上層だった社会的地位から、最下層まで叩き落されたんだ。僕も仲間想いとよく言われていた。でも、裏切りを経験してからは、全ての事が信じられなくなった。変異者様の莫大な邪力を浴び、僕は疑心暗鬼を体現したような邪種へと生まれ変わったんだ。」

曖人「そんな辛い過去があったんだな……。」

 疑はもうほとんど消えかけている。

疑「生きて欲しい。その心を無くさぬよう…。僕に成し遂げられなかった事を…貫い…て……欲し……い…。」

 そして、疑は消滅した。

曖人「お前の願い…。戦地へと持っていく。」

 そう呟き、俺はその場を後にした。










???B「風の噂だが、全滅したらしいぞ……。」

???A「噂では無い。事実だ。各地の邪力が抜けている。」

???B「てかさ、これチャンスじゃないか?戦闘直後で、集まれてないし、疲弊している。
ラビリンスの英雄と太陽の化身が孤立しているのも、明らかにアドバンテージだ。」

???A「……そうだな。1人ずつ殴るか。出向くぞ。抗。」

抗「そうだな嘶。」

 そう会話を交わし、2人の邪種は、曖人の居る戦場に向かった。







曖人「……。(敵はもう居ないはず……。邪力がずっと消えて無くならない。)」

 念の為に警戒しながらしばらく基地に向かうと、やはり邪力の濃度が濃い事が実感できた。

 俺は戦闘態勢に入り、気配のする方へ声を発した。

曖人「……何者だ。」

 すると、一帯の空気が邪力で埋め尽くされ、気配の方から邪力で出来た蛇が、高速でこちらに向かってきた。

曖人「剣術:地合金」

 突進を防いだが、刹那、蛇が邪力爆発を起こし、俺は急いで回避したが、爆風範囲が広すぎて、被弾した。

抗「やはり疲弊しているようだな。疑はよい仕事をしてくれた。嘶、もう一発やってやれ!」

嘶「俺が立場上は、指揮官なんだけどな……。この際どうでも良いが…。」

 すると、嘶と呼ばれる紫髪の男が、背中から邪力で大蛇を生成し、こちらに飛ばしてきた。

 しかも、膨大な数だ。

曖人「ッッッ!あの奇襲のものと同じ能力!この数は無理だ……!」

 俺は防御態勢を取り、一か八かで受け切りに出た。

嘶「無意味だ。その脆い装甲ごと、心臓を機能停止させてやるよ。」

 もう無理だと思った次の瞬間、大蛇は、こちらに到達する前に、爆発した。

嘶「……誰だ。ッッ!貴様は!」

 防御態勢を解き、前を見ると、輝く槍使いの姿があった。

曖人「……サニイ!」

サニイ「戦闘が終わって、こっちに寄ったら、戦闘音が変わってるのが分かった。連戦だったんだろ?」

曖人「ああ。そうだ。2人の邪種を倒した。帰還中にあいつらが襲来したんだ。」

サニイ「……変異者か。」

 嘶はサニイの方を睨みつけた。

嘶「あぁ。憎い。貴様のような天から見下ろす太陽は!俺は変異者「禁忌邪種」。「嘶(いななき)」だ。サニイ・アマテス。貴様は俺が終わらせる。」

 言い終えると、嘶はナイフを取り出し、サニイに一直線で攻めにいった。

サニイ「槍術:日戦慄」

 サニイは軽く防御した。

サニイ「くっ…重い!」

 重圧に負けたサニイは、ノックバックした。

曖人「サニイ!」

抗「お前の相手は俺だ。」

 もう1人の邪種は斧を取り出し、俺の腹部を斬った。

 幸い、金属を咄嗟に纏った事で、死にまでは至らない程度だったが、この後、足かせとなるのは、言うまでも無い。

抗「やるな。流石は英雄だ。俺は変異者「叛逆邪種」と名称されている「抗(アラガイ)」。邪種動乱の本戦といこうか…!」


 突如として現れた変異者達。

 邪種動乱の本戦が今、開幕する。

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