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3章ー邪種編ー

61.ー邪種動乱Ⅱー 妄想 ー

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サニイ「何故だろうな?許せなかった。理由は分からないけど。」

 すると、望の怒りはよりヒートアップした。

望「何なんだよ……。君は……貴様は!
邪術:解体メリーゴーランド」

 レールの先に刃物の馬を走らせて、ダイブさせるようだ。

 しかし、サニイは飛行して、ジェットコースターから降りた。

望「なっ!…何故なんだよ…。何故なんだよ!」

 望は翼を生やし、飛行した。

サニイ「初見殺し…そんな強能力だった。だが、流石に慣れたな。これが現実だ。」

 そう言うと、望は「この野郎!」と言わんばかりに、触手を生やして、突撃してきた。

サニイ「槍術:日戦慄」

 だが、サニイは槍で振り払った。

望「……。」

 そして遂に、望は戦意喪失した。

 そこに槍を収納し、サニイは歩み寄った。

サニイ「どうだ?現実の味は。」

望「分からない…。何故君はそんなに現実に執着している?何故逃げたいと思わない?」

サニイ「違うんだよ!」

 その質問に対し、サニイは激しく否定した。

サニイ「逃げてばかりじゃ、誰も救えない。誰も味方が居ない。環境は廃れ、心は廃れ。
何度も逃げようとした。でも、逃避出来ない理由があった!」







      ーサニイ(少年期)ー




 俺は、アスト大陸の圏内に位置する諸島群に住んでいた。

 島での生活は、何ら変わらない普通の生活だった。

 重い過去を背負っている訳でも無く、何なら、戦場とこんなに長い付き合いになるとは、思いもしなかった。

 時は15の誕生日だった。

 その年は、アスト大陸本土が、ファントムによる奇襲攻撃を受けた影響で、その喧嘩を買い、ファントムとの全面戦争をしていた。

 この島も例外では無く、戦争に加担することを強要されていた。

 15歳の誕生日の日、諸島群にある前哨基地を襲撃しに、ファントムが襲来した。

 俺は自衛部隊として、仲間達共に戦った。

 だが、それ自体が無謀であった。

ファントムA「この島の者は弱いな。」

ファントムB「んだ。期待はずれだった。」

 島民のほとんどが殺され、島が死体で溢れ返り、島は焼かれたその光景は、まさに地獄そのものだった。

 俺は運良く生き残ったが、その現実を受け止めきれなかった俺は、自殺を試みた。

 そんな時、脳内で何者かが語りかけてきた。

謎の声「汝、何を望む。何を欲す。何を大切とする。」 

 その後、走馬灯のように仲間が出てきた。

サニイ「…俺の人生は終わったんだ。自分の手で終止符は、落し前はつけなければ。」

謎の声「汝、力が足りぬ。度胸が足りぬ。生命力だけの人間だ。何も変えられない。何も救えない。何も味方しない。環境は廃れ、心も廃れ、孤独で惨めな生涯を終える。」

サニイ「もういいだろ!…もう…いいだろ…。だから自分で終わらせるんだよ!だが……。出来る事なら、生きていたかった。死んだ仲間の分も…。そして、境遇を出さない為にも…。力さえ…力さえあれば…。」

 その日は日照りが凄く、俺は倒れてしまったらしい。

 目が覚めたのは、アスト大陸本土だった。

 生存確認のため、魔力量を測ったようだが、そこで異変が起こった。

検査員「こ、これは!高度能力者に匹敵…いや、それ以上だ…。」

 勿論、俺にそんな力は無かった。

 気絶中に何があったかは分からないが、恐らくは、あの謎の声の主に何かされたのだろう。

そして俺は、あの日のような屈辱を晴らす、太陽として、あの声の放った言葉を武勇伝に、数多くの戦いに終止符を打ってきた。







サニイ「逃避しようとした俺を彷彿とさせるから、許せなかった。勿論お前は悪くないがな。ただし、邪種が人々を脅かす以上、生かすことは出来ない。」

望「そういうことか…。だがな、俺達“邪種”も“君たち”と同じで、思想一色なんだよ。
争いの火種なんてそんなものさ。本気で白黒ハッキリさせよう…。粛清の太陽サニイ!」

 そして、望は羽ばたきだして、刃物の触手と、刃物の欠片を出した。

サニイ「最初からそのつもりではあるが、本気で向き合い、戦い合い、分かり合うのが、俺の流儀だ。受けきってやるよ!」

 サニイは収納していた槍を出し、飛び掛かった。

 望は触手を伸ばしつつ、破片を飛ばして迎え撃つが、サニイは斬撃波で破片を破壊して、槍で焼き尽くした。

望「最後の攻撃にして最大出力といこうか。
邪術:希望的天体観測」

 すると、上空の空間に歪みが発生して、刃物と隕石の雨が降ってきた。

サニイ「妄想の力も、悪くないな。……使い方次第ではな。お前は邪種として生まれてくるべきで無かった。現実は非情だな。」

 同情の感情を少し抱きつつも、サニイは槍に練り上げた魔力を纏い、技の構えを取った。

サニイ「槍術:光轟殱」

 隕石に向かって放たれた槍の残像は、全てを打ち砕き、爆散した。

望「…これでいいんだ。俺の世界に付き合ってくれて、ありがとう。」

 次は本体を叩きに、サニイは構えを取った。

サニイ「それが俺の役目だ。道の修正、死の救済、悪人の破滅。それぞれが望む幸せに必ず、未来への斜陽を照らす。お前も例外で無く。
槍術:日粛清」

 エネルギーを込めたサニイの技に、望は抵抗せずに喰らい、妄想世界から解放された。





望「…最後に…話だけでも聞いてくれるか…?」

サニイ「分かった。」



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