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Yamikumo

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3章ー邪種編ー

願望

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 サニイ達が、タコの怪物を次々に倒していると、残りの2体が逃げるように消えた。

 その時の邪力の濃度は、明らかに増していた。

サニイ「……気を付けろ…。」

 恐る恐る戦闘態勢に入ると、邪力弾が飛んできた。

 それにすぐ反応したサニイは、槍から斬撃波を飛ばして、相殺した。

 すると、海からタコの怪物に騎乗した、黒髪で、七色の縦マントを羽織った男が出現した。

???「非常に鋭い。我々の本格的な活動が開始するという時に限って、面倒な連中が出てきやがった……。夢ではこんな不運無いのにな。」

 その男から、多量の邪力を感じ取ったサニイは、斬撃波を飛ばし牽制をしたが、男は手から皿の破片を生成させて、斬撃波を相殺した。

???「まだ話してる途中なのに君さぁ…。」

サニイ「戦場で敵が待ってくれると思うな。」

???「俺の辞書にはそんなルールは無いんだよ。君は何者だ?」

サニイ「お前達、邪種を止める者だよ。」

望「そうか…君か…俺達の存在価値を否定するのは…!!よーく覚えておけ。俺は「妄想邪種」「望(ジセカイ)」。現実ばかり見ていたらつまらないじゃん。君たちに体験させてあげるよ。理想を!」

 そう言い終えると、望は自分を中心に、地面に魔法陣を張り始めた。

望「邪術:理想世界」

 すると、魔法陣が光を発し始めた。

サニイ「エサラ!魔法陣から離れろ!仲間を連れて、他の場所に行け!奴の口振り的に、各地で上位種が姿を現しているはずだ!」

 その言葉を聞いたエサラは、すぐに拠点へと向かった。

 そして空間転移が終了すると、魔法陣は消え、夜空の広がる同じ場所に飛ばされた。

サニイ「……どんな変な場所に飛ばされるのかと思ったが…。」

 すると、上空から望が地上に着地した。

望「ようこそ。俺の理想郷へ…。ここは、邪力であのつまらない現実を再現した空間だ。しかし、現実では起こり得ない都合の良い世界だよ。特別に体験させてあげよう。この素晴らしい生活を!」

 そう言い終えた望は、手から邪力の飛跡を飛ばし、その飛跡を固体化させて、レールを生成した。

望「邪術:ドリームコースター」

 無限に生成されるレールに走るゴンドラに2人が強制転送されると、真下にあった海が、マグマへと変わった。

望「この悪い足場じゃ、槍をそう軽々と振れまい。素敵だろ?この素晴らしく愉快な能力は!!」

サニイ「その力が人を殺める凶気となる以上、俺は不愉快で仕方が無い。無邪気な殺意は、許される行為では無い!」

望「…そうか。やはり君とは分かり合え無さそうだ。この世界を墓場にしてやるよ。君の。」

 能力世界で、サニイと望の戦闘が開始した。







 その頃、俺は溺の猛攻を避け続けていた。

溺「全然仕掛けてきませんね…。もしかして、緊張してるんですか?」

曖人「…うるさい。」

 出来るだけ反応しないようにしているが、集中力を持っていかれる。

 しかも、縦横360度から敵の攻撃が迫ってきていて、反撃する隙が無かった。

 躱し続けていると、余裕が生まれたので、落下してきた蛍光灯を斬った。

溺「うーん。全然痛く無いですね!貴方の攻撃なんて、戯れ合い同然ですから、無駄な抵抗しない方が楽ですよ?」

 全く効いた様子は無かった。

溺「でも、返事くらいはしてあげますよ。
邪術:廃人形劇」

 すると、エレベーターから、数体の人間を模した人間が、突撃してきた。

溺「もし私が勝ったら、貴方はそうなるんですよ?そしたらお気に入りにしますからね♡」

曖人「…マジで正気の沙汰じゃ無いな…。」

 俺はそう呟きながら、軽く人形を叩いた。

 恐らく、あの人形は人間のはずなので、迂闊に斬ってはならないと判断したからだ。

曖人「全くといっていい程ダメージが通らなかったという事は、何処かに必ず弱点箇所がある。探し出してやるよ。お前の撃破法を!」

溺「私は貴方を絶対に逃しません。必ず、永遠に私の物になってもらいますからね♡」


 曖人vs溺          サニイvs望



   ー邪種動乱は、勢いを荒げるー


 
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