思想で溢れたメモリー

Yamikumo

文字の大きさ
上 下
52 / 183
3章ー邪種編ー

新大陸

しおりを挟む
サニイ「頼む。協力してくれ……!」

曖人「まず、誰なのか説明を……。」

サニイ「?…ああ。すまないな。」

 悪い人では無さそうだが、何に協力すればいいかも分からないので、説明を求めた。

 そうすると、男は答えた。

サニイ「俺は「サニイ・アマテス」だ。詳しい事は立場的に話せないが、そのうち話す。
とりあいず今は、治安維持活動を行う人とでも思っておけ。」

 恐らくは俺と同じように、事件解決を行なっている人物だろう。

曖人「俺を必要としてるみたいだが……。何故?」

 そう質問すると、サニイは説明を始めた。

サニイ「邪種が現れたのだ。太古、アスト大陸は、得体の知れない怪物の巣窟であった。その怪物は、邪悪なエネルギー…邪力から生まれた存在だ。だが、光の天使が全ての邪種を壊滅させ、第一次邪種動乱は幕を閉じた。しかし、最近になって邪力が観測され始めたのだよ。俺も自身の眼でしっかりと目撃した。対峙した。
目撃件数が異常に高く、何より、太古に現れたとされる邪種の文献に一切書き記されていない存在が判明している。パワーも話に聞くより、桁違いだ。全滅したとされていた邪種が、進化して再来したのだ。そこで英雄の力を借りたい。第二次邪種動乱の解決に協力してくれ。
我々だけでは、規模が大きすぎて、対処出来ないのだ。」

 ラビリンスを救った英雄である俺は、あの世界で超有名になってしまったらしい。

曖人「…少し考えたい。明日の早朝、ここに来る。」

サニイ「わかった。お前の返答を明日聞こう……。」

 
 正直、俺の中で答えは決まっている。

 しかし、こちらの任務もあるので、メンバーに相談しなければならない。

 そう思いながら、本拠地へと足を運んだ。







新喜隊長「…了解だ。許可しよう。」

曖人「ありがとうございます…。」

 隊長に一連の流れを説明したら、無事に許可を頂いた。

新喜隊長「その邪種とやらと思わしき存在が、地球で度々目撃されている生物の可能性が高い。解明のチャンスだ。それに君は英雄となっている。あちらの世界の事件はどうも、この世界で起きている事件と関連性がある気がする。これから、君を文通係に任命する。人手が必要になったら、連絡をよこせ。」

曖人「了解しました。」

 そう言って、ボスの部屋を後にした。



 自室に戻り、睡眠の準備をしていると、扉がノックされた。

心明「また行くんだね。」

 そして心明が部屋に入って来た。

曖人「俺を必要とする人がいる以上、拒否する訳にはいかないしな。それに、エネルギー絡みの話だ。手掛かりが掴めるかもしれない…。」

心明「いってらっしゃーい。また生きて会える事を願ってるよ。」

曖人「わかった。」

 実際、向こうの世界で何度か俺は死にかけたし、この地球の任務も、リスクを伴う。

 何の変哲もない平和な世界の裏では、それを支える命の柱が立っているのだから…。





        ー廃墟ー


 翌朝、待ち合わせ場所の廃墟へと訪れた。

サニイ「待っていた。英雄、お前の答えは?」

曖人「協力しよう。いつでも地球には帰れるんだよな?そのゲートの感じ…。」

サニイ「ああ。俺の友人?が、ゲートの常設技術を実現させた。何km離れたか分からないくらい遠くの世界とも繋がった。」

 俺とサニイは、ゲートに入っていった。

 そのゲートを抜けた先には、石造りの建物が並ぶ集落が広がっていた。


サニイ「ここがアスト大陸の中枢都市。俺のホームタウンでもある。」


    

    ーアストロック遺跡群ー
     復元された古代都市


 古代都市ではあるものの、今も人が住んでおり、現在の技術も多少、利用されていた。

 …どちらかと言うと、古代からある都市と言った方が正確だ。


サニイ「アスト大陸の自然環境は過酷だ。
だから、そこら中にこのようなコロニーを築き、人々は太古から生活している。邪種の目撃情報は、徐々にコロニー周辺にまで及んでいる。邪種動乱を終わらせに行くぞ。まず、情報まとめをしたい。俺のマイホームに来い。」

 そうして、俺はサニイに連れられ、探索を開始した。

 
しおりを挟む

処理中です...