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やみくも

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2章ー英雄編ー(パラサイト)

34.強者の責任

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  ーラビリンスフォレストビレッジー

 ラビル草原各地での戦闘を終えた戦士達は帰還し、本体との戦いの勝利を祈っていた。

 この場にいる全員が状況をすぐに理解できた。

深雅「1人1区域担当でもシビアなのにどうするんだ?」

萌愛「とりあいず人が住んでいる区域への派遣はマストとして、それでも足りるの?」

心明「まだ墜落までに時間はある。避難は出来ない。何とかして破壊するしか……。」

 作戦会議をしていたところ曖人が帰還した。

曖人「本体は倒した。流星群をどうするか……。」

心明「飛び回って捌ききれないの?」

曖人「無理だな。間に合わない。」

 流星群落下まで恐らく2時間程度。

 避難は間に合わず、流星群破壊も遠距離から迎撃するしかない。

 全員が俺みたいに飛行出来る訳ではないかな……。

曖人「………自然区域周辺は精霊に頼んでみる。居住地域は俺たちで手を討とう。」

ファーマ「ラビリンスフォレストビレッジは俺が引き受ける。守備範囲が広いが、拡散矢の範囲的にも適任だ。」

曖人「なら任せた。精霊に頼みに行ってくるから、後の区域分担は任せた。」

 そう言って俺はラビル草原南東部にある祠に向かった。

 俺のスピードでは全てを破壊できないし、彼等彼女等も空中戦向けが多い訳ではない。

 もしかしたら犠牲がでる可能性だってあるが、1人でも多く救うために奮闘する気だ。

曖人「着いたな。ストーム!」

 気流に乗ってストームの幻が現れた。

ストーム「わかっている。英雄よ。」

 このペースで精霊の元を訪ね、流星群着弾まで残り45分となった。

 俺はラビリンスフォレストビレッジへと戻った。

曖人「全て回り終えた。もう全員配置に着いたか?」

 屋根の上からファーマが姿を現した。

ファーマ「ああ。今向かった所だ。」

曖人「作戦は?」

ファーマ「実は大陸外から異変を察知して遠征に来てくれた協力者が来た。そいつが対空戦様の必需品と戦略を練ってくれた。作戦は、
残り10分位の時に破壊しろ。だとさ。
その時間ジャストで破壊できれば被害はゼロにできるらしい。」

曖人「そいつの名前は?」

ファーマ「教えてはくれなかった。敵という感じは無いな。」

曖人「人員不足の場所は?」

ファーマ「ラーゼル山地付近。」

曖人「了解。」

 魔力を足に込め、ラーゼル山地へと向かった。





   ーラビリオン天海ステーションー

???A「残り20分で任務を遂行する。」

???B「指示は私が送ります。」

???A「頼んだ。」




     ーラーゼル山地ー


曖人「視界に収まりきらないな。この残骸どうするか考えてなかったな。協力者とやらが対処してくれるとは思うが……。」

 無線機が渡されており、その指示で動けと言われている。

 何をするかはわからないが、タイミングがある以上、誰か1人が失敗すると失敗する。

 破壊自体は全員できるだけのパワーは持っているはずなので、タイミングが大事になる。

 戦闘とは違った難しさがある。



 任務開始まで残り3分

???B「皆様聞こえるでしょうか?流星群処理任務を実行致します。それでは飛行を開始して流星群に近づいてください。」

 俺はその指示通り飛行を開始した。



  ーラビリンスフォレストビレッジー


 ファーマは練られた魔力を矢に纏い、迎撃の準備をした。

 その他のメンバーは謎の人物が配布した飛行シューズを履き、飛び上がった。


   ーラビリオン天海ステーションー

???B「それではボスお気をつけて……。」

???A「任せろ。」

 そしてボスと呼ばれる人物は雷を纏い、ステーションからラビリンス大陸へと高速で向かった。


     ーラビリンス大陸ー

 残り1分。

???B「それでは10秒後に破壊してください。
5秒以内に破壊してください。10」

ゼディ「9」

フュエル「8・7」

萌愛・深雅「6・5」

リダクテッド「4」

ミィル「3」

ファーマ「2」

心明「1」

曖人「0」

 時間になると各地で能力の発動音と共に、流星群がばらばらに粉砕されていった。



???A「聖術:神速雷神」

 すると、大陸の外から雷鳴が鳴り響き、粉砕された流星群がさらに粉砕され、その後、
時空がひび割れ、流星群の残骸を吸収していった。

曖人「なんだ…あの時空の歪みは……!外にはあんな能力者もいるのか……!」

 恐らく高度能力者だろうが、圧巻の一言に尽きた。

 稲妻が横に走っていたため、それがその協力者であろう。

 飛行速度の次元が全く違った。

 しばらくすると歪みは閉じた。

???B「任務完了です。お疲れさまでした。」

 そして無線は切れた。

 俺はその言葉を耳にしてすぐにラビリンスフォレストビレッジへと帰還した。



  ーラビリンスフォレストビレッジー

 俺が帰還した頃には皆集まっていた。

心明「皆……生きてる………。」

萌愛「と、言う事は……!」

リダクテッド「完全勝利じゃ!」

 英雄としての初任務を仲間達と共に無事遂行した。

 被害はラビルロードが跡形も無くクレーターのようになってしまった。

 だが、一般人も仲間達も誰も死ななかった。

 …………グレインはある意味被害者だったかもしれないが……。

曖人「これにて一件落着だな。自然にメンバーも集まったしな。」

心明「巨龍討伐に向けての準備を始めようか!!」

 1つ目の問題は片付き、一時の平和が訪れた。

 だが、巨龍の件がまだある。

 次はそちらに向けての準備を本格的に始めなければならない。

 それが……英雄である責任だからだ……。








   ーラビリオン天海ステーションー

???B「お疲れさまですボス!」

???A「威風曖人は凄かった。彼なら……。」

???B「巨龍の件も参戦しますか?」

???A「いや、まだいい。俺が力を貸し過ぎたらあいつの成長の妨げになってしまうだろ?
もっと強くなったら話を持ちかける。」

???B「そうですか……。」

???A「今から俺は邪種の件について捜査する。」

???B「了解しました。いってらっしゃいませ。コード様!!」

コード「ああ。近頃また連絡する。マーリン」





次回 2部 巨龍編 開幕
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