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やみくも

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2章ー英雄編ー(パラサイト)

23.八方包囲網

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  ー路地裏(曖人とは離れた場所)ー

心明「(私はこの女を相手すればいいのかな?凄い覇気を感じる…。でも…)やるしかない!」

 心明は拳に魔力を纏い、戦闘態勢に入った。

 それと同時に、ゼディも糸を生成した。

ゼディ「……………。(魔術:修羅の蜘蛛固め)」

 無数の糸が魔力を纏い心明を囲むように展開された。

 心明は足に魔力を纏い、回し蹴りで一掃した。

心明「なるほど……。」

 蜘蛛固めが破られたと同時に、ゼディは新たな糸を生成し、心明に攻撃を始めた。

心明「うーん…。ざっと36本位かな?」

 分析を終えた心明は、足に魔力を込め、
地面を蹴り、勢いで前進した。

 そして両手に魔力を纏い、迫る糸を1本ずつ
殴り斬っていった。

 ゼディはその無感情でも驚いた様子で、防御のため、糸で壁を作った。

心明「拳術:薔薇強打」
ベチッ

 強い魔力を込めた一撃は、ゼディの作った糸の壁ごと貫き、ダメージを負わした。

ゼディ「………!?」

 だが、重い攻撃後で反動を喰らう心明に、ゼディは的確に強度の強い糸を仕掛けた。

心明「うぐっ…!」

 空中で硬直中であったため、気づいたが回避できなかった。

心明「(このタイミングを狙えるのか……。
あれだけの火力を打ち込んでも、怯まないなんて…凄い身体だ…)」

 地面に叩きつけられた心明目掛けて、無水の糸が再び襲うが、心明は、前回り受け身で最初の数本を避けている間に、拳に魔力を纏い、
態勢を立て直し、応戦した。

 その後も、同じような攻防がしばらく繰り返され、7分経過した。

 他の戦闘が大体終わった頃だ。

心明「ッッッ!やばい……。強すぎる…!」

 パワーバランス的には互角の攻防が成されていたが、体力量はゼディの方が一枚上手であり、心明のパフォーマンスは徐々に低下しているが、ゼディは戦闘開始時から多少は鈍っているものの、全然弱っていなかった。

ゼディ「………………………。」

 心明はそんな劣勢な状況の中でも、何とか喰らいついた。

 しかし、心明の被弾回数は格段に増え、それに対して、ゼディはふらふらな心明の攻撃に全く被弾しない。

心明「ぐっ…流石に……やばい…かな…?」

 迫り狂う糸を僅かな力で対処し、ゼディに近づいて攻撃を仕掛けるが、簡単に回避され、カウンターを喰らった。

心明「がはっ……!…はぁ…まだ…まだ…諦め…ない…!」

 過呼吸になりながらも心明は喰らいつき続けた。

 しかし、もう既に限界を突破しかけている。

 それでも、残り僅かな魔力を纏った。

ゼディ「………。」

心明「うぉぉぉぉぉ!!」

 余力で突っ込む心明を仕留めるが如く、ゼディは魔力を纏い、カウンターの構えを取った。

心明「もう…どうなってもいい!
最期まで戦い抜くのが戦士としての努め!
不可能で逃げられない勝負は死ぬまで抵抗するのが、恩返しだ!」



 


    ー心明(幼少期)ー



ドカンッ
心明「痛っ!」

いじめっ子A「あ、ごめん。手が滑った。」

いじめっ子B「心明ちゃんってさ…。
抵抗しないからつまんないんだよね…。
度胸なー。」

いじめっ子A「まあいいら。今日も親分に調教してもらうからね!」


親分「遅れてすまないな。」

いじめっ子A「もー遅いよ!親分!」

親分「それじゃ、今日のストレス解消にまずは一発!」

心明「ッッッ!」

 しかし、親分の拳は心明の眼前で止まった。

親分「あ?」

 1人の男がその親分という男の拳を受け止めた。

???「情けないな。クラス上の立場でも力でも強いDQNなお前は弱い者いじめか?」

親分「黙れ!テメェも潰すぞ!」

???「やってみな…。できるもんならな!」

 男がそう言うと、親分と取り巻きの屈強なDQN共が一斉に男に襲いかかった。

 しかし、男はそれを全て返り討ちにした。

親分「ガハッ!…なんだ…この化け物は……」
バタン

いじめっ子B「親分?!」

 男はいじめっ子集団のリーダー格の女を
壁ドンした。

???「可愛子ぶって男が釣れてよかったな!
でもな……内心駄目な奴は自然と仲間が消えるぞ。」

 男はリーダー格の女を離して言った。

???「自分が一番"可愛く"ありたいからって。
ライバルを追い詰めんな!」

心明「ッッッ!」

 「あばよ」と言い残し、男は心明を連れてその場を去った。









心明「私のたった1人の恩人に教わったんだ。
だから絶対諦めない!」

 そう言い、心明は恩を思念に変換し、余力を全て拳に注いだ。

 ゼディはその死物狂いの一撃を確実に防げるように、糸を張り巡らした。しかし、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ゼディ「…………………!」

心の声:操り何かに屈しない!彼女が命を掛けて私を止めようとしているのに、私は全然抵抗しなかった!!こんな結末…嫌だ!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 心明が力をチャージして近づいている最中、
自我の一部を取り返したゼディが糸の力を弱めた。

ゼディ「貴方…お願い……私に…勝って!!」

 心明はチャージし終えた力を思念とともに纏い、答えた。

心明「ありがとう。絶対死なせない!お互いに!!拳術:幸教の花嫁」

 余力と思念を最大限纏った一撃は抵抗しない
ゼディに打ち勝った。

ゼディ「ありがとう……。救ってくれて…。
諦めないでくれて…。」
バタン

 魔力が尽きた心明は倒れたゼディに歩み寄った。

心明「大丈夫?!すぐにミィル連れてくる!」

 そして、隠れていたミィルを連れてきて、
2人は回復した。





ミィル「一命は取り留めたけど、2人とも魔力がほとんど残ってないから、しばらくは安静にしてて。」

ゼディ「ありがとう。ミィル?さん。」

心明「大丈夫かな曖人君たち……。」

ゼディ「きっと彼らならグレインを倒して、
チェイン様と一緒に帰ってきてくれる。
今の私たちが出来る事は信じて待つ。
それが最善よ!」

心明「うん……。そうだね!信じよう!彼らを……。」





待ち受けるのは、HappyENDか、それとも……



     ー○○○○○○か…ー

 
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