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次の一手編

進学「する」か「しない」か

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 京子は対局を終えて【圃畦塾】に向かう。土日祝日と対局後には塾に顔を出すようにしている。そして隣の【こども食堂】で子供達と一緒に食事を取る。総務の神崎にほぼ丸投げ状態だが、こうして実際に来てみなければわからない塾内の雰囲気を見て、異常はないか、チェックしている。

 こども食堂はバイキング形式なので、好きなだけおかわり出来る。子供達は自分が食べたいものを食べたいだけ食べていた。食べ物で悪ふざけするような子供は無く、皆お行儀良く食事していた。というのも、初日に食べ物で悪ふざけする子供がいたので、京子が『農作物が作られてから食事にありつけるまで』がどのくらい大変なのかを延々と説いたのだのだ。その話の長さと難しさから子供達は根を上げ、京子は「怒らせると説教が長い先生」認定された。その後、保護者から「圃畦塾に通うようになってから、食事の時お行儀が良くなった」と保護者から京子が一目置かれるきっかけになったのだが。


 京子がカウンター席で生姜焼きを口に運んでいると、隣に優里亜が座った。今日は優里亜も対局だったのだ。対局が終わったら、ここで一緒にご飯を食べようと約束していた。子供達は既に食事を終え、隣の塾で勉強をしている。

「お疲れさまです、先輩。その様子だと勝ったみたいですね」

「うん。まぁね」

 優里亜は京子の結果を聞かない。聞かずとも、優里亜より先に来ている時点で勝ったとわかる。京子は感想戦が長いからだ。

「それより京子。「一緒に」って言ったよね?なんで先に食べてるのよ」

「すみません。お腹減って我慢出来ませんでした」

「まぁ、京子らしい理由っちゃあ、らしいけど」

 そう言うと優里亜は鞄を置き、ご飯とおかずを取ってきた。優里亜は「いただきます」と、ちゃんと手を合わせてから食べ始めた。

「先輩。三者面談、終わりましたか?」

 京子は「ごちそうさまでした」と手を合わせてから優里亜に聞いた。京子は中等部3年生、優里亜は高等部の3年生だ。

「お前らに三者面談なんて、必要ないだろ」

 鞄をドサッと置き、優里亜と反対側の京子の隣に座ったのは三嶋だった。鯖の味噌煮を定食のようにご飯味噌汁付きで配置したトレーを持って。

「必要なんですよ」

「もうちょっとリアクションしてくれないか?」

 京子が前もって答えを用意していたかようにサラッと応えたので、三嶋からクレームが入る。

「三嶋さん相手にいちいち驚くの、面倒臭いんで」

「面倒くさい、で、驚かずにすむのか?お前は」

「また「お前」って言ったんで、給料から差し引いておきまーす」

「だから不当!で、エスカレーター式に進学出来る学校に通う囲碁棋士の進路相談が、なんで必要なんだ?」

 三嶋は「いただきます」と手を合わせてから早速、鯖を掻き込む。

「私の進路指導が一番大変だって先生、言ってましたよ。【どこでもドア】を作りたい生徒を指導したことなんか無いから、どこの大学がいいのか絞れない、って」

 京子の三者面談には岡本が出席したのだが、岡本はなぜか自慢気だった。

「大変だな。進路指導の先生も」

「ええ。なので、先生に「自分で大学を探す」と言っておきました」

「……本当にその先生、気の毒だな」

「?なんでですか?」

「うん。わからないならいいよ」

 三嶋は味噌汁を啜り、豆腐を口に入れた。

「で、ユリはどうするんだ?大学、行くのか?」

「うん。そのつもり」

 優里亜はサラダのトマトを齧りながら言った。

「えっ!?先輩、大学行くんですか?」

「うん。京子がこの塾を作って、手伝いしているうちに、教員免許を持ってても損にはならないなー、って思って。だからウチの大学の教育学部に行こうかなぁと思ってて」

「そうですか……。じゃあ、やっと女流試験の受験が終わったのに、今度は進学試験の勉強をすると」

「うん。京子だって、高等部への進学試験があるでしょ。って、京子には朝飯前か」

「まぁ、そうですね」

 とは答えたが、もう既に京子は学業に加え、囲碁棋士としての成績も優秀(校外活動の成績)につき、進学が決まっていたのだが、いちいち説明するのが面倒くさかったので黙っている事にした。

「へー。高校に進学するのにも試験があるのか。エスカレーター式に進学出来るのに。なんのために?」

 黙々と鯖を食べていた三嶋が、皿の上を骨だけにして言った。

「高等部は生徒数が倍に増えるんで、クラス分けするための学力検査らしいですよ。三嶋さんが通ってた学校は無かったんですか?」

「俺、公立の中学だったから、普通に高校受験したよ」

「そうでしたか。三嶋さんの大学の話しか聞いてませんでした」

 三嶋は味噌汁のワカメを噛みながら話を続ける。

「中学から高校への進学試験を受けない奴なんて、いるのか?」

「結構いますよ。例えばジェンヌを目指してる人とか。ピアノとかヴァイオリンとか、音楽やってる人は海外の音楽学校に行ったりとか。スポーツで全国大会に行った人は、その競技の施設が充実している高校のスポーツ推薦受けたりとか。ウチの学校は、グラウンド広いんで屋外の競技はそこそこですけど、屋内競技は、男子バスケ以外はそこまでガツガツしてないんで」

「なるほどなー」

 と言うと三嶋はキュウリの浅漬けを口に放り込んだ。

「まぁ、進学するのが普通だよな。

「どうかしたんですか?」

 三嶋にしては珍しく含みのある言い回しに、京子が訊ねた。

「んー。ブシさんも江田さんも、高校行ってないのは知ってるだろ?」

「はい。三嶋さんが大学通ってるって知った時に聞きました」

 優里亜は味噌汁を啜りながら二人の話に聞き入る。

「うん。棋士俺達の職業はちょっと特殊だし、義務教育だけ受ければ、後は完全実力世界だから、生活出来てしまうだろ。だから昔は中卒の棋士は普通だった」

「そうらしいですね」

「でも棋士も多様化して、お前みたいに「囲碁棋士になったけど、【どこでもドア】を作りたいから大学行きたい」って棋士もザラに出てきた」

「プログラミングを学んでた三嶋さんもそうですけどね。で、結局何が言いたいんですか?回りくどいですね」

 三嶋は箸を置き「ごちそうさま」と手を合わせてから、こう言った。

「富岳がさ、高校行かないって言ってるんだ」

「そうですか」

 京子はスンと澄まして応えた。

「だからさ、もうちょっとリアクションしてくれないか?」

「なんであのチビメガネごときに驚かなくちゃいけないんですか」

「お前、もしかして富岳が進学しないって、知ってたのか?」

「また「お前」って言ったんで、減給です。知るわけないじゃないですか。でも、立花さんの性格なら、進学しないっていうのは全く驚きませんが。友達いなさそうだったし、体育祭とか文化祭とか、音楽や美術の授業とか、億劫なんじゃないですか?おそらく高校行かずに大検受けて、大学受験しようと思ってるんじゃないですか?」

「その通りだよ。もしかして富岳から聞いたのか?」

「ですから聞いてませんてば!なんであのチビメガネの進路相談を私が受けなきゃならないんですか。っていうか、なんで三嶋さんがそんなに立花さんの進路を気にしてるんですか?」

「俺はな、てっきり「飛び級」狙いで高校に行くんだと思ってたんだよ。あいつ学校の成績良いし【どこでもドア】を作りたいって言ってたから」

「【どこでもドア】に関しては、私と立花さんとでは、協力関係になる事は!ハッキリと立花さんに宣戦布告したんで」

「宣戦布告って……」

 ちょうど優里亜が「ごちそうさまでした」と手を合わせたところだった。話も一段落ついたところで京子は皿を下げようと席を立つ。

「はい!この話は終わりです!」

「ちょっと待ってくれ、京子!まだ話は済んでないんだよ」

「なんですか。【圃畦塾】の仕事したいんですけど」

「あのさ。富岳にお前が通っている洋峰学園に行くよう、勧めていいか?」

 京子だけに聞いたのに、同じ内容の返事が二つ返ってきた。

「「はあ!?冗談じゃない!」」

 京子の隣で話を聞いていた優里亜だった。

「大ちゃん、なに言い出すの!?絶対イヤーッ!!」

「ユリは卒業するじゃないか」

 三嶋が諌めるように言ったが、優里亜は聞く耳を持たない。

「私と同じ制服着て、私の学校であの生意気な糞餓鬼が闊歩するなんて、耐えられない!」

「私もイヤです。私のシマであのチビメガネがうろちょろしてるなんて」

「シマとか言うな。囲碁棋士なら、せめて地と言え」

「……いや、待てよ。私のテリトリーに入って来るんだから、簡単にこの世から抹殺できますね。みんなアリバイ作りに協力してくれそうだし、完全犯罪にできそうですね!」

「それ、いいかも!私、協力するよ!」

 優里亜はノリノリで「ロープにする?」「ナイフにする?」「それとも毒殺?」とまるで新婚夫婦のやり取りのように、京子に殺害方法を提案する。

「やめろ!殺すな!殺すのは石だけにしてくれ!」

「わかってますよ。冗談ですよ」

「私は冗談じゃ無かったけどね」

 二人は心から残念そうに言った。

「っていうか三嶋さん。どうしてそんなに立花さんを高校に通わせたいんですか?本人は行く気が無いって言ってるのに。無理矢理通わせても、結局結果は「通わなかった」と同じになると思いますよ」

 中退するのが目に見えているので、それなら通わせない方がいい、と言いたいらしい。

「洋峰学園はかなり自由な校風だし、富岳もストレス無く通えるんじゃないかと思ってさ。修学旅行とか文化祭とか体育祭とか、みんなで色んな思い出を作るの、楽しいじゃないか」

「三嶋さんはそうかもしれないけど、立花さんはそういうのはストレスになるタイプなんですよ。これだから陽キャラのパリピは」

 と言うと京子は何やらモゴモゴと口を動かした。なんだか言ってはいけないことまで言ってしまった、という感じだ。

「とにかく!自分の進路は自分で決めればいいじゃないですか。他人がとやかく言うなんて、それこそハラスメントです!」

 そう言うと京子はトレーを返却し、さっさと事務室に行ってしまった。



 ●○●○●○



 優里亜は風呂から上がるとノートパソコンに向かい、髪を拭きながら今日の対局で打った碁を記録した。女流試験合格のお祝いに、両親がプレゼントしてくれた新品で最新型のパソコンだ。対局で打った碁は勿論、院生時代に打った碁や京子からの指導碁も、少しずつ記録している。自分のこれまでの囲碁人生の全てが詰まったパソコンだ。そしてこれからどれだけの数の碁をここに記録出来るか、楽しみにしている。

 ノートパソコンを閉じ、優里亜はふうと息を吐いた。椅子の背もたれに体を預け、伸びをする。

 髪をドライヤーで乾かしながら、今日の出来事を思い出す。「コレだからパリピは」と言った後、口ごもった京子を。

 (京子も体育祭とか文化祭とか、うざったいとか思ってるのかな……)

 でなければ、あの台詞もあの慌てたような行動も出てこないだろう。

 他にも京子の言動を思い出す。

 『棋道賞』受賞式の後の、丸山翼への暴言を思い出す。「ショボい碁しか打てない新米棋士」。

 (止めたほうが良かったのかな?叱ったほうが良かったのかな?そんな言い方だと敵を作るって)

 この前の「交流会」でも、親の七光りを使って無理矢理交流会に参加してきた央貴学院の生徒会長に喧嘩を売っていた。後先考えずに。その後、棋院から紫水晶アメジスト戦について、なんの発表も無かったことから、お咎め無しだったみたいだけど。

 私に圃畦塾の事を黙っていた。「心配する事ぐらいしかできない」からと。正直傷ついた。確かにその通りだけど、やっぱりせめて一言言って欲しかった。

 おそらく京子本人には全く悪気はないのだろう。好きなものは好き、嫌いなものは嫌い、無駄は無駄とハッキリ言っているだけで。

 でも京子のやり方や言い方では、そのうち孤立してしまう。京子は気づいているんだろうか?

 感情を抑えられないなんて、まるっきり子供だ。しかも、いろんな事を知っているのに、何も知らない、頭でっかちの。新聞やニュースや本などで得られる『知識』はあるのに、人として『どう人と接すればいいのか、わからない』。


 でもおかしい。棋風はその人の性格が出るというが、京子は碁を打っている時は全く感情を表に出さない。無表情で淡々と打つ。怒りも焦りも嫉妬も動揺も、京子の碁には人間らしさ『心』が何も無い。あるのは勝利という目的だけ。そう、コンピューターのように。


 どちらが本当の京子なのだろう?

 淡々と無表情で碁を打つのが本当の畠山京子なのか。

 それとも、気に入らない相手は誰彼構わず自分の立場さえ気にせず喧嘩を売るのが畠山京子なのか。


 京子の事を考えると、いつもに辿り着く。堂々巡りになる。

 優里亜は机の引き出しからノートを取り出した。京子から稽古をつけてもらうようになってからつけ始めた『畠山京子ノート』だ。いつか京子と対戦するための対策ノートでもある。

 今日の出来事をシャープペンシルで書き込む。まだ一冊目の半分しか使っていない。あれだけ色々やらかしているのに、何故かページが埋まらない。何か見落としはないかと思いながら書き込んでいるが、私自身が京子という人物の性格をまだ捉えきれずにいるのか、単純に私の文章力が無いだけなのか、京子と知り合ってもう二年が経つというのに、ノートの半分は真っ白なままだ。


 スマホの時計を見る。0時を回った。優里亜はノートを引き出しに戻し、立ち上がる。部屋の電気を消すと、ベッドに潜り込んだ。

 なかなか寝付けない。普段なら5分とかからず眠れるのに、対局のあった日はいつもこうだ。対局を終えて6時間は経っているのに、まだ脳が興奮している。

 それでも目を瞑る。明日も学校があるからだ。体育の授業がある。たとえ眠れなくても体を休めておかないと。

 何度か寝返りを打つ。考えないようにしても、今日打った碁が頭の中を駆け巡る。そして京子の言動も一緒に脳内再生される。

 私が京子のために出来る事を考える。また寝返りを打つ。何度も何度も同じ思考を繰り返す。

 しばらくすると寝返りの回数が減ってくる。

 深夜2時過ぎ、優里亜はやっと寝息を立てた。
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