思い付き短編集

神谷 絵馬

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「...急に抱き上げたからか?」

「そうそう、驚いて、怖くなっちゃったみたい。」

下がった眉にクシャッと歪めた情けない顔をするロルフ。
こういうところが可愛いよね。

<アンタとなら契約してあげても良いわよ?>

「そんなに懐かれて、妬ましいやら羨ましいやら...クソ、対応ミスったー。」

「ん?あ、そうなの?僕と?うーん、どうしようか?
君と、契約したいってこの人が言ってるんだけど、嫌かな?」

肩に乗って頬にスリスリしてくれるのは可愛いし嬉しいんだけど、ロルフが契約したがってた子だからなぁ...どうしようか?

「おいおい、良いのか?
そんなに懐いてくれてるのに、自分から手放すなんて...」

<嫌よ!!絶対に嫌!!>

「んー、そっか、じゃあ僕と契約する?」

<うん、アンタとなら良いわよ!>

あらら、期待させたのにリスちゃんに拒否されちゃって、ロルフに悪いことしたかな?

「あーあ、んじゃ、ちょっくら探してくるかー。」

<アタシの双子の子なら契約出来るんじゃない?
ほら、ソイツの足元にいるじゃない!>

「あ、ロルフー、この子双子らしくて、この子の双子の子が契約してくれるみたいだよ?」

「え?マジで?」

「ほら、その子!」

リスちゃんが指し示す方を見たら、ロルフの足元でよじ登ろうとしてるリスちゃんがいた。
この子よりも薄めの茶色にクリーム色の水玉模様のちょっと太めで、何度も挑戦してはポテッと落ちる...どんくさい感じがまた可愛い。

「抱っこしても良いか?
お、ありがと!んで、契約してくれるのか?」

<えー、してやっても構わんよー?>

今度はちゃんと抱っこの許可を求めてから手のひらに乗せたロルフ。
契約してくれるかも!って興奮してるのは分かるけど、顔が近すぎてリスちゃんが引いてるよ?
ちょびっとだけ体を仰け反らせて、頬をポリポリと掻きながら嬉しそうにしてるリスちゃん。
リスちゃんが答えているのに、ロルフは何故か答えを待っているみたいだから僕から伝えてみようか?

「してやっても構わんよ?だってー。」

「おぅ!ありがとな!って、おい、さっきから、なんか言葉が分かるっぽいけどさ?」

「うん、分かるよ?
え、皆そうでしょ?違うの?」

「契約しないと分からんのが普通だぞ?」

「...へぇー、そうなんだー。」

知らなかったなぁ...普通に聞こえてたから、皆分かるもんだと思ってた。
そっか、ロルフ、さっきのリスちゃんの答えが分からなかったんだ。

「まさかだけどさ?」

「ん?」

「熱く語ってるのにビックリしたって言ってたけど、それって獣魔族も含んでるのか?」

「うん。」

皆、めちゃくちゃ思い思いに語ってたよ?
<フハハハハッ!!
強いのと契約して、俺様の名を轟かせるんだゼ!!>
<なにをぉう??!
俺様の方が強いのと契約するんだジョ!!>
と、オラオラ感の強い暑苦しいのもいたし、
<ねぇねぇ、人族の子供よ!
あら、あの子可愛いわ!>
<あの子なんて、きっと将来イケメンになるわぁ!!>
<可愛い方が良いわよ!>
<いいえ、イケメンよ!>
とキャーキャーしてるのもいたし、
<お家に帰って寝たい......>
なんて、隅っこの方でのんびり横たわってるのもいたからね。





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