思い付き短編集

神谷 絵馬

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私は私の家族を守ります。2

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「なんですって?
慈悲の心で、あの阿婆擦れ女が死んだから引き取ってやると言っているのに、断られた?
貴方達、馬鹿なの?
小娘ごときに断られたからと、スゴスゴと戻ってきたの?
さっさと拐ってきなさい!!
このままでは、私の可愛いベアトリクスが!!
あのクソ女の息子の婚約者にさせられるのよ?!!」

あぁ、そう言うことだったの...私を娘の身代わりにしようとしてるのね?
しかも、使者のお2人は旦那様からの命令だとか言ってたけど、実際は思ってた通りそこの女の命令だったんだー...どうりで。
あれれ?そう言えば、私は貴女の娘であるベアトリクスよりも2歳歳上なんだけど、大丈夫なの?
まぁ、貴女の太めな娘よりも体格的には華奢だけどね?

でも、王家も、よくもまぁあの美しさも知性も慈愛の心も...欠片も感じられないベアトリクスを、第4とは言え王子の婚約者にしようと考えたよね。
ベアトリクスって私が見た感じ、ただの我が儘で太めの小娘でしょ?
王家って、有能な人や美しい人を積極的に...というか無理矢理にでも取り込もうとするじゃない?
でも、ベアトリクスったら、そのどちらでも無いのよねー。

自分は貴族に生まれたから偉いのよ!とか、8歳と言えどもなんとも馬鹿なことを喚き散らしてたわー。
6歳のメイド見習いにすら劣ってるのが悪いと思うんだけど......。
3歳から教育が始まったのにも関わらず、5年経った今でも読み書き計算が全く出来ないなんてねー...お茶会で同じくらいの歳の子供達に笑われてもおかしくないと思う。
まさかの、この女の勝手な妄想とかだったら、面白いだろうなぁ。

あぁ、私がどうしてこんなに色んなことを知っているのかって?
それは、生まれたときから自我があったからとしか言えないかなー。
まぁ、そのお蔭で早々に父親がろくでもない男だと知ることが出来て、対抗するために色々と準備することが出来たのよ!
私がしていることにはお母さんも気付いていて、お母さんにも手伝ってもらったりもしたの。
そして、試行錯誤の末に編み出した魔法でクレメリス伯爵家の盗聴と盗撮をしてまーす。

「......かしこまりました。」

あーあ、使者さんったら拐いに来るつもりなんだね?
今度は見逃したりなんてしないよ?
家の周りには、色々と悲惨な結果をもたらす悪辣なものから軽い嫌がらせ程度のものまで、多種多様な罠が仕掛けられております。
悪戯好きなリルと私で仕掛けたに決まっているでしょ?

まずは、侵入者防止の有刺鉄線を近所の鍛冶師のおやっさんに作ってもらったんだー。
おやっさんは、包丁や鍋の修理とかで出入りするおやっさんを見ても泣かない私達を、孫のようにいや、実の孫以上に可愛がってくれててね?
私達を守るためなら一肌脱ぐぞ?なんて言ってくれて、めっちゃ格安で作ってくれたの。

そして、家の扉や窓をお母さんに惚れてた...私達的にもお父さん候補有力だった優しい大男な大工のクマルさんが、最新の防犯性能の高いものに変えてくれたの。
お母さんが死んでから2年も経つのに、残された私達を心配して、私達にはお金なんて払えないのに、出世払いでも良いんだよと言ってくれるクマルさんが大好き!
あぁ、色々と魔法も仕込んであるよ?
窓を割っても自動で修復してくれるし、窓の破片とかは故意に割った犯人に降り注ぐようにしてあるし、ドゥゴォーン!という警報音が私が止めるまで断続的に鳴り響きます。
少し近所迷惑かもだけど、これらの私が編み出した防犯魔法は、ちゃんと依頼してくれた家にはしっかりと真心込めて仕掛けてるからお相子なの。





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