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お役目、果たしましたが?5
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「アンジェ?また、アホ様からお手紙が来てますわ!
ウフフ、暖炉で粉になるまで燃やしておきますわね?」
頬に手を当てて可愛らしく首を傾げながら、私に届いた筈の手紙をグシャグシャに握り潰しているのは、赤ちゃんの頃に捨てられていた私の母代わりをしてくれた巫女のナターリアです。
私が抱き上げられる程には小柄なのに、重装備の騎士様を投げ飛ばすことの出来る巫女なの。
ナターリア母様の真っ直ぐな黒髪はヴェールで隠されてしまっていて、少し残念。
意思の弱そうな優しい垂れ目は、新緑のような目の覚めるような美しい色をしていて、そして、力の籠った強い光を宿していて...
「ウフフ、年頃のアンジェが聖女を辞めるのは当然ですのにね?
アホ様ったら、相も変わらず頭が沸いておられるご様子ですわね...お痛わしいですこと。
んー、そろそろ、お手紙だけじゃなくって物理的にアホ様を潰しに参ろうかしら?」
だなんて、物騒なことを平気で言うの。
それも、巫女らしく...可愛らしく微笑みながら言うから、質が悪いと思う。
「ナターリア母様の手が痛くなってしまいますから、止めてくださいね?」
「あら、私の手を心配してくれるの?
ウフフ、やっぱり、アンジェはとっても優しいわねぇ。
私、そんな可愛くって優しいアンジェが大好きよ?」
「えぇ、私もナターリア母様のことも大好きですよ?」
よし、これでナターリア母様のご機嫌はとれた!
後は...
「ナターリア、あのアホの所へ直接行くのは駄目だ...陰でこっそりやらないと。」
「ルイーゼ母様?」
「ん?あぁ、アンジェは気にしなくても大丈夫。
万事、母様達に任せなさい。
ナターリア、後でどんな呪いにするかを話し合おう。」
「えぇ、後でね?」
ルイーゼ母様のみだったのに、先手を打たれた...。
いつもならば巫女のヴェールで隠されてしまっているとても美しい真っ直ぐな肩までの深い緑色の髪を、今日はヴェールをせずに緩く1つに纏めているルイーゼ母様は私よりも頭1つ分背が高いの。
幼い頃は6人もの男兄弟の中で過ごしていたらしく、少し男性よりな感じで言葉を簡潔に話すから、とっても楽。
幼い頃はルイーゼ母様の真似をしていたけど、大きくなってきてナターリア母様に叱られるようになってからは少し自重している。
怒ると怖いから...2人共。
あぁ、朗らかに笑いながら呪いだなんて物騒なことを...ほら、あそこの狛犬に聞かれてるじゃない?
で、その狛犬が明らかに名案思い付いたって顔してから、興奮して尻尾をフリフリしながらにやけてるでしょ?
ねぇ?そこの狛犬さん?絶対何かやらかそうとしてるよね?
ウフフ、逃げないでくれる?
《アンジェリカ怖ぁーい!》
「あら、じゃあ、怖ぁーいアンジェリカはもう添い寝しなくても良いですよね?
週に1度のお約束だったけど、必要無いのなら私はジルとのみ一緒に寝ますね。」
《だ、駄目ぇーー!!
アンジェリカは僕と一緒に寝んねするのー!》
「じゃあ、何をしようとしてるのかを教えて?」
《んーっとねー、尽く僕のことを愚弄してる王族にねー、なにかしら呪いをかけよっかなー?って思ってるの。
そしたらさ?ナターリアとルイーゼがかけた呪いの目眩ましにもなるでしょ?
ね?ね?名案でしょ!》
*
ウフフ、暖炉で粉になるまで燃やしておきますわね?」
頬に手を当てて可愛らしく首を傾げながら、私に届いた筈の手紙をグシャグシャに握り潰しているのは、赤ちゃんの頃に捨てられていた私の母代わりをしてくれた巫女のナターリアです。
私が抱き上げられる程には小柄なのに、重装備の騎士様を投げ飛ばすことの出来る巫女なの。
ナターリア母様の真っ直ぐな黒髪はヴェールで隠されてしまっていて、少し残念。
意思の弱そうな優しい垂れ目は、新緑のような目の覚めるような美しい色をしていて、そして、力の籠った強い光を宿していて...
「ウフフ、年頃のアンジェが聖女を辞めるのは当然ですのにね?
アホ様ったら、相も変わらず頭が沸いておられるご様子ですわね...お痛わしいですこと。
んー、そろそろ、お手紙だけじゃなくって物理的にアホ様を潰しに参ろうかしら?」
だなんて、物騒なことを平気で言うの。
それも、巫女らしく...可愛らしく微笑みながら言うから、質が悪いと思う。
「ナターリア母様の手が痛くなってしまいますから、止めてくださいね?」
「あら、私の手を心配してくれるの?
ウフフ、やっぱり、アンジェはとっても優しいわねぇ。
私、そんな可愛くって優しいアンジェが大好きよ?」
「えぇ、私もナターリア母様のことも大好きですよ?」
よし、これでナターリア母様のご機嫌はとれた!
後は...
「ナターリア、あのアホの所へ直接行くのは駄目だ...陰でこっそりやらないと。」
「ルイーゼ母様?」
「ん?あぁ、アンジェは気にしなくても大丈夫。
万事、母様達に任せなさい。
ナターリア、後でどんな呪いにするかを話し合おう。」
「えぇ、後でね?」
ルイーゼ母様のみだったのに、先手を打たれた...。
いつもならば巫女のヴェールで隠されてしまっているとても美しい真っ直ぐな肩までの深い緑色の髪を、今日はヴェールをせずに緩く1つに纏めているルイーゼ母様は私よりも頭1つ分背が高いの。
幼い頃は6人もの男兄弟の中で過ごしていたらしく、少し男性よりな感じで言葉を簡潔に話すから、とっても楽。
幼い頃はルイーゼ母様の真似をしていたけど、大きくなってきてナターリア母様に叱られるようになってからは少し自重している。
怒ると怖いから...2人共。
あぁ、朗らかに笑いながら呪いだなんて物騒なことを...ほら、あそこの狛犬に聞かれてるじゃない?
で、その狛犬が明らかに名案思い付いたって顔してから、興奮して尻尾をフリフリしながらにやけてるでしょ?
ねぇ?そこの狛犬さん?絶対何かやらかそうとしてるよね?
ウフフ、逃げないでくれる?
《アンジェリカ怖ぁーい!》
「あら、じゃあ、怖ぁーいアンジェリカはもう添い寝しなくても良いですよね?
週に1度のお約束だったけど、必要無いのなら私はジルとのみ一緒に寝ますね。」
《だ、駄目ぇーー!!
アンジェリカは僕と一緒に寝んねするのー!》
「じゃあ、何をしようとしてるのかを教えて?」
《んーっとねー、尽く僕のことを愚弄してる王族にねー、なにかしら呪いをかけよっかなー?って思ってるの。
そしたらさ?ナターリアとルイーゼがかけた呪いの目眩ましにもなるでしょ?
ね?ね?名案でしょ!》
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