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3 : 我が儘娘は、どちらかしら?
8 ~お兄様side~+
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「スフィリノ伯爵家のご令嬢が、養女の方に意地悪をしているそうですけれど、お2人共そんな子でしたかしら?」
「えぇ、私も疑問なのですわ。
そのお噂は私もお聞きしましたけれど、他者への嫉妬により階段から突き飛ばしたり、濡れた廊下を掃除させたり...アリアンネ様がそんなことをするとは思えませんわ。」
「え?それらを、アリアンネ様がしているのですか?」
「噂では、スフィリノ伯爵家のご令嬢となっておりますわ。」
「下の妹さんはまだ4歳ですもの、あり得ないでしょう?
アリアンネ様の方なのではありません?」
「アリアンネ様がそういう意地悪をされるとは思えないわ。
それに、ただの噂なのでしょう?
アリアンネ様のことを疎んでいる方が流しているのではありませんか?」
「それはそうかもしれませんけれど...人間、誰しも裏の顔がありますわよ。」
「へぇ、噂ではもうあの子が養女になっているんだね。
僕は初耳何だけど、皆さんはどこでその噂を聞いたんでしょう?」
根も葉もない噂話を、こんなところでするなんて、さあ、聞いてください!と言っているようなものだよね...このご令嬢方は、後先考えていないのかな?
それにしても、勝手に噂されるのはよくあることだし他人の不幸は蜜の味とも言うし話したくなるのも分かるけれど、こうして実際にやられるとかなり不愉快だな。
それも、あの礼儀知らずの我が儘娘が、もう既に我が家の一員だと思われているなんて......大方父上の仕業なのだろうけど、ハァー、父上は阿呆なのかな?
「「「ジークレン様??!」」」
「え?!ジークレン様?!
い...いつからそこにおられましたの?!」
「君達が我が家のことを噂し始めたときからかな?」
「最初からじゃないの!
盗み聞きをするなんてあり得ませんわ!!」
ご令嬢方をかなり驚かせてしまったらしいね...それは申し訳ないけど、僕が責められる意味がわからないかなぁ?
こんな所で噂話に花を咲かせているんだから、盗み聞きしたくなくとも誰でも聞こえてくるってもんでしょ。
「ハハハ、何を言ってるんです?
ここは、社交場であるサロンではなく学園の庭園だよね?
誰でも利用することの出来る広場だと思うのだけど...?
そこで、他人に聞かれて困ることを話題にしている方が悪いのではないかな?」
「そっ、それは!
私達は、ただ、聞いた話をしていただけですわ!」
特に声を潜めることもせずに、ちょっと聞いただけの確証のない話をしてたわけ?
自分の発言には自分で責任をとってほしいなぁ...ま、僕らはまだ子供だし仕方ないかな?
「時と場所を選べば良いのに、このような公の場で声を潜めることもせずに話していたのは貴女達でしょう?
で、その聞いた話しは誰からお聞きに?」
「わ、我が家のガーデンパーティーに来られた、養女の方ご本人ですわ!」
「まだ公に養女になっていない筈なのに、君はどこで知ってあの子を招待したの?」
「養女の方のことは知りませんでしたわ。
スフィリノ伯爵様に紹介されてお会いしたのが初めてですもの。
養女の方は招待などしておりませんでしたけれど、招待されていたスフィリノ伯爵様が連れてこられて、新しく養女となった可愛い娘だと紹介されましたので、飛び入りで参加していただきましたのよ。」
ああ、父上はやはり阿呆なのか。
帰ったら直ぐにでも、母上に相談しなくてはならないな。
他所様のガーデンパーティーに、まだ最低限のマナーを覚えておらず養女にすらなれていないあの子を出すなど愚の骨頂。
そもそも、招待などされてない筈のガーデンパーティーによくもまぁ参加出来るよね?
「...そう。
下級のマナー講座すら修了出来ず、まだ一族に認められていないことから養女にもなっていないのに、公に出したのか。
父上は、僕らをさっさと追い出したいようだね。
情報提供、ありがとうございました。」
身分の詐称について、一応貴族院へと報告しておかないといけないかな?
あ、我が家の汚点にはなるけど養子に出てしまえば殆ど関係ないし、皆様には一応軽く説明しておこうかな。
アリアやリュシーの味方になってくれると良いけど...まぁ、表だけでも良いか。
「ああ、貴女達が噂していたことだけど、全てその娘の狂言だよ。」
「狂言?嘘だと仰いますの?」
「ある日、あの娘の叫び声が聞こえて、何事かと部屋を出て階段に向かうと、
『アッアリアンネが、急に突飛ばしてきたの!酷いわ!!
私、何も悪いことしてないのよ!!』
と、泣き真似をしながら喚き散らしていてね?
だけど、その日のアリアは、母方の伯母様と階段からは離れたアリアの部屋で編み物をしていたんだ。
どうやったら、離れた部屋から階段まで瞬時に動けるんだろうね。」
「...それは、おかしくありませんか?」
「そう、誰が見ても聞いてもおかしいと思う筈なんだけど、父上はその娘の言い分を信じて、アリアを罰しようとしたんだよ。
まあ、その時は伯母様がアリアの無罪の証人だったから、罰を受けたのはあの娘の方だったよ?」
「あらまぁ、なんとも浅はかですわね。
どうして、未だに家に置いてらっしゃいますの?
我が家なら、そんな嘘を平気で吐けるような方は直ぐに追い出しますわ。」
「あぁ、父上が...ね。
何故かあの娘のことをいたく気に入っていてね。
このままなら、僕らは養子として家を出た方が良いのかもしれないなって思って、養子先を探している所なんだ。」
気付いてくれる人はいるもんだよね...あ、一応、こっちもふんわりと匂わせておこう。
そろそろ決まりそうなんだけど、一応ね。
*
「えぇ、私も疑問なのですわ。
そのお噂は私もお聞きしましたけれど、他者への嫉妬により階段から突き飛ばしたり、濡れた廊下を掃除させたり...アリアンネ様がそんなことをするとは思えませんわ。」
「え?それらを、アリアンネ様がしているのですか?」
「噂では、スフィリノ伯爵家のご令嬢となっておりますわ。」
「下の妹さんはまだ4歳ですもの、あり得ないでしょう?
アリアンネ様の方なのではありません?」
「アリアンネ様がそういう意地悪をされるとは思えないわ。
それに、ただの噂なのでしょう?
アリアンネ様のことを疎んでいる方が流しているのではありませんか?」
「それはそうかもしれませんけれど...人間、誰しも裏の顔がありますわよ。」
「へぇ、噂ではもうあの子が養女になっているんだね。
僕は初耳何だけど、皆さんはどこでその噂を聞いたんでしょう?」
根も葉もない噂話を、こんなところでするなんて、さあ、聞いてください!と言っているようなものだよね...このご令嬢方は、後先考えていないのかな?
それにしても、勝手に噂されるのはよくあることだし他人の不幸は蜜の味とも言うし話したくなるのも分かるけれど、こうして実際にやられるとかなり不愉快だな。
それも、あの礼儀知らずの我が儘娘が、もう既に我が家の一員だと思われているなんて......大方父上の仕業なのだろうけど、ハァー、父上は阿呆なのかな?
「「「ジークレン様??!」」」
「え?!ジークレン様?!
い...いつからそこにおられましたの?!」
「君達が我が家のことを噂し始めたときからかな?」
「最初からじゃないの!
盗み聞きをするなんてあり得ませんわ!!」
ご令嬢方をかなり驚かせてしまったらしいね...それは申し訳ないけど、僕が責められる意味がわからないかなぁ?
こんな所で噂話に花を咲かせているんだから、盗み聞きしたくなくとも誰でも聞こえてくるってもんでしょ。
「ハハハ、何を言ってるんです?
ここは、社交場であるサロンではなく学園の庭園だよね?
誰でも利用することの出来る広場だと思うのだけど...?
そこで、他人に聞かれて困ることを話題にしている方が悪いのではないかな?」
「そっ、それは!
私達は、ただ、聞いた話をしていただけですわ!」
特に声を潜めることもせずに、ちょっと聞いただけの確証のない話をしてたわけ?
自分の発言には自分で責任をとってほしいなぁ...ま、僕らはまだ子供だし仕方ないかな?
「時と場所を選べば良いのに、このような公の場で声を潜めることもせずに話していたのは貴女達でしょう?
で、その聞いた話しは誰からお聞きに?」
「わ、我が家のガーデンパーティーに来られた、養女の方ご本人ですわ!」
「まだ公に養女になっていない筈なのに、君はどこで知ってあの子を招待したの?」
「養女の方のことは知りませんでしたわ。
スフィリノ伯爵様に紹介されてお会いしたのが初めてですもの。
養女の方は招待などしておりませんでしたけれど、招待されていたスフィリノ伯爵様が連れてこられて、新しく養女となった可愛い娘だと紹介されましたので、飛び入りで参加していただきましたのよ。」
ああ、父上はやはり阿呆なのか。
帰ったら直ぐにでも、母上に相談しなくてはならないな。
他所様のガーデンパーティーに、まだ最低限のマナーを覚えておらず養女にすらなれていないあの子を出すなど愚の骨頂。
そもそも、招待などされてない筈のガーデンパーティーによくもまぁ参加出来るよね?
「...そう。
下級のマナー講座すら修了出来ず、まだ一族に認められていないことから養女にもなっていないのに、公に出したのか。
父上は、僕らをさっさと追い出したいようだね。
情報提供、ありがとうございました。」
身分の詐称について、一応貴族院へと報告しておかないといけないかな?
あ、我が家の汚点にはなるけど養子に出てしまえば殆ど関係ないし、皆様には一応軽く説明しておこうかな。
アリアやリュシーの味方になってくれると良いけど...まぁ、表だけでも良いか。
「ああ、貴女達が噂していたことだけど、全てその娘の狂言だよ。」
「狂言?嘘だと仰いますの?」
「ある日、あの娘の叫び声が聞こえて、何事かと部屋を出て階段に向かうと、
『アッアリアンネが、急に突飛ばしてきたの!酷いわ!!
私、何も悪いことしてないのよ!!』
と、泣き真似をしながら喚き散らしていてね?
だけど、その日のアリアは、母方の伯母様と階段からは離れたアリアの部屋で編み物をしていたんだ。
どうやったら、離れた部屋から階段まで瞬時に動けるんだろうね。」
「...それは、おかしくありませんか?」
「そう、誰が見ても聞いてもおかしいと思う筈なんだけど、父上はその娘の言い分を信じて、アリアを罰しようとしたんだよ。
まあ、その時は伯母様がアリアの無罪の証人だったから、罰を受けたのはあの娘の方だったよ?」
「あらまぁ、なんとも浅はかですわね。
どうして、未だに家に置いてらっしゃいますの?
我が家なら、そんな嘘を平気で吐けるような方は直ぐに追い出しますわ。」
「あぁ、父上が...ね。
何故かあの娘のことをいたく気に入っていてね。
このままなら、僕らは養子として家を出た方が良いのかもしれないなって思って、養子先を探している所なんだ。」
気付いてくれる人はいるもんだよね...あ、一応、こっちもふんわりと匂わせておこう。
そろそろ決まりそうなんだけど、一応ね。
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