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本編
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「まぁ、とっても斬新な結婚式ですこと。
新郎が新婦だけでなく愛人を連れている結婚式なんて、どこを探しても存在しないでしょうね。
飛び切りの醜聞ですわ。」
私の旦那様になるフェバリシス・アールオン・シルバスリエ伯爵子息は、少しふくよかな...タキシードがはち切れそうになる胴回りの、毛量薄めの茶髪に茶色い吊目のお世辞にも格好良いとは言えない容姿のお方ですわ。
因みに29歳ですので、私の4つ上ですわね。
容姿のみならず...卑屈な性格のこともあり、中々婚約も結婚も決まらず、焦れているところを野心ある平民に捕まってしまわれたのだろうとの噂がありますわね。
まだ報告がありませんから本当かどうかは分かりませんけれど、お父上であるシルバスリエ伯爵が気付いた時にはもう遅かったのだと申しておられましたわ。
だからと言って、大金を積んでお祖父様と国王陛下に行き遅れであると評判の私との結婚を要請されるなんて、私のことと元婚約者様のお家のことを愚弄しておられますわよね。
元婚約者様の所へ、突然の婚約解消の命令に関しての慰謝料などは支払われないそうですし、忠誠心なんてものがどこぞへと消え去ってしまっても仕方ありませんわ。
さて、今に集中すべきですわね。
私の旦那様になるフェバリシス様は、私とご自分との結婚式だと言うのに、平民の愛人をわざわざ着飾らせてバージンロードへと連れていらっしゃいましたの。
バージンロードを歩けるのは、新婦と新郎だけですのに...愛人が歩くなど想定外でしたわ。
息子可愛いお父上の要請で、きちんとその方の席も目立たないようにと端の方ですけれども、ご用意いたしておりますのよ?
こんな面倒な茶番なんて、さっさと終わらせてしまいたいのに面倒事を増やさないでいただけます?
「私は、このマリエンヌと永遠の愛を誓っているのだから、お前の存在があり得ないんだ!」
「まぁ、貴方は伯爵子息ですのよ?
その方は平民でしょう?
それも、最低限のマナーも習得出来ずに、養子入りを身内の男爵家からも断られたのでしょう?
貴方達が愛を誓うことは、国王陛下から許されておりませんわ。」
「何を?!」
「別に、貴方が愛人を囲われるのは構いませんのよ?
私と貴方の結婚は、王命による白い結婚ですもの。
ですが、白い結婚にも最低限のマナーがございますの。
結婚式を恙無く済ませれば、後は自由になさって結構ですわ。
後で、貴方のお父上と取り決めたことを、もう一度ご説明いたしますわね。
取り敢えず、メイさん?マリエンヌ?さんをお席にご案内してくださいませ。
早く結婚式を終わらせなければ、私の騎竜が暴れてしまうかもしれませんわ。
あの子、環境の変化に苛苛しておりますのよ。」
「リリスベル様、紅を失礼いたします。」
「あら、ありがとう。
それでは、神父様?
形式通りに結婚式を始めましょう。」
私の騎竜が暴れるかもって漏らしてみたら、一部の人達がギョッと目を見開かれましたわね。
仕方無いのよ...あの子、前の婚約者様のことを気に入っていたから、割り込んできたフェバリシス様を殺してやるって息巻いていたもの...。
だから、あの子は参加出来ないことにしたのよ。
一応はめでたい場なのですから、流血沙汰は勘弁していただきたいでしょう?
?そういえば、あの愛人の方、一言も話しませんでしたわね。
俯いてばかりで、もしかして話せないのかしら?
まぁ、話せなくとも私には関係ありませんけれど...なんだか少し気になるわね。
一応、後で確認しましょう。
「そっそれでは、式を始めさせていただきます。
あの、新婦様には、介添人とご入場を...。」
「まぁ、私伝えておりませんでしたかしら?
お祖父様は、口答えをした私の顔を見たくないとかで、孫の結婚式だというのにこちらにいらしておりませんの。
ですから、入場は省いてくださいませ。
神父様、これは形式だけの式でして、私達は国王陛下も認めている白い結婚ですのよ?
このくらいで罰せられたりはいたしませんから、どうぞ早急に進めてくださいませ。」
*
新郎が新婦だけでなく愛人を連れている結婚式なんて、どこを探しても存在しないでしょうね。
飛び切りの醜聞ですわ。」
私の旦那様になるフェバリシス・アールオン・シルバスリエ伯爵子息は、少しふくよかな...タキシードがはち切れそうになる胴回りの、毛量薄めの茶髪に茶色い吊目のお世辞にも格好良いとは言えない容姿のお方ですわ。
因みに29歳ですので、私の4つ上ですわね。
容姿のみならず...卑屈な性格のこともあり、中々婚約も結婚も決まらず、焦れているところを野心ある平民に捕まってしまわれたのだろうとの噂がありますわね。
まだ報告がありませんから本当かどうかは分かりませんけれど、お父上であるシルバスリエ伯爵が気付いた時にはもう遅かったのだと申しておられましたわ。
だからと言って、大金を積んでお祖父様と国王陛下に行き遅れであると評判の私との結婚を要請されるなんて、私のことと元婚約者様のお家のことを愚弄しておられますわよね。
元婚約者様の所へ、突然の婚約解消の命令に関しての慰謝料などは支払われないそうですし、忠誠心なんてものがどこぞへと消え去ってしまっても仕方ありませんわ。
さて、今に集中すべきですわね。
私の旦那様になるフェバリシス様は、私とご自分との結婚式だと言うのに、平民の愛人をわざわざ着飾らせてバージンロードへと連れていらっしゃいましたの。
バージンロードを歩けるのは、新婦と新郎だけですのに...愛人が歩くなど想定外でしたわ。
息子可愛いお父上の要請で、きちんとその方の席も目立たないようにと端の方ですけれども、ご用意いたしておりますのよ?
こんな面倒な茶番なんて、さっさと終わらせてしまいたいのに面倒事を増やさないでいただけます?
「私は、このマリエンヌと永遠の愛を誓っているのだから、お前の存在があり得ないんだ!」
「まぁ、貴方は伯爵子息ですのよ?
その方は平民でしょう?
それも、最低限のマナーも習得出来ずに、養子入りを身内の男爵家からも断られたのでしょう?
貴方達が愛を誓うことは、国王陛下から許されておりませんわ。」
「何を?!」
「別に、貴方が愛人を囲われるのは構いませんのよ?
私と貴方の結婚は、王命による白い結婚ですもの。
ですが、白い結婚にも最低限のマナーがございますの。
結婚式を恙無く済ませれば、後は自由になさって結構ですわ。
後で、貴方のお父上と取り決めたことを、もう一度ご説明いたしますわね。
取り敢えず、メイさん?マリエンヌ?さんをお席にご案内してくださいませ。
早く結婚式を終わらせなければ、私の騎竜が暴れてしまうかもしれませんわ。
あの子、環境の変化に苛苛しておりますのよ。」
「リリスベル様、紅を失礼いたします。」
「あら、ありがとう。
それでは、神父様?
形式通りに結婚式を始めましょう。」
私の騎竜が暴れるかもって漏らしてみたら、一部の人達がギョッと目を見開かれましたわね。
仕方無いのよ...あの子、前の婚約者様のことを気に入っていたから、割り込んできたフェバリシス様を殺してやるって息巻いていたもの...。
だから、あの子は参加出来ないことにしたのよ。
一応はめでたい場なのですから、流血沙汰は勘弁していただきたいでしょう?
?そういえば、あの愛人の方、一言も話しませんでしたわね。
俯いてばかりで、もしかして話せないのかしら?
まぁ、話せなくとも私には関係ありませんけれど...なんだか少し気になるわね。
一応、後で確認しましょう。
「そっそれでは、式を始めさせていただきます。
あの、新婦様には、介添人とご入場を...。」
「まぁ、私伝えておりませんでしたかしら?
お祖父様は、口答えをした私の顔を見たくないとかで、孫の結婚式だというのにこちらにいらしておりませんの。
ですから、入場は省いてくださいませ。
神父様、これは形式だけの式でして、私達は国王陛下も認めている白い結婚ですのよ?
このくらいで罰せられたりはいたしませんから、どうぞ早急に進めてくださいませ。」
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