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「そ、そんな?!
私は、親として普通に息子の子を抱きたいと、そう思っているだけですわ!」
「普通に?
もう1人の息子が、勘違いにより、レフィーヌ嬢の普通を奪ったというのに?
レフィーヌ嬢が、普通の令嬢としての生活を送れぬようにしたのは誰なのか...忘れたとは言わぬよな?
何度も説明しているのだが、直ぐに忘れるのは何故なのだろうな?」
「あ......」
本当よね...自分のことばかり考えているからこその言葉なのでしょうけれど、醜態を晒しているだけよね。
自分の言葉を正当化しようとしてことごとく失敗しているのに、まだ諦めないなんて面白いわ。
「国王陛下、母が忘れていることがもう1つございます。
説明させていただいてもよろしいですか?」
「ん、グレイシオか...申してみよ。」
「はい、ありがとうございます。
母上、私がレフィーヌと離縁し、レフィーヌ以外と婚姻したとしても、私の子は生まれませんので孫は抱けませんよ。
私も、子を成せぬ体ですから。」
「グレイ様?」
「大丈夫だよ。
父上も母上も他家の皆様も体験なさっておられる筈です。
我々貴族として産まれた者は、幼少の頃より体を毒に慣らせるための訓練をいたしますよね?
ある程度のものは解毒薬や緩毒薬の投与、そして気力でなんとかなりますが、媚薬はなかなか大変で...一時的に子を成せぬようになる薬を服用した上で盛られるものですよね?
理由としては、
『侍女やメイドに手を出してしまうこともあり、子を残さないようにするためだ。』
と説明される筈です。
これは男性向けの説明ですが、私は女性向けの説明を知りませんので割愛させていただきます。
その訓練の際に、どこの家の間者による仕業なのかは未だに分かりませんが、私は生涯子を成せぬようになる薬を盛られたそうで...どうやら、私も子を成せぬ体となっているそうなのです。
このことに気付いたのは、その後に訓練で服用した媚薬に全く反応しなかったからです。
そして、父上が呼んだ5名の医師による診察にて、子を成せぬ体であると明確に診断されております。
王家への報告はいたしましたが、
『何者かに毒を盛られたなどと言う事実は、伯爵家の為にも暫くは伏せておくべきだと思いますわ。』
との母上たっての希望により、私の体のことは長らく公表してきませんでした。
ですが、愚弟の度重なる愚行により、幸いにも愛しく思っていたレフィーヌと婚姻することとなりました。
婚約の発表に合わせてこの体のことも公表することが出来、次代を期待する者達の声という心の重石が消え去りました。
母上にも、改めて説明しておりましたよね?」
「ぁ......そ、それは?!」
「レフィーヌ嬢も子を成せぬが、我々の息子も子を成せぬ体となっている。
レフィーヌ嬢を石女と呼び蔑み、傷付いたレフィーヌ嬢とグレイシオが離縁することとなったとして、どんなご令嬢が妻となってもグレイシオに子は成せぬ。
2人が望んだことでもなければ、2人の行動のせいでもなく、不本意ではあろうが...子を成せぬことは2人にとって普通のことだ。」
息子の体のことさえ忘れていたなんて...ね。
子を成せない者同士の婚姻ですから、弟から兄へと相手が変わるということで変に騒ぐだろう方々も、伯爵家の皆様も特に問題視されなかったのよ。
本来ならば、私は本当に役立たずの嫁なのですもの。
「どうしてそんなに責めるの?!
私は、自分の孫を抱きたいだけよ!」
「それならば、1つだけ方法があるが?」
「え、本当なの?!
私、孫を抱けるのならば何でもするわ!!」
「何でも??」
「えぇ、何でもよ!!」
あら、何でもするなんて...そんな簡単に言ってしまってもよろしいのかしら?
詳細をお聞きになられてからの方が良いと思いますわよ?
「それならば、私と離縁し、平民となれば良い。」
「え...?」
ほら、顔を青褪めさせる結果になりましたでしょう?
貴女の願いは″息子の子を抱きたい″なのだから、平民となったリカルドの子でも構わないでしょう?
貴族である今のままでは、罪人として平民へと落とされたリカルドに会いに行くことは出来ませんもの...会いに行くには離縁するしかありませんわ。
罪人である子に会いたくても会えないというのが、貴女に課せられた罰だったのですもの。
ですが、貴女が平民となられれば会うことは可能なのですし、これだけの皆様の前で何でもすると仰られたのですから、是非ともそうなさればよろしいと思いますわ。
*
私は、親として普通に息子の子を抱きたいと、そう思っているだけですわ!」
「普通に?
もう1人の息子が、勘違いにより、レフィーヌ嬢の普通を奪ったというのに?
レフィーヌ嬢が、普通の令嬢としての生活を送れぬようにしたのは誰なのか...忘れたとは言わぬよな?
何度も説明しているのだが、直ぐに忘れるのは何故なのだろうな?」
「あ......」
本当よね...自分のことばかり考えているからこその言葉なのでしょうけれど、醜態を晒しているだけよね。
自分の言葉を正当化しようとしてことごとく失敗しているのに、まだ諦めないなんて面白いわ。
「国王陛下、母が忘れていることがもう1つございます。
説明させていただいてもよろしいですか?」
「ん、グレイシオか...申してみよ。」
「はい、ありがとうございます。
母上、私がレフィーヌと離縁し、レフィーヌ以外と婚姻したとしても、私の子は生まれませんので孫は抱けませんよ。
私も、子を成せぬ体ですから。」
「グレイ様?」
「大丈夫だよ。
父上も母上も他家の皆様も体験なさっておられる筈です。
我々貴族として産まれた者は、幼少の頃より体を毒に慣らせるための訓練をいたしますよね?
ある程度のものは解毒薬や緩毒薬の投与、そして気力でなんとかなりますが、媚薬はなかなか大変で...一時的に子を成せぬようになる薬を服用した上で盛られるものですよね?
理由としては、
『侍女やメイドに手を出してしまうこともあり、子を残さないようにするためだ。』
と説明される筈です。
これは男性向けの説明ですが、私は女性向けの説明を知りませんので割愛させていただきます。
その訓練の際に、どこの家の間者による仕業なのかは未だに分かりませんが、私は生涯子を成せぬようになる薬を盛られたそうで...どうやら、私も子を成せぬ体となっているそうなのです。
このことに気付いたのは、その後に訓練で服用した媚薬に全く反応しなかったからです。
そして、父上が呼んだ5名の医師による診察にて、子を成せぬ体であると明確に診断されております。
王家への報告はいたしましたが、
『何者かに毒を盛られたなどと言う事実は、伯爵家の為にも暫くは伏せておくべきだと思いますわ。』
との母上たっての希望により、私の体のことは長らく公表してきませんでした。
ですが、愚弟の度重なる愚行により、幸いにも愛しく思っていたレフィーヌと婚姻することとなりました。
婚約の発表に合わせてこの体のことも公表することが出来、次代を期待する者達の声という心の重石が消え去りました。
母上にも、改めて説明しておりましたよね?」
「ぁ......そ、それは?!」
「レフィーヌ嬢も子を成せぬが、我々の息子も子を成せぬ体となっている。
レフィーヌ嬢を石女と呼び蔑み、傷付いたレフィーヌ嬢とグレイシオが離縁することとなったとして、どんなご令嬢が妻となってもグレイシオに子は成せぬ。
2人が望んだことでもなければ、2人の行動のせいでもなく、不本意ではあろうが...子を成せぬことは2人にとって普通のことだ。」
息子の体のことさえ忘れていたなんて...ね。
子を成せない者同士の婚姻ですから、弟から兄へと相手が変わるということで変に騒ぐだろう方々も、伯爵家の皆様も特に問題視されなかったのよ。
本来ならば、私は本当に役立たずの嫁なのですもの。
「どうしてそんなに責めるの?!
私は、自分の孫を抱きたいだけよ!」
「それならば、1つだけ方法があるが?」
「え、本当なの?!
私、孫を抱けるのならば何でもするわ!!」
「何でも??」
「えぇ、何でもよ!!」
あら、何でもするなんて...そんな簡単に言ってしまってもよろしいのかしら?
詳細をお聞きになられてからの方が良いと思いますわよ?
「それならば、私と離縁し、平民となれば良い。」
「え...?」
ほら、顔を青褪めさせる結果になりましたでしょう?
貴女の願いは″息子の子を抱きたい″なのだから、平民となったリカルドの子でも構わないでしょう?
貴族である今のままでは、罪人として平民へと落とされたリカルドに会いに行くことは出来ませんもの...会いに行くには離縁するしかありませんわ。
罪人である子に会いたくても会えないというのが、貴女に課せられた罰だったのですもの。
ですが、貴女が平民となられれば会うことは可能なのですし、これだけの皆様の前で何でもすると仰られたのですから、是非ともそうなさればよろしいと思いますわ。
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