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本編
3 : じぃやside
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お嬢様のお部屋に、ご長男の息子であるジーク様とご次男の息子であるルーク様が、手を握り合い怯えながら入ってまいりました。
半年違いの同じ歳であるお2人ですが、先に2歳になった筈のジーク様よりも、もう直ぐ2歳になられるルーク様の方が諸々しっかりとしておられます。
身体能力的にも、精神的にも、ルーク様の方が年上に見えてしまうのですよね...。
実の息子にさえも怯えられている若様方は、皆様力加減の出来ない方々でして...普通に抱っこをすることが出来ないのです。
あぁ、実に嘆かわしい...そんな育て方をしてはおりませんのに、どうしてあんな風に育ってしまわれたのかが分かりません。
父親に触れられると痛い思いをするのだと幼い心に刷り込まれてしまわれておりますので、いつも、優しくしてくれるお嬢様の側までお2人で必死に逃げて来られるのです。
中には入れないようにしておりますが、扉をドンドンと叩く音も、轟くように発せられる父親の声も、幼いお2人にはとても怖いのでしょう。
早急に排除しなければなりませんね。
「アンナ、お願い出来ますか?」
「はーい。」
お嬢様、流石です。
不安そうにお嬢様のお腹にギュッとくっついてきたルーク様と、お嬢様の背中におでこを擦り付けて泣いていたジーク様を、簡単に宥めてしまわれました。
ただ、可愛らしい熊のぬいぐるみを嬉しそうに頬を染めて抱くジーク様はまだ良いのですが、かなり写実的に作られた百足とも呼ばれるセンチピードのぬいぐるみを、興奮した様子で抱くルーク様は、なんだか複雑です。
これ程までに本物そっくりなセンチピードのぬいぐるみを、ラーラが高い棚に置きたくなる気持ち、分かります。
さて、本日は、どれ程粘られるのでしょうか?
未だに大奥様に許されていないのですから、こちらへと来ても子供達には会えないと分かっている筈なのですが...先週は、お昼頃から夕食前まで粘られました。
もう直ぐお昼なので、私が厨房からお部屋へと運んだ方が良いかもしれません。
さっさと諦めないですかねー、あのガキ共。
それにしても、旦那様もお嬢様も、何故、ジーク様の言葉をそんなにも容易く聞き取れるのでしょう?
お世話をしております私共といたしましては、是非とも欲しい...実に羨ましい能力です。
ルーク様、センチピードは、確実に気持ちの悪い部類です。
人類共通の恐怖の対象ですから、可愛いはあり得ません。
え、そのぬいぐるみが可愛らしい...?
かなり写実的な作りなのですが??
ん?......あぁ、センチピードを抱いて頬ずりしているルーク様が可愛らしいのですね?
このじぃやも納得いたしました。
あまり評判の良くない写実的なセンチピードを、不服そうにしながらも大事そうに抱きしめるルーク様。
人を潰せる程に大きいと聞いた途端に瞳を輝かせて、興奮した様子でセンチピードのぬいぐるみをきつくきつく抱き締めるルーク様。
あぁ、柔らかい毛足の長い絨毯が敷かれているとは言え、床に叩き付けたらセンチピードも痛いですよ?
まぁ、それぬいぐるみですけど。
クッ!可愛らしい...。
ずっと、こうして、皆様の成長を見ていたいものです。
さて...本邸のバカ息子共は帰りましたかねぇ?
本当にいらないんですけど...まだ廃嫡しないのでしょうか?
そうですねぇ......廃嫡となると面倒が増えますから、旦那様も悩んでおられるのでしょうか?
あ、いっそのこと、こちらを本邸にするというのはどうでしょう?
大奥様も奥様も若奥様方も、こちらにおられますし...ね?旦那様?
*
半年違いの同じ歳であるお2人ですが、先に2歳になった筈のジーク様よりも、もう直ぐ2歳になられるルーク様の方が諸々しっかりとしておられます。
身体能力的にも、精神的にも、ルーク様の方が年上に見えてしまうのですよね...。
実の息子にさえも怯えられている若様方は、皆様力加減の出来ない方々でして...普通に抱っこをすることが出来ないのです。
あぁ、実に嘆かわしい...そんな育て方をしてはおりませんのに、どうしてあんな風に育ってしまわれたのかが分かりません。
父親に触れられると痛い思いをするのだと幼い心に刷り込まれてしまわれておりますので、いつも、優しくしてくれるお嬢様の側までお2人で必死に逃げて来られるのです。
中には入れないようにしておりますが、扉をドンドンと叩く音も、轟くように発せられる父親の声も、幼いお2人にはとても怖いのでしょう。
早急に排除しなければなりませんね。
「アンナ、お願い出来ますか?」
「はーい。」
お嬢様、流石です。
不安そうにお嬢様のお腹にギュッとくっついてきたルーク様と、お嬢様の背中におでこを擦り付けて泣いていたジーク様を、簡単に宥めてしまわれました。
ただ、可愛らしい熊のぬいぐるみを嬉しそうに頬を染めて抱くジーク様はまだ良いのですが、かなり写実的に作られた百足とも呼ばれるセンチピードのぬいぐるみを、興奮した様子で抱くルーク様は、なんだか複雑です。
これ程までに本物そっくりなセンチピードのぬいぐるみを、ラーラが高い棚に置きたくなる気持ち、分かります。
さて、本日は、どれ程粘られるのでしょうか?
未だに大奥様に許されていないのですから、こちらへと来ても子供達には会えないと分かっている筈なのですが...先週は、お昼頃から夕食前まで粘られました。
もう直ぐお昼なので、私が厨房からお部屋へと運んだ方が良いかもしれません。
さっさと諦めないですかねー、あのガキ共。
それにしても、旦那様もお嬢様も、何故、ジーク様の言葉をそんなにも容易く聞き取れるのでしょう?
お世話をしております私共といたしましては、是非とも欲しい...実に羨ましい能力です。
ルーク様、センチピードは、確実に気持ちの悪い部類です。
人類共通の恐怖の対象ですから、可愛いはあり得ません。
え、そのぬいぐるみが可愛らしい...?
かなり写実的な作りなのですが??
ん?......あぁ、センチピードを抱いて頬ずりしているルーク様が可愛らしいのですね?
このじぃやも納得いたしました。
あまり評判の良くない写実的なセンチピードを、不服そうにしながらも大事そうに抱きしめるルーク様。
人を潰せる程に大きいと聞いた途端に瞳を輝かせて、興奮した様子でセンチピードのぬいぐるみをきつくきつく抱き締めるルーク様。
あぁ、柔らかい毛足の長い絨毯が敷かれているとは言え、床に叩き付けたらセンチピードも痛いですよ?
まぁ、それぬいぐるみですけど。
クッ!可愛らしい...。
ずっと、こうして、皆様の成長を見ていたいものです。
さて...本邸のバカ息子共は帰りましたかねぇ?
本当にいらないんですけど...まだ廃嫡しないのでしょうか?
そうですねぇ......廃嫡となると面倒が増えますから、旦那様も悩んでおられるのでしょうか?
あ、いっそのこと、こちらを本邸にするというのはどうでしょう?
大奥様も奥様も若奥様方も、こちらにおられますし...ね?旦那様?
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