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聖国の巫女家は女系です。
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「あら、もう処理を終えてしまったの?」
「アマーリア様、こんばんは。
これの処理は終えておりますが、これの処理はこれからでございます。」
「そう、私はここから見ているから、適切に処理なさいね。」
「はい、かしこまりました。」
あっちゃー...ちょびっとお話しながらおっさんの処理をしてたら、アマーリア様が来ちゃったじゃん!
うぅ、アマーリア様が来られる前に2人とも終えてたかった...残念。
「はい、貴女もこれ飲んで?」
「嫌よ!そんな気味の悪いもの!」
アハハ、たしかに...黒に近いくらい濃い紫色の水薬と黄緑色の丸薬って不気味だよねー。
でも、これがご先祖様が長年研究して開発なされた秘伝のお薬なんだから仕方ないじゃん?
「貴女は、これを飲むしかないの。
それとも、無理矢理ごっくんさせられたいの?
口を強引に開かせて大量の水でもって無理矢理に飲まされるのって、結構苦しいと思うけど......やってみる?」
「はぁ?!そんなことをして許されるわけないでしょぉ?
あなた、頭が悪いんじゃ無いのぉ?!」
「いや、罪人に言われてもねぇ?」
「私はぁ、罪人じゃありませぇん!」
「え?犯罪奴隷の烙印を押されてるのに?」
バッサリと切られた前髪から見える額に、魔道具によって押された焼印が入ってるよね?
その焼印って、聖国でも使われている罪人にしか押されないものでしょ?
裁判にて罪人と判断されたから、見えるように前髪をバッサリ切ってから額に押されたんだよ?
今後も、前髪が伸びる度にバッサリと切られるんだろうね。
「何かのぉ、間違いなのよぉ!」
「あらあら、聞いてはいたけれど本当に頭の悪そうな喋り方をなさるのね。
あ、つい本音が漏れてしまったわ!
邪魔をしてしまってごめんなさいね?」
「いえ、私もそう思っていました。」
「何言ってるのよぉ!
これはぁ、とっても魅力的な喋り方でしょぉ?
お母さんもぉ、お父さんもぉ、そぉ言っていたものぉ!」
「あら、そうなの?
貴女のお父さんもお母さんも、その喋り方を魅力的だと思っているのね...不思議だわ。
その喋り方って、下級娼婦がよくやる喋り方らしいわよ?」
「え?」
「そうなのですか?」
「えぇ、そう言っていたわよ。
下級娼婦のお相手は平民の男性が多いでしょう?
平民の男性の多くが、その頭の悪そうな喋り方がお好きなのですって。」
「あー、そういうことでしたか。
この女の母親は下級娼婦以下の存在だったそうですから、下級娼婦の喋り方を魅力的だと勘違いしたんですね。」
「そうなのかもしれないわね。」
「え、えぇ?!」
へぇー、そうなんだぁ...まぁ、そんな事情を知ったところでどこで活用しようもないけど。
盛大に驚いているところ悪いんだけど、さっさとお薬飲んでくれません?
「はい、大人しく飲んでね?
あの人を見てたから分かると思うけど、痛いとか苦しいとかは無いから。」
「じゃあ、飲まなくってもいいじゃないのぉ?」
「いや、無理矢理にでも飲んでもらうよ。」
「この国の方々にもきちんとお話ししたのだけれど、皆の安全の為にも貴女もきちんと処理をしないといけないのよ。
貴女はもう聖国にも巫女家にも入ることはないですけれど、他所で暴発されても困るのよね...誰も助けられないのだもの。」
「なんのことぉ?」
「あら、実際に見ても分からないの?
その髪と目、私と同じでしょ?」
「そぉねぇー?」
「この色はね?巫女家にのみ現れる色なのよ。」
「じゃあ、私も巫女家なのぉ?」
「いいえ、貴女の父親は巫女家から罪人として追放されているわ。
勿論、追放される前に処理もされているのだけれど...この男が、息子可愛さにお薬の量を勝手に減らしたのでしょうね。
本当に、無意味なことをしてくれたわ。
罪人として巫女家を追放された者の子供に巫女家の色が現れたとしても、適切に処理されるだけなのに...ね?」
アマーリア様のゆっくりとした丁寧な説明に、背筋が冷える。
めっちゃ怒ってるー!
お顔は優しげに微笑んでいて、柔らかい声で話しているのに、目だけが冷たい。
その目を向けられているのはあちらさん達なのに、トリハダ立っちゃった。
*
「アマーリア様、こんばんは。
これの処理は終えておりますが、これの処理はこれからでございます。」
「そう、私はここから見ているから、適切に処理なさいね。」
「はい、かしこまりました。」
あっちゃー...ちょびっとお話しながらおっさんの処理をしてたら、アマーリア様が来ちゃったじゃん!
うぅ、アマーリア様が来られる前に2人とも終えてたかった...残念。
「はい、貴女もこれ飲んで?」
「嫌よ!そんな気味の悪いもの!」
アハハ、たしかに...黒に近いくらい濃い紫色の水薬と黄緑色の丸薬って不気味だよねー。
でも、これがご先祖様が長年研究して開発なされた秘伝のお薬なんだから仕方ないじゃん?
「貴女は、これを飲むしかないの。
それとも、無理矢理ごっくんさせられたいの?
口を強引に開かせて大量の水でもって無理矢理に飲まされるのって、結構苦しいと思うけど......やってみる?」
「はぁ?!そんなことをして許されるわけないでしょぉ?
あなた、頭が悪いんじゃ無いのぉ?!」
「いや、罪人に言われてもねぇ?」
「私はぁ、罪人じゃありませぇん!」
「え?犯罪奴隷の烙印を押されてるのに?」
バッサリと切られた前髪から見える額に、魔道具によって押された焼印が入ってるよね?
その焼印って、聖国でも使われている罪人にしか押されないものでしょ?
裁判にて罪人と判断されたから、見えるように前髪をバッサリ切ってから額に押されたんだよ?
今後も、前髪が伸びる度にバッサリと切られるんだろうね。
「何かのぉ、間違いなのよぉ!」
「あらあら、聞いてはいたけれど本当に頭の悪そうな喋り方をなさるのね。
あ、つい本音が漏れてしまったわ!
邪魔をしてしまってごめんなさいね?」
「いえ、私もそう思っていました。」
「何言ってるのよぉ!
これはぁ、とっても魅力的な喋り方でしょぉ?
お母さんもぉ、お父さんもぉ、そぉ言っていたものぉ!」
「あら、そうなの?
貴女のお父さんもお母さんも、その喋り方を魅力的だと思っているのね...不思議だわ。
その喋り方って、下級娼婦がよくやる喋り方らしいわよ?」
「え?」
「そうなのですか?」
「えぇ、そう言っていたわよ。
下級娼婦のお相手は平民の男性が多いでしょう?
平民の男性の多くが、その頭の悪そうな喋り方がお好きなのですって。」
「あー、そういうことでしたか。
この女の母親は下級娼婦以下の存在だったそうですから、下級娼婦の喋り方を魅力的だと勘違いしたんですね。」
「そうなのかもしれないわね。」
「え、えぇ?!」
へぇー、そうなんだぁ...まぁ、そんな事情を知ったところでどこで活用しようもないけど。
盛大に驚いているところ悪いんだけど、さっさとお薬飲んでくれません?
「はい、大人しく飲んでね?
あの人を見てたから分かると思うけど、痛いとか苦しいとかは無いから。」
「じゃあ、飲まなくってもいいじゃないのぉ?」
「いや、無理矢理にでも飲んでもらうよ。」
「この国の方々にもきちんとお話ししたのだけれど、皆の安全の為にも貴女もきちんと処理をしないといけないのよ。
貴女はもう聖国にも巫女家にも入ることはないですけれど、他所で暴発されても困るのよね...誰も助けられないのだもの。」
「なんのことぉ?」
「あら、実際に見ても分からないの?
その髪と目、私と同じでしょ?」
「そぉねぇー?」
「この色はね?巫女家にのみ現れる色なのよ。」
「じゃあ、私も巫女家なのぉ?」
「いいえ、貴女の父親は巫女家から罪人として追放されているわ。
勿論、追放される前に処理もされているのだけれど...この男が、息子可愛さにお薬の量を勝手に減らしたのでしょうね。
本当に、無意味なことをしてくれたわ。
罪人として巫女家を追放された者の子供に巫女家の色が現れたとしても、適切に処理されるだけなのに...ね?」
アマーリア様のゆっくりとした丁寧な説明に、背筋が冷える。
めっちゃ怒ってるー!
お顔は優しげに微笑んでいて、柔らかい声で話しているのに、目だけが冷たい。
その目を向けられているのはあちらさん達なのに、トリハダ立っちゃった。
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