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お兄様の結婚式

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便乗してトトトッと近付いてきたスリゼルの首根っこを掴んで、ホホホと優雅に笑いながら嗜めるルーさんに、シェリーお姉様もミーリスさんも見とれておりますわね。
初対面は大成功のようですわ!
今日ルーさんが着用している服は、我が家のパティシエ達と同じパティシエ用の制服ですけれど、ルーさんの美貌を損なっておりませんのよ?
お祖父様とお兄様の共同デザインですもの...着る人によって、可愛くも格好良くもなりますの。
流石ですわ!

「後片付けなどで遅くなってしまって、ごめんなさいね。
お菓子はお口に合いましたかしら?」

「えぇ!とっても美しくて、食べるのが勿体無いくらいで...。
まぁ、食べたんですけれど、中のクリームはすっきりと甘くて、生地はホワホワで、とても美味でしたわ!!
このスワンシュークリームって、貴女が作られたお菓子なのですか?」

「えぇ、私が作りましたわ。
故郷では、シェフと兼任で菓子職人をしておりましたのよ?
そのお菓子を食べてほしい人がいるからと友人に頼まれて披露した時に、リリス奥様と旦那様と引き合わせていただきましたの。」

シェリーお姉様の輝く笑顔を見ると...本当に美味しかったのだなと感じますわね。
ルーさんも嬉しそうで、やっぱりお茶会に参加していただいて良かったですわ!

「ルーさんは、私やお兄様と同じで、前世の記憶を持っておられますのよ?」

「まぁ、ティリー達のお仲間がいたのね。
もしかして、スワンシュークリームは前世の記憶で作られたの?」

「はい、前世では、パティシエという今世でいうところの菓子職人をしておりましたの。
そこの丸くて平たいマカロンも、前世の菓子ですわ。」

「まぁ、この可愛らしいのはまかろんといいますの?
色がとても綺麗で...私、このように美しいお菓子達が存在する世界を、是非とも体験してみたいですわ。」

夢見るように蕩けるお顔をされるシェリーお姉様がとても可愛らしいので、提案してみましょうかしら?

「それなら、シェリーお姉様の結婚式で、ルーさんの作るお菓子を提供いたしませんか?」

「本当に?!良いの?」

「えぇ、ルーさんの作る前世のお菓子は、とても珍しいお菓子ばかりですもの...きっと、話題になりますわ!」

「えぇ、皆様のお役に立てるのなら、私も張り切って作製いたしますわ!!
どのようなお菓子にいたしましょう...!!」

「お美しい方だと感じていたのだけれど、お菓子の話しをしているときは、子供のようにキラキラとしていて可愛らしいわね。」

「そうでしょう?
ですが、移住が認められたら直ぐ帝国に行かれますの。
寂しくなりますわ。」

「我が国でも、肩身の狭い想いをいたしますものね。
...公爵領を帝国に併合すれば、良いのではない?」

「...今、協議中ですわ。
もしも今、公爵領が帝国に併合されていれば、シェリーお姉様が嫁ぐのは難しくなりますから、結婚後でなければなりませんもの。」

「あ、そこを忘れていたわ...。」

シェリーお姉様ったら、大事なことですわよ?
シェリーお姉様と結婚出来ないとなるとお兄様が悲しみますから、お祖父様ものんびり協議なさっておられますのよね。





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