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7 : 王家との話し合い...どうなるのかしら?
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───コンコンッコンッ───
「お嬢様方?王城に着きましたよ。」
───ガチャッ───
「あ、降りるのは僕が先ね。
はい、ルー姉もティリーも、僕の頭を支えにして降りても良いよ?」
「あら、スーちゃん、ありがとう。」
「じぃや、ありがとう。」
「ユーティリカ様、我々がご案内いたします。」
無表情の警護兵が2人、扉の前で待っておりますわね。
この感じですと...多分ですけれど、お祖父様達と私を引き離すのが目的なのよね?
王家からの召集で話し合いに来ましたのに、案内が分かれるなんてあり得ませんわ。
あわよくば、王家の誰かと私の婚約?...いいえ、この場合は既成事実でも狙ってらっしゃるのかしら?
ハァー......浅ましいわね。
「いいえ、結構よ。
行き先はお祖父様達と同じなのですもの。
皆様、参りましょう。」
「「はい。」」
「あら、私も一緒でよろしいのかしら?」
「私達は、もう家族ですもの構いませんわ。」
「では、私はユークリスさんのお手をお借りしてもよろしいかしら?」
「えぇ、この爺でよろしければ、どうぞ。」
スリゼルもじぃやも、話し合いの場に行く気満々ですけれど、ルーさんは少し気後れしているのかしら?大丈夫ですわ。
“ご家族で来てほしい”という召集でしたもの、我が家で働く皆が私達の家族ですわ!
それに、離されてしまうと何か仕出かされそうで不安なのですもの...一緒に参りましょうね。
今日、私とルーさんは、既製のものにお針子さんが手を入れてくださったお揃いのワンピースを着ておりますの。
袖がパフスリーブになったブラウス風のワンピースは、ブラウンの柔らかい生地に丸襟とボタンが着いたデザインになっていて、足首までのスカートの裾には、可愛らしい小振りのレースがあしらわれておりますのよ。
丸襟とボタンとフリルの色は、私がクリーム色で、ルーさんがペールピンクですの。
王城に参るからといっても、慰謝料などの話し合いですから殆どずっと椅子に座っていることになりますのよね。
立っているのならばなんとかなりますけれど、それなりの時間座っていることが分かっているのに、堅苦しいコルセットの必要なドレスなんて着てられませんわ!
「少し、遅くなりましたわね。」
「構わないよ、行こうか。」
「そっそれでは、ご案内いたします。」
この案内人、もしかして新人の文官さんなのかしら?
緊張し過ぎではありませんこと?
なんだか嫌な予感がいたしますわね...私の杞憂ならばよろしいのですけれど。
「陛下からの召集状には、どこで話し合いが行われると書いてあったかな?」
「緑の応接室ですわ。」
「ふむ...皆、止まりなさい。
緑の応接室はこちらではなく、先程曲がった通路を真っ直ぐ行かなければ辿り着けぬ。
君の案内は、もう結構だ。」
「あら、やっぱりそうなりますのね。」
「このまま案内されたとして、その部屋にいるのは王族の誰なのかな?
ティリーを嵌めようとしていたんだろうけど、ここにはお祖父様もいるのに...お粗末だね。」
お兄様.....なんで、そんなに嬉しそうなのかしら?
ニコニコと少ーしずつ文官さん?に近付くのはお止めなさいな?
全身がガクガクと震えておられるし、お顔も真っ青にして怯えているじゃないの。
「スリゼル...なんでその縛り方を知っているの?」
「グレイシオが、
『敵を捕縛するならこれだろ!』
って言って、昔教えてくれましたけど?」
「あれ、そうだったっけ?」
「......お兄様??後で膝と膝とを付き合わせてお話ししましょうね?」
「ティッ、ティリー?!」
「言い訳は、後でお聞きいたしますわ。」
「駄目だったの?」
「その縛り方がちょっと...前世でも殆ど使われない縛り方なのよ。
でも、ちゃんと怪我をさせずに無力化してから縛っているのだから、きっと大丈夫よ。」
怯えていた案内の人を、人化したスリゼルが縛っておりましたわ。
しれっと獣化して戻ってきたのですけれど、スリゼル、貴方って本当にお兄様に毒されているのね。
亀甲縛りだなんて、いつの間に修得していたの?
ほら、ルーさんまで呆れているでしょう?
お兄様?...逃がしませんわよ!
*
「お嬢様方?王城に着きましたよ。」
───ガチャッ───
「あ、降りるのは僕が先ね。
はい、ルー姉もティリーも、僕の頭を支えにして降りても良いよ?」
「あら、スーちゃん、ありがとう。」
「じぃや、ありがとう。」
「ユーティリカ様、我々がご案内いたします。」
無表情の警護兵が2人、扉の前で待っておりますわね。
この感じですと...多分ですけれど、お祖父様達と私を引き離すのが目的なのよね?
王家からの召集で話し合いに来ましたのに、案内が分かれるなんてあり得ませんわ。
あわよくば、王家の誰かと私の婚約?...いいえ、この場合は既成事実でも狙ってらっしゃるのかしら?
ハァー......浅ましいわね。
「いいえ、結構よ。
行き先はお祖父様達と同じなのですもの。
皆様、参りましょう。」
「「はい。」」
「あら、私も一緒でよろしいのかしら?」
「私達は、もう家族ですもの構いませんわ。」
「では、私はユークリスさんのお手をお借りしてもよろしいかしら?」
「えぇ、この爺でよろしければ、どうぞ。」
スリゼルもじぃやも、話し合いの場に行く気満々ですけれど、ルーさんは少し気後れしているのかしら?大丈夫ですわ。
“ご家族で来てほしい”という召集でしたもの、我が家で働く皆が私達の家族ですわ!
それに、離されてしまうと何か仕出かされそうで不安なのですもの...一緒に参りましょうね。
今日、私とルーさんは、既製のものにお針子さんが手を入れてくださったお揃いのワンピースを着ておりますの。
袖がパフスリーブになったブラウス風のワンピースは、ブラウンの柔らかい生地に丸襟とボタンが着いたデザインになっていて、足首までのスカートの裾には、可愛らしい小振りのレースがあしらわれておりますのよ。
丸襟とボタンとフリルの色は、私がクリーム色で、ルーさんがペールピンクですの。
王城に参るからといっても、慰謝料などの話し合いですから殆どずっと椅子に座っていることになりますのよね。
立っているのならばなんとかなりますけれど、それなりの時間座っていることが分かっているのに、堅苦しいコルセットの必要なドレスなんて着てられませんわ!
「少し、遅くなりましたわね。」
「構わないよ、行こうか。」
「そっそれでは、ご案内いたします。」
この案内人、もしかして新人の文官さんなのかしら?
緊張し過ぎではありませんこと?
なんだか嫌な予感がいたしますわね...私の杞憂ならばよろしいのですけれど。
「陛下からの召集状には、どこで話し合いが行われると書いてあったかな?」
「緑の応接室ですわ。」
「ふむ...皆、止まりなさい。
緑の応接室はこちらではなく、先程曲がった通路を真っ直ぐ行かなければ辿り着けぬ。
君の案内は、もう結構だ。」
「あら、やっぱりそうなりますのね。」
「このまま案内されたとして、その部屋にいるのは王族の誰なのかな?
ティリーを嵌めようとしていたんだろうけど、ここにはお祖父様もいるのに...お粗末だね。」
お兄様.....なんで、そんなに嬉しそうなのかしら?
ニコニコと少ーしずつ文官さん?に近付くのはお止めなさいな?
全身がガクガクと震えておられるし、お顔も真っ青にして怯えているじゃないの。
「スリゼル...なんでその縛り方を知っているの?」
「グレイシオが、
『敵を捕縛するならこれだろ!』
って言って、昔教えてくれましたけど?」
「あれ、そうだったっけ?」
「......お兄様??後で膝と膝とを付き合わせてお話ししましょうね?」
「ティッ、ティリー?!」
「言い訳は、後でお聞きいたしますわ。」
「駄目だったの?」
「その縛り方がちょっと...前世でも殆ど使われない縛り方なのよ。
でも、ちゃんと怪我をさせずに無力化してから縛っているのだから、きっと大丈夫よ。」
怯えていた案内の人を、人化したスリゼルが縛っておりましたわ。
しれっと獣化して戻ってきたのですけれど、スリゼル、貴方って本当にお兄様に毒されているのね。
亀甲縛りだなんて、いつの間に修得していたの?
ほら、ルーさんまで呆れているでしょう?
お兄様?...逃がしませんわよ!
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