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6 : 裁判を終えて...待ち人の元へ参りましょう。

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「では、このシャツとベストをお針子さんにお願いたしましょう。」

「私がお届けいたします。」

「うん!お針子さんは、僕が採寸したお部屋にいるから...ユークリスさん、お願いします。」

じぃやがスマートに礼をして、音も無く部屋から出ていくのをニコニコと見送ったスリゼルが、私の膝にアゴを載せてなにやらアピールしてきます。
チラッ?とこちらを見て、またポフッとアゴを膝に載せて...これは、撫でて欲しいのかしら?
いいの?私、撫でくりまわしますわよ?

「僕、採寸頑張ったから、ご褒美は無いの?」

「マリー、今日の甘味は何かしら?」

「お嬢様、スリゼル坊ちゃま、本日の甘味はこちらになります。
旦那様があちらから連れ帰ってこられました、菓子職人の作られたケーキでございます。」

「まぁ、美しいですわ!」

「鳥さん、可愛いね。」

これは...!ケーキではなく、スワンシュークリーム...え、嘘でしょう?
マリーがテーブルに置いてくれた、白鳥を模したシュークリームは、今世には存在しないお菓子です。
まさか!お祖父様が連れてこられた菓子職人とは、私達と同じ転生者なのでしょうか?
後で、本人に会わせていただいて確かめないといけませんわね。
スリゼルは、甘いものが大好きですもの。
一番のご褒美は甘味ですわよね。
キラキラとした目で、尻尾もブンブンと勢いよく振られておりますわ。
でも、獣化していると食べにくくないのかしら?

「スリゼル、この甘味は人化した方が食べやすいのではなくて?」

「ん?そうかな?じゃあ、ちょっと人化するね!」

トトトッとソファの後ろに回って、人化したスリゼルがソファに戻ってきました。
呪文とかが必要無いから、そこは便利よねぇ。

「ティリー、この鳥って何の種類だと思う?」

「...この世界にはいないかもしれないわ。」

「ティリー達と同じなの?」

「えぇ、そうかもしれないの。
後で本人に会えたら聞いてみるわ。」

「僕も一緒に行っても良いかな?」

「多分お兄様も来るでしょうから、構わないと思うわよ。
貴方もお祖父様も私達のことを知っているし、もしも菓子職人の方が私達と同郷の方だったとしても、頭の可笑しい人だとか思わないでしょう?」

「うん、むしろ、美味しい甘味について語り合いたい...。
他にも知ってるだろうし...ね?」

「前世の記憶を持っているって、結構気味悪がられるのよねぇ。
私もお兄様も、理解のある家族に出会えて幸せだわ。」

お皿を持ってしげしげと見つめているスリゼルは、幼い子供のようにキラキラと輝く目をしていて、モチーフの鳥について考えていたみたい。
白鳥はこの世界に存在しないのよね...思い当たる鳥さんもいないですし、ここは正直に話しておきましょう。
ワクワクした好奇心満々の顔には、新しい甘味への好奇心しか見当たらないのですけれど、こんなところも可愛いわよね。
お兄様は当然として、お祖父様も来るのかもしれないわね

「あれ?何を食べているの?」

「お兄様、お祖父様とのお話しは終わりましたの?」

「あぁ、軽い擦り合わせは終わったよ。
私は、長らくここを離れていたからね、グレイシオに色々と聞いてから王家と対面しないとね。」

「お祖父様、お手数おかけいたします。」

「?ティリーのためなのだから、当然のことだろう?
グレイのことも、ティリーのことも、勿論、スーのことも、私の大事な子供達だと思っているのだから...ね?」





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