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3 : 武術や魔術の訓練がイジメですの?
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ノーベン様の兄君って、1つに纏めた深緑の髪に薄い緑の垂れ目という見た目通りの普段は穏和なお方ですけれど......1度沸点を越えてしまわれると、お兄様と似たような怒り方をされますのよねぇ。
この場にはルージュ様のみで娘さん方はおりませんし、止められなさそうですわね。
ノーベン様?ご愁傷様ですわ。
「ヌーシュ先生の事情は分かりました。
処罰は、後程元老院を招集して決めましょう。
それで、アミフェン先生は第2王子殿下にどう命じられたのですか??」
「俺は命じてなどいない!!」
「..........先程申しました通り、授業中に起きてしまった不運な事故として処理せよ...と。」
「授業中に起きた不運な事故として...ですか?
学園の教師には、学園で起きた事件・事故に関して、当事者間で解決していようとも全て報告する義務があります。
何故、私に報告が無かったのでしょう?」
「......この事が公になれば、教師ではいられなくなるぞと言われました。
授業中の事でしたから、自分達教師に責任があることは明白です。
教師になったときに、その覚悟を決めてこの学園に参りました。
...ですが、昨年より母が病を得まして......治療するにはお金がかかります。
父は一昨年亡くなりましたし、嫁いだ妹は先月子供を産んだばかりです。
自分が教師でいられなくなったならば、母は...!」
「お母様のご病気は確か、凍魔病...でしたね?」
「はい。
本来なら、母の魔力は凍魔病になる筈のない微々たるものです。
それなのに凍魔病になってしまったのは、何故なのか...まるで分かりませんし、有効な治療法も見つかっていないと聞いています。
今は進行を遅らせることしか出来ず、今、教師を辞めるわけにはいかなかったんです。
ユーティリカ様...申し訳ございません。」
やっぱり脅していたのね...?
やってることが本っ当ーに悪辣ですわね。
看病の為に学園を休まれることが増えるから...と、極々プライベートなことにも関わらず、丁寧に私達生徒にご説明してくださいましたのに...。
このような所業をなさるなんて......人の上に立つ王族とは思え無いほどに酷い人ですこと。
魔力の高い人がなる病気だと言われる凍魔病は、もしも一欠片でも魔力を使ってしまうと、突然雪深い外に放り出されてしまったように、一気に身体が冷えて動けなくなってしまうものです。
1日や1週間などの少しの間ならば大丈夫ですけれど、その状態がずっと続くとなると...冷えた身体を絶えず温めなていなければなりません。
人間は普段、無意識に魔力を動かしていますから、最悪命に関わる病気なのです。
魔力というものは、保有量がどんなに微量でも、それこそ血のように巡っているのです。
そんな凍魔病を治療する為には、まず、無意識に巡らせている魔力を強制的に止めなければなりません。
まず、魔力操作に秀でた者が外部から患者の魔力に干渉して、その流れをなんとか止めます。
そして、入手の難しい幾つかの薬草を用いて、高位の薬師が3日かけて煎じた薬を、1週間...毎食後に飲まなければなりません。
ですが、アミフェン先生のお母様の場合は、そう簡単にはいきませんでした。
お母様の保有している魔力が少な過ぎるのです...。
治癒師達にとってもこんなことは初めてのケースなので、皆が戸惑っております。
外部から干渉しようとしても、なかなかお母様の魔力を捉えられずに流れを止める事が出来ないのだそうです。
「両陛下、発言させていただきますわ。
アミフェン先生のお母様を思う気持ちに嘘が無いことは、私達生徒皆が分かっておりますわ。
お母様の治療法につきましては、私の兄も全力を尽くしておりますもの、きっと直ぐに見付けてみせますわ。
私は、脅迫を受けていたアミフェン先生に対してもヌーシュ先生に対しても、残念には思いますけれど、怒ってはおりません。
お2人共、ご家族を思っての行動故ですし、私も今は回復しておりますもの。
ですから、どうか頭をお上げくださいませ。」
*
この場にはルージュ様のみで娘さん方はおりませんし、止められなさそうですわね。
ノーベン様?ご愁傷様ですわ。
「ヌーシュ先生の事情は分かりました。
処罰は、後程元老院を招集して決めましょう。
それで、アミフェン先生は第2王子殿下にどう命じられたのですか??」
「俺は命じてなどいない!!」
「..........先程申しました通り、授業中に起きてしまった不運な事故として処理せよ...と。」
「授業中に起きた不運な事故として...ですか?
学園の教師には、学園で起きた事件・事故に関して、当事者間で解決していようとも全て報告する義務があります。
何故、私に報告が無かったのでしょう?」
「......この事が公になれば、教師ではいられなくなるぞと言われました。
授業中の事でしたから、自分達教師に責任があることは明白です。
教師になったときに、その覚悟を決めてこの学園に参りました。
...ですが、昨年より母が病を得まして......治療するにはお金がかかります。
父は一昨年亡くなりましたし、嫁いだ妹は先月子供を産んだばかりです。
自分が教師でいられなくなったならば、母は...!」
「お母様のご病気は確か、凍魔病...でしたね?」
「はい。
本来なら、母の魔力は凍魔病になる筈のない微々たるものです。
それなのに凍魔病になってしまったのは、何故なのか...まるで分かりませんし、有効な治療法も見つかっていないと聞いています。
今は進行を遅らせることしか出来ず、今、教師を辞めるわけにはいかなかったんです。
ユーティリカ様...申し訳ございません。」
やっぱり脅していたのね...?
やってることが本っ当ーに悪辣ですわね。
看病の為に学園を休まれることが増えるから...と、極々プライベートなことにも関わらず、丁寧に私達生徒にご説明してくださいましたのに...。
このような所業をなさるなんて......人の上に立つ王族とは思え無いほどに酷い人ですこと。
魔力の高い人がなる病気だと言われる凍魔病は、もしも一欠片でも魔力を使ってしまうと、突然雪深い外に放り出されてしまったように、一気に身体が冷えて動けなくなってしまうものです。
1日や1週間などの少しの間ならば大丈夫ですけれど、その状態がずっと続くとなると...冷えた身体を絶えず温めなていなければなりません。
人間は普段、無意識に魔力を動かしていますから、最悪命に関わる病気なのです。
魔力というものは、保有量がどんなに微量でも、それこそ血のように巡っているのです。
そんな凍魔病を治療する為には、まず、無意識に巡らせている魔力を強制的に止めなければなりません。
まず、魔力操作に秀でた者が外部から患者の魔力に干渉して、その流れをなんとか止めます。
そして、入手の難しい幾つかの薬草を用いて、高位の薬師が3日かけて煎じた薬を、1週間...毎食後に飲まなければなりません。
ですが、アミフェン先生のお母様の場合は、そう簡単にはいきませんでした。
お母様の保有している魔力が少な過ぎるのです...。
治癒師達にとってもこんなことは初めてのケースなので、皆が戸惑っております。
外部から干渉しようとしても、なかなかお母様の魔力を捉えられずに流れを止める事が出来ないのだそうです。
「両陛下、発言させていただきますわ。
アミフェン先生のお母様を思う気持ちに嘘が無いことは、私達生徒皆が分かっておりますわ。
お母様の治療法につきましては、私の兄も全力を尽くしておりますもの、きっと直ぐに見付けてみせますわ。
私は、脅迫を受けていたアミフェン先生に対してもヌーシュ先生に対しても、残念には思いますけれど、怒ってはおりません。
お2人共、ご家族を思っての行動故ですし、私も今は回復しておりますもの。
ですから、どうか頭をお上げくださいませ。」
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