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2 : わざわざ足をかけて転ばせるなんて面倒なこといたしません。
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「この雌狐は、廊下で擦れ違っただけのフェリスの足をかけて転ばせたのです!!
膝を擦りむいて、青アザも出来ているのに、それでも騒がずに涙を我慢するフェリスの健気さ!!
とても痛々しいものでした!!
暴力に訴えるなど、本当に許し難い!!」
「??そんなこと...あったかしら?」
「黙れ!!
非道な行いをするお前に、発言する権利など無い!!」
「お前が黙れ。
ユーティリカ嬢、反論を。」
「父上、何故??!」
「はい、陛下。
スリゼル...お願い出来ます?
申し訳ないのだけれど、私、このことに関しては身に覚えが全くありませんの。」
「かしこまりました。」
えぇっとー、私、人を足掛けして転ばせるなんてそんなリスクも高くて面倒臭いことをいたしましたかしら?
ひったくりや痴漢などの犯罪者には、条件反射的にしてしまうと思いますけれど...廊下ですれ違った方にしたかしら?
特に、その娼婦は面倒な人だということが明白ですもの。
その娼婦や第2王子と擦れ違ったりする際には、難癖をつけられないようにと殊更気を付けていましたわよ?
私の従者であるスリゼルなら何か知っているかしら?
「ユーティリカ様の従者をしております。
スリゼル・ラッセル・マークスと申します。」
「うむ、申せ。」
「はい。
第2王子殿下の仰っておられるのは、新入生歓迎のオリエンテーションから3日後のことでしょう。
結論から言いますと、ユーティリカ様には一切関係ございません。」
「何ぃ??!!
貴様、嘘を言うな!!
その雌狐が足をかけたと、フェリスが涙ながらに語ったのだぞ!!!」
「...殿下?今は私が証言する時間です。
横やりを入れず、静かにしていていただけませんか??
元はと言えば、貴方のせいで行われている裁判ですよね??
裁判の意義ややり方もご存知無いのですか??
この国の王室は、随分と適当な王子教育をなさっておられるのですね。
隣国の民として、この国の王家には失望致しました。」
「な、何だと!!?」
「第2王子!!これ以上醜態を晒すな。
証言の間、己は黙っていろ。
マークス殿、続けてくれ。」
「はい。
確かに、ユーティリカ様は廊下にてその女と擦れ違われました。
その女は、ユーティリカ様を見つける度に醜悪な顔で睨み付けながら接近してくるか、厭らしいにんまりとした笑顔で胸元を強調する仕種をしてくるかのどちらかでした。
どちらでも面倒なことになりそうだと判断致しまして、その女を見付けた場合、こちらから避けるようにしております。
その日も、こちらを睨み付けながら近付いて参りましたので......ユーティリカ様とマリエル様には壁を背にして立っていただいて、その前に私とルーナさんがそれぞれ立ちお守りする形を取りました。
あぁ、その日のユーティリカ様は、私とマリエル様とマリエル様の従者であるルーナさんという4人で行動しておりました。
誰も足などかけておりませんが、何もないというのに目の前で自ら転ばれました。
その際、
[ユーティリカ様?!
なんでこのようなことをなさいますの?!!]
と喚いていらっしゃいましたが、あれが涙を我慢していた健気な姿なのですか??
廊下にいた皆が、自作自演にしても転け方がだいぶ下手だなと呆れたものです。」
ピッチリ七三に固められた本来はふわっふわの鈍色のショートカットに、冷徹そうな鈍色の切れ長の目でにこやかな笑みを浮かべながら、バッサバッサと切り捨てるように喋るスリゼルはやっぱり怖いわね。
いつもは、無表情でチクチクザスザスと地味ーに刺さる嫌味の応酬だからかしら?
本気で怒ってるスリゼルって、全然見たことないから慣れないわね。
ただ、スリゼルの話しを聞いて、その日のことを少しずつ思い出してきましたわ。
確かに、転け方が余りにもお粗末でしたわよね...。
転ける前に一瞬勝ち誇った顔をこちらに向けて、何故か廊下に自らダイブされたから驚きましたわ!
文字通り、ジャンプしてビッターンと倒れられましたのよね。
そのくせ怪我は大したこと無くって、そのことにもとっても驚きましたわ!
あんなにダイレクトに行ったのに、膝に青アザが出来てちょっと摩擦熱で手を擦りむいた程度だなんて!!
絶対骨の2・3本逝ったと思いましたのに...次の日、ピンピンしているのを見たときは、人外なのだと早とちりしてしまいましたっけ??
*
膝を擦りむいて、青アザも出来ているのに、それでも騒がずに涙を我慢するフェリスの健気さ!!
とても痛々しいものでした!!
暴力に訴えるなど、本当に許し難い!!」
「??そんなこと...あったかしら?」
「黙れ!!
非道な行いをするお前に、発言する権利など無い!!」
「お前が黙れ。
ユーティリカ嬢、反論を。」
「父上、何故??!」
「はい、陛下。
スリゼル...お願い出来ます?
申し訳ないのだけれど、私、このことに関しては身に覚えが全くありませんの。」
「かしこまりました。」
えぇっとー、私、人を足掛けして転ばせるなんてそんなリスクも高くて面倒臭いことをいたしましたかしら?
ひったくりや痴漢などの犯罪者には、条件反射的にしてしまうと思いますけれど...廊下ですれ違った方にしたかしら?
特に、その娼婦は面倒な人だということが明白ですもの。
その娼婦や第2王子と擦れ違ったりする際には、難癖をつけられないようにと殊更気を付けていましたわよ?
私の従者であるスリゼルなら何か知っているかしら?
「ユーティリカ様の従者をしております。
スリゼル・ラッセル・マークスと申します。」
「うむ、申せ。」
「はい。
第2王子殿下の仰っておられるのは、新入生歓迎のオリエンテーションから3日後のことでしょう。
結論から言いますと、ユーティリカ様には一切関係ございません。」
「何ぃ??!!
貴様、嘘を言うな!!
その雌狐が足をかけたと、フェリスが涙ながらに語ったのだぞ!!!」
「...殿下?今は私が証言する時間です。
横やりを入れず、静かにしていていただけませんか??
元はと言えば、貴方のせいで行われている裁判ですよね??
裁判の意義ややり方もご存知無いのですか??
この国の王室は、随分と適当な王子教育をなさっておられるのですね。
隣国の民として、この国の王家には失望致しました。」
「な、何だと!!?」
「第2王子!!これ以上醜態を晒すな。
証言の間、己は黙っていろ。
マークス殿、続けてくれ。」
「はい。
確かに、ユーティリカ様は廊下にてその女と擦れ違われました。
その女は、ユーティリカ様を見つける度に醜悪な顔で睨み付けながら接近してくるか、厭らしいにんまりとした笑顔で胸元を強調する仕種をしてくるかのどちらかでした。
どちらでも面倒なことになりそうだと判断致しまして、その女を見付けた場合、こちらから避けるようにしております。
その日も、こちらを睨み付けながら近付いて参りましたので......ユーティリカ様とマリエル様には壁を背にして立っていただいて、その前に私とルーナさんがそれぞれ立ちお守りする形を取りました。
あぁ、その日のユーティリカ様は、私とマリエル様とマリエル様の従者であるルーナさんという4人で行動しておりました。
誰も足などかけておりませんが、何もないというのに目の前で自ら転ばれました。
その際、
[ユーティリカ様?!
なんでこのようなことをなさいますの?!!]
と喚いていらっしゃいましたが、あれが涙を我慢していた健気な姿なのですか??
廊下にいた皆が、自作自演にしても転け方がだいぶ下手だなと呆れたものです。」
ピッチリ七三に固められた本来はふわっふわの鈍色のショートカットに、冷徹そうな鈍色の切れ長の目でにこやかな笑みを浮かべながら、バッサバッサと切り捨てるように喋るスリゼルはやっぱり怖いわね。
いつもは、無表情でチクチクザスザスと地味ーに刺さる嫌味の応酬だからかしら?
本気で怒ってるスリゼルって、全然見たことないから慣れないわね。
ただ、スリゼルの話しを聞いて、その日のことを少しずつ思い出してきましたわ。
確かに、転け方が余りにもお粗末でしたわよね...。
転ける前に一瞬勝ち誇った顔をこちらに向けて、何故か廊下に自らダイブされたから驚きましたわ!
文字通り、ジャンプしてビッターンと倒れられましたのよね。
そのくせ怪我は大したこと無くって、そのことにもとっても驚きましたわ!
あんなにダイレクトに行ったのに、膝に青アザが出来てちょっと摩擦熱で手を擦りむいた程度だなんて!!
絶対骨の2・3本逝ったと思いましたのに...次の日、ピンピンしているのを見たときは、人外なのだと早とちりしてしまいましたっけ??
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